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Modest freedom  作者: ハズカシダリア
イベント編
102/146

102

ダンジョン編最終回です。

「ほぉ…生身できましたか」

「な、何か、威圧が……」

「「「くっくっく、儂のオーラはそっちのヒュームには強かったよじゃな、くっくっく」」」


 そう言って、オービスから黒い何かが空間を覆っていく…ん?


「あれ?さっきまでの嫌な気分が無くなった?」

「「「なんじゃと…強がるなよ…たかが主君の加護を……ま、まさか!」」」


 主君の加護?主君って…神様のことか?

ま、俺が持ってるのは神様の祝福だが、勘違いさせるか。


「神様の加護のおかげと言うことか!ラッキー!」

「「「ならば、そのラッキーを今すぐアンラッキーにしてくれるわ!!

 いでよ!我が神器!!」」」


 オービスが叫ぶと周りの黄金がどんどんオービスを覆っていく。


 そして、それが収まると黄金の鎧を身に纏い、黄金の長剣と黄金の盾を装備したオービスが現れた。


「「「ふははははは!!儂を邪魔するものは容赦せん!」」」

「オービス……いえ、狡猾のオービス…その身に纏ったのは先ほどのゴーレムと同じ素材ですか…」

「「「先ほどのゴーレムとは固さが違うわ!!貴様の攻撃をもろともせんわ!!死ねぃ!!」」」

「は、速ってうわぁ!?1さん!?」


 ものスッゴい勢いで突進してきたオービスを見ていたら、1さんが俺を引っ張り、タロースの位置まで投げた。


 そして、先ほどまでいた場所でオービスと1さんがぶつかり、室内が揺れる。


「突然のこと、すみません、こうするのが手っ取り早いので手荒ながらやりました」

「「「呑気に喋っとる場合か!!」」」

「っ!」

「1さん!」

「申し訳ありません、私はあまり力が無いので、オービスを抑えることができm」

「「「しゃあ!!」」」

「1さん!!」


 オービスの長剣によって1さんが斬られてしまい、さらに、1さんの体が消えていく。


「「「くっくっく…憐れよのぉ、ヒュームを庇わなければ死なずに済んだものを…。

 さて、次は……貴様じゃ!!」」」

「!」


 オービスがこちらを見て、そしてまた、さっきの速度で突進してきた。


「「「死に晒せ!!」」」

「くっ!」


 俺が短剣で受け止めようとしたその時、


「"多重シールド"」


 タロースが目の前に現れ、シールドを何層にも展開した……が…。


「「「そんなもので受け止めようなど、片腹痛いわ!!」」」


 バリバリバリバリンッ


 あっさりとシールドが壊れていきタロースもろとも斬られた。


「ご…ご主人…様……」


≪タロースがやられました。≫

≪自動的に召喚士の本に戻ります。≫


「タ、タロース!!!!!」

「「「くっくっく、かっかっか、あっはっはっは!」」」


 タロースが…タロースが、あっさりと………。


「………さ……」

「「「…ぬ」」」

「ゆ……ん」

「「「なんじゃ?」」」

「許さん!!!」


 そう言って短剣を強く握り、オービスに向ける…。


「「「ふっ…そのような剣など、貴様もろとも切ってくれるわ!!」」」

「ぐぐぐ…ぐが!?」

「「「なんじゃと!?」」」


 俺が短剣で長剣を受けとめたが、ステータスに差があるせいで呆気なく吹き飛ばされ、壁に激突してしまった。


 …壁に激突したせいで、HPがかなり削れてじり貧だ…。


「「「かっかっか、まさか受けとめるとはな!

