36話 姉妹の、関係。
「嫌な思いをたくさんさせてごめんなさい、スピカ」
私が謝るとスピカはブンブンと首を横に振る。
「お姉様が謝る事ない!悪いのは私なの…。私はお姉様が辛い思いをしてるのに気が付いてた…それでもお姉様のやさしさに甘えてばかりで、お姉様の為に動こうとしなかった…もし私が動いてたら、もっと行動してたら…お姉様に辛い思いさせなかった…こんな妹でごめんなさい!」
スピカは私に頭を下げるが彼女が謝る事なんてない。
寧ろスピカが居てくれたから今までやってこれたと感謝しているくらいだ。
…最初は「なんで私ばっかり」って思う事もあったけど卑屈になるのって結構エネルギー使うのよね…あれはめんどくさいもの
卑屈になってもやもやするより愛情もって接した方が楽だって気が付いて、そうするようになったら本当にスピカが大好きで大事だと思えるようになれたし…
なにより今、スピカに大事に思われてた事が分かってこれ以上ないくらい嬉しいからスピカが謝る必要なんかないわ
「ありがとうスピカ、大事に思ってくれて。それだけで充分よ」
「お姉、様………お姉様ぁ……うわぁぁんっ」
声を上げて泣き続けるスピカの背中を優しく撫でていると不意にニクスと目が合った。
すん、と鼻を啜っているところを見るとスピカの涙につられたのだろう。
視線を巡らせてみると弥太もアステルもなんだか微笑ましいと言うような表情を浮かべていた。
……私達見世物じゃないんだけどなぁ……
◇◇◇
スピカが落ち着くのを見計らってニクス達は帰っていった。
両親には私の生活を脅かさないよう行方不明で見つからなかった事にして伝えるらしい、後々連れ戻しにこられても面倒なのでそれで了承した。きっとあの人たちは私が居なくなっても気にも留めないだろう。
普通ならば一度戻って許可を得てからまたこちらに来ればいいのだろうが、うちのめんどくさい両親が許可を出すとは思えない。
それに私もあの家には戻りたくなかった。だからこれでいいのだ。
……きっとこのまま会えなくても私はなにも感じないのでしょうね……
親子なら少なからず情があるものなのだろうけど、私は彼らにそんなもの感じなかった。
昔の自分なら幾分動揺したかもしれない、けれど今では全く心が動かない。私はいつの間にか両親を見限っていたのだろう。
また会いに来るからと何度も手を振っていたスピカの姿を思い返しながら、私も弥太と自分達の家に帰ることにした。
帰宅した途端、私達の姿が無くて村中探し回っていたマオと銀狼に怒られたのは言うまでもない。




