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ふたりのおわり

作者:


最後の日、私がずっと連絡してくれないのを不安に思って君のことを待って、めんどくさい連絡して。これ以上めんどくさくならないからって連絡して、きみが10日も私からの連絡を無視し続けてやっときた連絡の日。

君は私の家に泊まって、私は次の日学校に行って、朝ごはんを作って学校に行って、かえってきても君は起きてなくて。二段ベットの上に登って顔を見たら君は私の好きな顔でニヤッと笑ってて。ああ好きだなって思ったの。この人がまた私の近くにいるって。窓を開けて、今日は暑いよって話して。起きないのって、私もベットの上に登って。それで君の上に乗っかってさ、その上で寝たふりなんかしてみちゃってさ、君は少し動いて見せたりして、本当に口数が少なかったよね、私のことも名前で全然読んでくれなかったよね。君の隣に顔を置いてさ、少し目を合わせたりしてさ、

「ほんとうに綺麗なあひる口だね」

「顎のラインが好きだ」

なんて言いながら君の唇を触ったりしてたら、いつものペースでいつもと変わらない順番でいろんなことが始まった。

開いた窓から車とかいろんな音が聞こえて。朝の光が入ってきていろんなものがはっきりみえちゃう世界の中で。


いつも順番は決まっていた。

君か私から始めるキス。


最初は数秒だけ唇を付けて、それを繰り返して。軽く挟んでみたり長く当ててみたり。それで、片方が少し舌で舐めたら全部が始まったよね。何回も何回も舌を絡めて、私は君の顔や耳を触ったりして。そしたら君は私の胸を触ってきて、私は体を浮かせて君の耳を舐めて。ほんとうに何回したかは覚えてないけど、何回してもホックを外すのが下手くそだったなぁ。途中から面白くなって、外そうとするの邪魔するみたいに君の首や耳を舐めたり胸を触ったりしていたよ。

君は最中に全然はなさなくて、途中で何をしてほしいかも、何が気持ちいいとかも、私にどうか聞くことも全然しなくて、好きだと言ってくれたこともなかったね。

でも一度だけ君が、苦しそうな顔をして、苦しそうな声を出していた時、すごく嬉しくてすごく君のことが好きだと思ったんだ。


いつもの手順で服が脱がされて、舐められて、私が舐めて、君がそろそろって思ったら君は私の頭を少し持ち上げて体を離すの。

二段ベットだったから、いつも下に降りて取りに行かせてしまってごめんね。前にポケットの中に数個持ってたのはすごく可愛くてすこし笑ってしまったよ。

下に降りて空いてた窓を閉めた君。あれにはどんな意味があったのかなぁ。


いつも通りの正常位から、騎乗位で君が動いて、その次はまた正常位で最後にバック。いつも通りだった。それが好きだった。いつもの君で安心した。


私はどうやら変化を好まないらしい。


君が果てて、何も言わずにそうして終わって。そのあと少しの間のことは覚えてないんだけど、君はスマホを触ってて、私はそれをずっと眺めてた。何回かこっちをみてそのあとすぐに視線を逸らして、それでずっと俯いていた君がまだ忘れられない。


***


あれから2週間も経たないうちに、世間は令和なんていう新しい元号を迎えて、君はまた私の連絡を長い間無視し続けて、そして私たちは再び会って、それで全部終わった。



「気持ちがなくなっちゃったんだ」



元々君が私に対してどんな気持ちを持ってくれていたのかなんて全然わからないけれど、なくなった気持ちの取り戻し方も取り戻す力も自信もあの時の私には全くなくて、ほんの少しだけでも何かを繋ぎ止めるために1つだけ約束した。



「私ね、就職が決まったらギターを買おうと思ってるんだ。その時、一緒に買いに行ってよ。」



「いいよ。」って言った君は、どんな思いでその約束をしてくれたんだろう。

あの時ほど人の心が読めたらと思った瞬間はなかった。





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