ギャンブルの話
昔々。
20代後半のころまで、一切ギャンブルに手を出さなかった。ギャンブルする人を、なんでそんなのに大切なお金を使うのか、と冷やかに眺めてた。
20代後半、ある一人の新人が入社してきて、そいつが大の競馬好きで、仲良くなった私にしきりに、馬券を買いましょう、いやいや先輩は面倒なことはしないでいいです、お使いなら私がしますから、と熱心に誘ってくる。
そいつが人の金を飲んでしまうようなチンピラだったら最初から相手にしないのですが、実に人がいい奴だったから断りきれなかった。
だけど、ギャンブルなんぞこの先もやりたくない。私はどうしたか。
一万円札渡して、適当に、じゃあこの投票券をそれだけ買ってきてください、とやった。
目論み通り、そいつ、愕然としたものです。
私の作戦はこうです。
当時、競馬やるったって、百円、二百円で、ちょぼちょぼとやるのが、普通でした。賭け事というより、競馬の世界の中から趣味性の高い物を見つけて、そっちの方を楽しむ、という感じでした。ギャンブルは二番目以降。ですから、お金をかけるったって、場所代みたいな、ホントにわずかなものでした。
そんな中、人生初めての競馬で、いきなり一万円とばしてみせたら、人のいいそいつは申し訳なく思って、二度と誘いにこなくなるだろう。
一万円で(穏便に)追っ払えるものなら安いものだ。
そしたら当たりやがるの。
私は思いましたね。なんてギャンブルって素敵なんだろう。オレ馬券師になるわ。
それから15年以上ですかね。
負けに負け続けました。
あれ、時々勝つのがいけないですね。
パソコンの、ていうかインターネットの時代になったときなんか、自動投票ソフトにはまって、あるとき操作ミスって、自動的に、銀行口座を空っぽにしてしまったこともあります。あの時はさすがにへこみました。
俺にはギャンブルの才能はない、と遅まきながら見切りをつけて、現在はやめていますが。
ギャンブルでもなんでも、何をするにしても、最初が大事かな、と。
その時起こる、運不運には冷静に対処する。
よほど慎重に取り組まないと、人生を潰すことになると、ギャンブルに才能のない私からの忠告です。