 じゃが、それもここまで、さっさと殺して」」」

「誰を殺すと?」

「「「!!!ヴェルス!!??」」」

「ヴェ……ヴェルス……さん…」

「すみません、ベン様。

 少々こちらに来るのが遅れました…さて…オービスよ…」

「「「っく!」」」



「覚悟しろ、だが、遺言くらいは聞こう…」

「「「く、来るならこい!貴様なんぞ!」」」

「もう、すでに行動は終わっている…その言葉は遺言と受け取った…」


 そう言うと同時にオービスの纏っていた黄金の鎧や武器、そしてダンジョンの黄金が変色していく。

 そして、オービスの体がどんどん消えていき、それと同時に、空間が崩れ始めた。


「「「あ……ああ…儂の……儂の黄金が…!!」」」

「な、何が…」

「ベン様、ここのダンジョンの仕組みは覚えておりますか?」

「え?え…っと、考えていることが反映される?」

「その通りです。

 付け加えるなら、ここには強力な"幻覚魔法"によって最初から元のダンジョンとは違う景色を写していた…ということです」

「ということは…この部屋も…」

「ええ、まあ、最初はベン様には効いていませんでしたが…」

「最初……」


 最初と言えば岩がむき出しの通路の…。


「…でも、ダンジョンって…」

「ええ、普通の……っと、とりあえずここは危険なので、本当の宝物庫に参りましょう」

「本当の?」


 疑問に思いながら崩れ行く空間をヴェルスさんの"転移(テレポート)"で移動した。




 移動した先はダンジョンの入り口と同じ岩がむき出しの場所だが、1点だけ違うとしたら目の前には初めて入ったダンジョンの宝があった。


「ここが…」

「ええ、ここが本当の宝物庫です。

 まあ、オービスが隠していた宝はやつが幻覚で見せていた偽物とあそこに入った探索者の遺品だけですが…」

「ってことは!」


 そう思って、簡易インベントリから適当に宝を出すと、最初と違って黄金ではなく顔が3つ刻まれた銀色のコインだった…。


「黄金が…」

「おや、それは……」

「な、何ですか」

「ふふっ……いえ、何でもありません。

 何でもありませんが、"鑑定"してみれば分かります」

「?分かりました…」



【愚者のコイン】

 愚者は死んだ。

 しかし、神はただ死ぬことを許さず、

 愚者の力の総てをコインに埋め込んだ。

 幻覚が愚者を狂わせたのである。

 効果:幻覚無効 幻覚魔法"消失(ミスディレクション)"


≪愚者のコインを使用しますか?≫

≪はい/いいえ≫


 鑑定し終わると、選択肢が出てきた。

 とりあえず、≪はい≫を押すとコインが消えて


≪幻覚無効を覚えました≫

≪幻覚魔法"消失(ミスディレクション)"を覚えました≫


 幻覚魔法:消失(ミスディレクション)

 消費MP:10秒毎に5(初回は30)

 説明:使用者の姿が相手から見えなくなる。

 例え相手に認識されても、これを使えば消えたように見える。

 CQCを思い出せ!


「幻覚魔法…」

「その魔法はオービスが得意としていた魔法です。

 その魔法で神々を欺くほどに…。」

「神々も…ですか…。

 あ!そう言えば!1さんが!?」

「問題ありません。

 直前に大元に戻りましたので死んではいません」

「よ、良かった……」


 そんな話をしていると、後ろの地面が光だした。


「お宝~…ってお兄ちゃん!?」

「ベン!無事だったのか!?」


 声のする方向に顔を向けるとシャイニーとバズが居た。


「シャイニー!バズ!っ!」


 動こうとしたら、先ほどの戦闘…とも言えないか……


「お兄ちゃん!どうしたの!」

「ちょっと吹っ飛ばされて壁にビターンって身体を打っただけだ…いててて…思い出したら痛みが…」

「マジか……確かにHPがかなり削れているってことはかなりヤバイ奴と戦ったのか…」

「ええ…あの声の主と戦いました……」

「なるほど……やっぱり強かったか?」

「はい…タロースが1撃でした………」

「マジか……」

「でも、その強い奴は倒したからここにいるんだよね?」

「ああ…ヴェルスさんのおかげだ……」

「え?」

「今、何て?」

「ん?」


 ……ああ、そうか。

 そう言えば、ヴェルスさんの名前って神代?言語ってやつだっけ?

 だから、聞こえないのか…。


「あ、いや、とにかく無事にここまでやって来たってことだ……他は?」

「他は今、ボスの戦利品を採ってる」

「そうか……あぁ……」バタン

「お兄ちゃん!?」「ベン!?」

「ああ…大丈夫…じゃないな……ちょっと疲れたからね……る…………」


≪プレイヤーの精神疲労が一定を超えました≫

≪プレイヤーが回復するまで復帰できません≫


 ああ…まじ………つかれたぁ………………。

私も疲れました。

いや~、やっぱり自分のキャラを自分が殺すってヤバイね、うん。

でも、こうでもしないと読者様が

「「「「これ、ご都合主義過ぎひん?」」」」

って口揃えていいそうだし、まあ、これを期に主人公を強くしようと思ってきっかけを作りました。

(なお、オービスレベルの奴はプレイヤーにいない)


では、ここから長い裏設定をば…。


・今回のダンジョンについて

まず普通のダンジョンでも裏ゴールはあります。

しかし、今回のダンジョンの裏ゴールには、固有の主の領域(今回であればオービス)がありました。

実際、オービスと真面目に戦うとしたらチート級のプレイヤーが数人でボコる、ごり押ししかありません。


・オービスについて

オービスは、地上で暴れた神であり、その異名として二つ名が付くほどでした。

そして、勇者(NPC)達により封印され、封印された土地がダンジョンとなり、そこでやって来た探索者から力を奪い取り、封印を解こうとしました。

しかし、ついでに奪った金品が多くなっていくにつれて、封印よりここで稼いだ方が良いと考えました。まさにミイラ取りがミイラになるって奴ですね…え?違う?


・愚者のコイン

実際見ていた神様が本当に許さなかったから、最初は本当に全部埋め込もうとしたが、部下(上位神)達に止められ、仕方なくあれくらいに留めた。

……これで終わると思うなよ…。



間抜けは見つけられたのでここまで、最後まで読んでいただきありがとうございます。

こういうネタバレ(裏設定)って要ります?

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― 新着の感想 ―
[一言] 『宝箱の前で力尽きるとは情けない奴じゃ』 復活には〇〇ゴールドが必要です 復活しますか カタカタカタ なんて、神官が出てきたりして
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