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ものぐさ悪役令嬢は頑張らない  作者: 枝豆@敦騎
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18話 王子様の特別-スピカ視点-


私が前世の記憶を思い出した日、王子様がわざわざお見舞いに来てくれた。

彼は攻略対象の一人でお姉様を破滅に追いやる危険人物だ。

何度か言葉を交わした事があるがまさかお見舞いに来てくれるなんて思わなかった。



関わらないって決めたのに優しい言葉とかかけられちゃうと……やっぱり少しときめいちゃうわね



お姉様の破滅なんて欠片も望んでいないけれど、人並みに甘いシチュエーションに憧れたりもする。

だから『王子様から特別扱い』されるとときめいてしまう事もある。



でもだめだめっ!いくら相手が王子様でも私からお姉様を取り上げるのは全員敵なんだから!



ニクスが帰ってから自分に言い聞かせ考えないようにした

彼とはクラスも違うし明日から関わらなければいいだけ、今日はたまたま気まぐれでお見舞いに来てくれただけなのだと。





そう思い込もうとしていたのに翌日の昼休み、ニクスはわざわざ私を昼食に誘いに来た。


王子様ルートの選択肢なんて何一つ選んでないんだけど!?


戸惑う反面せっかく乙女ゲームのヒロインポジションとして産まれたのだから、少しだけでもその立場を満喫してみたいという気持ちが沸いてくる。

ちらりとお姉様に視線を向ければなんだが生暖かい視線を向けられた。



お姉様の目線が「行ってこい」って言ってる気がする……!!

下手にフラグは立てたくないけど……乙女ゲーム好きとしてはちょっとでいいから『王子様の特別』を経験してみたい……


悩むこと数秒。

一回くらいなら深刻な展開になったりしないだろうと自分に言い訳をして私はニクスと一緒に昼食を取ることにした。




学食で一緒に昼食を食べる。ニクスは私の持ってきたお弁当に興味津々だった。

ひとつおかずを分けてあげると、子供のように喜んで思わず笑ってしまった。

もしお姉様の破滅フラグが無ければ仲良くなれたかもしれない。

昼食を終えた後、少し話がしたいと言われ一緒に中庭に向かう。

ベンチに腰掛けると、日差しがポカポカして眠くなってしまいそうなくらい心地がいい。

けれどニクスはその心地よさを打ち払うような言葉を口にした。


「スピカ嬢はステラ嬢から嫌がらせを受けているのだろう?何かあれば私が力になるよ」


頭を殴られたような衝撃。

私がお姉様から嫌がらせを受けているとか虐められているとか、根も葉もない噂だ。

いくらそれは誤解だと訴えても知らない所で噂はどんどん拡張されてしまう。


お姉様は私を虐めるどころか、すごく優しくしてくれるし勉強だって見てくれる。

この魔法がある世界で、魔力なんて皆無の私が両親から邪険にされないで人並みに愛されているのは全部お姉様のお陰なのだ。

私はお姉様が両親のストレスの捌け口にされているのを知っていた、助けたいのにどうしたらいいか分からなくて見て見ぬふりをしてしまった事もある。

下手したら自分が両親に嫌われるのではと恐れて何も出来ない私を、お姉様は気にすることなく可愛がってくれるのだ。

お姉様を生け贄にして……両親の愛情を受けるこんな卑怯な私をお姉様はそれでも大事にしてくれる。

こんな弱い自分が大嫌いだった。だから前世の記憶を思い出した時はようやくお姉様の役に立てると喜んだ。


その為にも破滅フラグは全力で回避させなければならない。

なのに、私が一瞬でも『王子様の特別』という幻想を体験したいだなんて願ったから、彼はお姉様が悪であるという噂を信じてしまったのか。



……私が少しでも攻略対象達に心揺れれば、それはお姉様の破滅ルートに繋がってしまうんだわ

そんなの絶対駄目!



「お姉様は私にとって尊敬する大事な方です。お姉様を侮辱するような噂を信じるのは……いくら殿下でも許しません」


そう告げた声は情けないことに少し震えていた。


「……そうだな、大事な人を悪く言われたら私も君と同じ事を思うだろう……悪かった、軽率な事を言って」


意外なことにニクスはすぐに謝罪の言葉を口にした。


「いえ、理解してくださればいいのです」


分かってもらえたならそれでいいと思うことにして「そろそろ教室に戻りましょうか」とニクスに告げる。

ちょうど昼休み終了を告げるチャイムが鳴ったところだ。

タイミングの良さに安堵して教室に戻る。

けれど教室に戻ればお姉様の姿はなかった。

いつも授業に遅れたことがないお姉様が居ないなんて…もしかして具合が悪くなって保健室に行ったのかも…

そう思い授業が終わってすぐ、私は保健室に向かった。


「失礼します。先生、うちのお姉様来てませんか?」


そう言って保健室を覗き混むと顔を青くした教師が、保健の先生に宥められていた。


何かあったのかしら?


不思議に思いその光景を眺める私に保健の先生はゆっくり近付くと、とんでもないことを口にした。


「落ち着いて聞いてくださいねスピカ嬢……貴方のお姉様、ステラ嬢が行方不明なの」


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