運動後の風呂は格別だよね
よく、こんなタイトルで良いのかなって思います
いつもトレーニングの最後には魔力操作を行っている。
僕の魔力は少ないけれど、魔力を身体に馴染ませることだけなら同年代には負けないという自負があった。
魔力を自由自在に扱う、それは少なくとも今の人間の身では不可能と言われている。
それは、魔力自体が身体に馴染んでいないから。
悪魔や天使といった存在は魔力が肉体に馴染むというよりもはや侵食しているというレベルで魔力を自在に操ることができる。
彼らにとって魔力は身体の一要素なんだ。
だから、彼らと人間は同じ魔法を使うにしても使用する魔力量がずっと違う。
彼らの使用には無駄がないので、たかだか数百年しか魔法の歴史がない人間の魔法と比べるのもおこがましいレベルなんだ。
他の学校のみんなはレベルアップできるから自身の魔力操作にそれほど力を入れていない。
でも僕はレベルアップすることが出来なかったから、この魔力操作というのは天啓のように思えていた。
魔力をうまく運用することが出来たら、レベル1で魔力が少ない僕でももしかしたらゴブリンを倒すことができるかもしれない。
そんな考えに囚われていたから。
でも、それは今の環境でも変える必要はないと思っている。
クラスのみんなはもう既にだいぶレベルアップしてるし、今の僕じゃ夏休みなんて短すぎる期間で追いつくことはできない。
だから僕は魔力操作も同時に鍛える。
それしか彼らを追い抜く方法がないから。
息が整ったので足を胡座に組んで地面に座る。
横から見たら仙人の修行に見えなくもない。
今やっているのは魔力を身体の外に出してそれを均等に身体の表面に纏うこと。
これに関して言えば僕は既にマスターしている。
魔力の操作を行う上で最も基礎的なのが魔力を体外に出すことだ。
これは特異能力を使うときに自然に魔力を使うこともあって殆どは苦労せずに突破できる。
そんな、魔力の扱いで一番最初の関門は魔力を身体に自由に纏うこと。
これが実は難しくて、クラスでも半分も出来てなかった。
特異能力は魔力を使うと言ったけれど、それは魔力の通る線路が既に定まってるところに流しているだけ。
これまで魔力が通ってきた特異能力っていう線路が消えれば体外に出た魔力は行き場を失い元に戻ってしまう。
だから定まった線路がない状態でも魔力を扱うことが出来て初めて初歩が確立できたっていうレベルなんだ。
そして魔力を身体に纏うことが出来たら次はそれを如何に均等に纏えるかと言うのが重要になってくる。
魔力が自在に操れると言うことは極端な話、手だけに全魔力を纏って攻撃力を増すことや、足に纏うことで脚力を上げることが出来るようになるんだ。
「ふぅ」
僕は小さく息を吐く。
そして体内にある、魔力の存在を感じる。
魔力を感じたら一旦外に出すって言う工程をすっ飛ばしていきなり均等に身体の表面に魔力を纏う。
魔力が体内をめぐる感覚に酔うと同時に身体に力が漲ってくる。
これが魔力を纏う、一番の効果。
纏う魔力の量にもよるが、これだけで身体能力は数倍に増す。
身体中に魔力が行き渡ったのを感じ取り、ばっと時計を見る。
8秒……よし、昨日より1秒短くなった
僕はその結果に満足して魔力を身体に引っ込める。
そしてまた同じように魔力の出し入れを何度も繰り返した。
これが僕の魔力操作のトレーニングだ。
瞬時に魔力が操れるようになれば、悪魔や天使と同じように魔法が使えるようになる。
それは、同時に魔法の発射速度にも比例するから対魔法戦闘でも先手を取れることを意味している。
それもまだまだなんだけどね……
結局今日の自己ベストは7.4秒。
毎日続けていると、少しずつだけど時間が短くなっていくのを感じて無駄じゃないと実感できる。
だからこのトレーニングは好きなんだよね。
トレーニングを終えたらいつの間にか5時になってた。
身体中に疲れを感じて、そのまま露天風呂に向かう。
家と倉庫の中間にある露天風呂はさっき入れた水がきちんとお湯に変わっていた。
腕をお湯に突っ込んで中にはめてある火の魔石を取り出しておく。
見て見ると既に送り込んだ魔力は空っぽになっていた。
あ、そっか。浴槽の大きさが違うからいる魔力も違うんだ。次からもう少し多めに流し込んどこう
今更気づいた僕は明日から込める魔力を増やそうと決め、服を脱いだ。
素っ裸になって一気にお風呂の中に飛び込む。
枠の外に水が飛び出たけどどうでもいい。
「ふわぁ〜」
お湯は少し緩いけど、運動した後の身体に沁み渡る。
あまりの気持ち良さにズルズルと肩まで身体が湯の中に滑っていった。
木でできている枠もいい感じの滑りを出していて、お湯が少しとろみのある感じになっているのもグッドポイント。
露天風呂ってくらいだけど外はあまり高低差がないから景観が森しかないってのは少しマイナスかな。
もう少し高い場所にあったらもっと良かっただろう。
暇になったら家の寝室のひとつをくり抜いて露天風呂にするのも良いかもしれない。
お湯に使って三十分。
そろそろ上がろうかと思って初めてここにシャワーとかで身体と頭を洗う場所がないのに気づいた。
……はぁ、結局家で洗わなきゃいけないのかー
家に露天風呂作るより先にこっちに浴場でも作ろっかな
冷めた気持ちで名残惜しく思いながら露天風呂から出る。
そしてそのまま家のお風呂で身体を洗い流した。
夕食は鶏肉をカリッと揚げて唐揚げ、それと白米で済ませた。
いつも運動後の食事は疲れてるからシンプルなものになっちゃうんだよね
下処理ぐらいは先にしとこうといつも思うんだけど……
朝に干しておいたシーツを二階に持っていくのも一仕事。
すっかり乾いてふかふかのベッドにダイブインした。
あ、最後に寝る前には家の電気を消しとかなくちゃ
動きたくないと主張する身体を引きずって電気を消して回る。
ついでに夜中に起きることがないようにトイレにも寄ってから再びベッドに飛び乗る。
そして数秒後には部屋にすぴー、と小さな寝息がたつ。
こうして、僕の異世界生活1日目は終了した。
魔力の説明分かりにくかったかな?
もし不明な点があれば気軽に聞いてね。
今日は詳しく真尋の一日を書かせてもらいました。のんびりしてるって?それを言われたら痛いなぁ。
でももう少しでストーリーも進んで行く予定。
次回の投稿は明日の10時を予定してるよ(^^)
まだまだ毎日投稿頑張るつもりだから、ブックマークと評価よろしく!