電動アシスト自転車の罠
歳を取って、見た目からも、男の自分も乗っても許されるだろうと、電動アシスト自転車に替えて、数年たったある日のことです。
ある観光地に遊びに行って、そこでレンタサイクルを借りました。久しぶりの普通の自転車です。
そしたらその自転車、乗れないんです。危うく立ちゴケしそうになりました。
なんなのか、油をさすなどちゃんと整備されてないのか、摩擦抵抗がすごくて、ペダルが回らないんです。ギアを一番軽くして、ようやくノロノロと動かせるって状況。
レンタル店のスタッフに、なにこれ? と苦情を言って他の自転車に交換してもらったのですが、そしたらその自転車もダメ。
なんなんだ、と。
ここに至って、問題は、自分の方にあると気付いた次第です。
電動アシスト自転車に替えてからの数年で、肉体がですね、ペダルを踏む力はこれくらい、と学習してしまったんですよ。
電動アシスト自転車と普通の自転車は、見た目が似ています。
だから、同じ物だからと、ペダルを踏む力はこれくらい、と、その必要十分な力しか、体から出てこない、出してくれないんです。
頭で、もっと力を出すんだ、と思っても、(そして実際に脚力はあるのです)、人体の不思議で、力がセーブされてしまうんです。いきっても、気力が抜ける感覚で、漕ぐ力が出てこない、出せないんです。
話、ご理解頂けてるでしょうか?
本当に不思議体験でした。
見た目に、意識とは関係なしに、体が騙されてしまう。
そんなこともあるという経験談です。そういうわけで、いつ、何が我が身に起こるのかわかったもんじゃないという一例にして、安全にはご注意ください。




