六話 SPAG VS 天人族
天人族の力に危険を感じた都鳥は一人で戦う決意をした。
それを察知した麻倉と猿渡は都鳥に歩み寄って熱い言葉をかける。
「あ、あたしは残る! 珠伽班長と一緒に戦うよ!!」
「……俺もだ!! 俺たち仲間っすから!!」
一方で御階は冷たくこう言い放って何事もないかのように立ち去った。
「任務外のことですので僕は失礼しますよ」
「はぁ?! 御階さん……、そりゃないっすよ!!」
「いいんだ魁惟。気持ちは嬉しいけど二人にも先に帰っていて欲しい」
都鳥が繰り返し説得するが二人の気持ちは変わらない。
「嫌です……! みんなで帰って美味しいピザ食べるんだもん!!」
「だな! 芽來っちのピザをつまみにまた飲み明かすっすよ! 班長!」
「芽來、魁惟……」
そんな三人の結束を引き裂くようにして蓬条が攻撃を仕掛けてきた。
「ドレキセイショット!! はぁぁぁぁぁ!!」
国会議事堂の綺麗な白いアスファルトがメキメキとはがれ、その断片が高速で都鳥たちに飛んでいく。
「金室!!」
都鳥は全身から放出した気を丸い部屋の形に硬化させて三人を囲った。
ドガァァァァン! ドガァァァァン! ドガァァァァン! ドガァァァァン……
いくつものアスファルトが都鳥の作った金室にぶつかっていく。
その衝撃によってアスファルトは木っ端微塵になるが金室が壊れることはなかった。
「なんて堅さなの……! うちの上位攻撃を受けてもびくともしないなんて……!」
蓬条の攻撃が止んだのを見計らって都鳥が能力を解くと、麻倉が勢いよく空に飛び上がった。
「ジェットレインボー!!」
バン! バン! バン! バン! バン……
麻倉は強烈なカラフルの気砲を何発も蓬条に撃ちこんだ。
「……ちっ!! ストーンウォール!!!」
蓬条は能力で石の壁を作って麻倉の攻撃をギリギリで凌ぐ。
これを好機とみた麻倉は攻撃の手をゆるめず連続で技を繰り出した。
「ありったけの風をこの手に……! ウインドスマッシュ!」
風のエネルギーを右手に溜めた麻倉は上空から急降下して蓬条にアタックした。
ビュゥゥゥゥゥバッゴォォォォォォォン!!!!
「くわぁ……!!!!」
石の壁ごと吹き飛ばされた蓬条は血を吐きながら地面を転がっていく。
そしてプルプルと起き上がり、尖り顔で麻倉に向けて絶叫した。
「どちくしょうが!! ……このアマ、ぶっ殺してやる!! あぁぁ……グラビティフォース!!」
「き、きゃぁぁぁ!!!!」
蓬条の能力で強力な重力をかけられた麻倉は二十メートルくらいの高さから地面に叩きつけられた。
「め、芽來……!!」
「てめぇの相手は俺だ!! おらぁ!!」
地面に伏している麻倉に駆け寄ろうとする都鳥の行く手を楠が阻んだ。
楠は都鳥の胸座をつかみあげて能力を発動させる。
「おぉぉぉ!! サンダーボルト!!」
「ぐっ……」
ズゴォォォォォォバチバチバチィィィィィィィ!!!
強烈な雷が二人の身体に落ちた。二人は電撃に包まれたまま接触して立っている。
「俺の身体は避雷針みたいなもんさ! こうやって雷電を取り込んで放出することも出来る! こんだけ感電したら気の毒だがお陀仏だぜ! あばよ!」
「……金剛力!! おおおお!!」
都鳥は大きな金の塊に硬化させた右手で楠に正拳突きを放った。
バッゴォォォォォォン!!!!!!!!
「ぐはあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ!!!」
都鳥のパンチを受けて盛大に吹っ飛んだ楠は国会議事堂の建物の壁に激突してめり込んだ。
もろに内臓をえぐられたためか、口からは大量の血が流れ出ている。
一方、蓬条は怒り心頭で麻倉に迫っていた。
「ぐ……んぐ……!!」
「あんた、よくもやってくれたわね……! 死んで悔い改めなさい! はああ……!!」
蓬条が気を放出すると大地がミシミシと音を立て始めた。
「ヘブンズインパクト!!」
ミキミキミキミキ……グシャァァァァァァ!!!!
「がはぁぁ……!!」
地面に伏している麻倉の真下から槍のように鋭い岩石が突き出た。
その岩石は麻倉の腹部を貫いて三メートルほどの突起となった。
「こんなに可愛らしい顔してるのに勿体無いわね。せいぜい成仏して頂戴!」
蓬条は岩石に串刺し状態となっている麻倉の顔にキスをして、その場から去った。
*
「ハァ……、ハァ……、ハァ……。くそっ……!! なんで俺の攻撃が効かねぇんだ!!」
壁にめり込んだまま叫ぶ楠に都鳥がゆっくりと近づいていく。
「殺さないから安心して」
そう言うと、都鳥は楠の前で右手を硬化させ脇をしめて構える。
「神光弾!!」
ズドォォォォォォォォォォン!!!
「ぐはっ……!!」
菟上が放った光の弾丸が都鳥に直撃した。
「この人の能力はお前の雷電に耐性があるんだろ。その様じゃむしろ弱点なのかも知れないな」
「ちっ……!! そういうことかよ! 汚ねぇぞてめぇ!!」
「……汚くはない。そんなのはじめに気づいておけよな。まったく」
菟上の攻撃を受けた都鳥がよろよろと立ち上がった。
「き、君は……?」
「名乗るほどのものじゃない。悪いけど仕事をさせてもらう」
「それはお互い様だ。はぁぁぁ!!」
都鳥は能力を発動させて両手を金色に硬化させた。
「神光拳!!」
菟上も両手に光を集めて戦闘態勢に入った。
バシィ! バシィ! バシィ! バシィ! バシィ……
都鳥と菟上の乱打戦が始まった。
暫くの間、どちらも譲らぬ激しい打ち合いが続く。
「金焼き!!」
「ぐぉ……!!」
一瞬の隙をついて、都鳥が金色の熱波動を放った。
菟上はマントで防ぐが焼き焦がされてダメージを受けた。
「はぁぁぁ!! 金剛力!!」
畳み掛ける都鳥は右腕を大きく硬化させ菟上にぶち込んだ。
「光盾!!」
バギギギギギギギギギィィィィィィィィ!!!! ドォォォォォン!!!
「ぐあぁぁぁぁっ!!」
菟上は光の盾で都鳥の攻撃を受け止めたが、その威力に負けて吹っ飛ばされた。
「ちっ……、閃光!!」
「く、眩しい……!!」
菟上は両目から閃光を放ち都鳥の視界を奪った。
そして、両手いっぱいに光を集めて都鳥に叩き込んだ。
「うぉぉぉぉ!! 光爆裂!!」
ズッバァァァァァァァァァァン!!!!!!
「ぐ、ぐはぁぁぁぁ……!!」
凄まじい光の爆発をまともに受けた都鳥は宙に高く打ち上げられ、そのまま地面に落下した。




