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ものぐさ悪役令嬢は頑張らない  作者: 枝豆@敦騎
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2話 「お姉様!」-スピカ視点-

私、スピカ・カークラは唐突に思い出した。

自分が乙女ゲームの世界にヒロインとして転生した事、そして敬愛する双子のお姉様がいつか破滅してしまう悪役令嬢である事を。



お姉様が……破滅してしまう!?



その事にショックを受けた私は頭から血の気が引いていくのを感じ、いつの間にか意識を失ってしまった。

こちらに駆け寄ってくる教師やクラスメイトの声を聞きながら最後に視界に映ったのは驚いたように目を見開くお姉様の姿だった。







意識を失った私は夢を見た。

お姉様の夢。


姉のステラは小さい頃から天才だった。

魔法の力を自在に操るだけでなく、武術にも長けていてその辺の男の子にはもちろん負けなかったし勉強も出来る。とても優しくて格好良くて、私の自慢だった。

けれどかなり面倒くさがりで放って置けば癖の強い髪はボサボサだし、肌の手入れもしなければ服もそのへんのものを適当に着てしまうのだ。


そんなお姉様の為に私は髪の手入れを覚え、毎朝侍女さんと一緒に彼女を綺麗に整えている。

お姉様みたいに魔法を扱うことも出来ず、勉強も中の下くらいの私が出来るのはそれくらいだったから。

お姉様はいつも喜んでくれた。

面倒くさがりで常に無表情で、回りからは怖いと誤解されがちな人だけど私が髪をセットするといつも微笑んでくれるのだ。

「スピカは本当にいい子ね、私の為にこんなことまでしてくれるのだから」と褒めてくれる。


その大好きなお姉様が夢の中で断罪されていた。

大勢の人に囲まれて捕まえられて、何処かにつれていかれてしまう。



やめて!お姉様をつれていかないで!



そう叫びたいのに声が出ない。



止めなきゃ……このままじゃお姉様が……!



必死に手を伸ばして引き留めようとする。


「お姉様!!」


はっと目を開けると、目に飛び込んできたのは真っ白な天井と目を瞬かせるお姉様の姿。


「うん?なぁに?」


思わず声に出して居たらしい。

お姉様は私が伸ばしていた手を取ると首を傾げる。

先ほどまで教室に居たはずなのにここはどこだろう。


「……お姉様…ここは?」


「覚えてないの?スピカ、授業中に倒れたのよ。どこか具合でも悪かった?気が付けなくてごめんなさいね」


私の手を布団の中にそっとしまうと優しく頭を撫でてくれる。


「気を失った貴女をフォーン様がここまで運んでくださったの」


「フォーン様が……?」


その言葉に思い出したばかりの記憶を引っ張り出す。



こんなイベントは無かったはず。もしアステル・フォーンのルートに入ってしまったらお姉様は断罪される……彼だけじゃない……どのルートでもお姉様は断罪されちゃう……そんなの駄目!

絶対にお姉様が破滅しないように私は誰のルートにも入らないようにしなくちゃ!



私は布団の中で拳を握るとお姉様を破滅フラグから守ることをこっそりと誓ったのだった。



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