僕だけの魔法鞄
本日二話目の投稿です。もし読んでない方がいましたら最初から読んでください(^^)
追記
100ポイント突破しました!ありがとうございます。評価も一人してくださったようで、有り難いです。
これからも応援宜しくお願いします。
テールズさんに購入の意思を伝えると、終始笑顔だった彼の顔が初めて少し歪んだ。
やっぱり僕みたいな高校生が購入することなんて滅多に無いんだと思う
少しだけ優越感に浸ってる間にテールズさんは表情を戻し、話しかけてくる。
「ありがとうございます。当店では現金、カードどちらでの支払いも可能な他、100万以上の品は一括払いの他に分割払いも適応しておりますが、支払いはどのようになさいますか?」
「あー……カードの一括でお願いします」
何度も払うなんて面倒臭いよね
当分は地球に帰ってこないつもりなんだし
どうせなら今払っておこうと、一括を選択する。
今度こそテールズさんも驚いたようで、少し上ずった声で確認してきた。
「承知しました。それでは商品の最終確認をさせて頂きたいと思います。注文はそちらの鞄に空間拡張500倍を付与、800万での提供となります。支払いはカード支払いの一括払いで。付与にかかる時間は15分ほどとなります。間違いがなければここにサインして頂き身分証とカードの提示をお願いします」
テールズさんは机の上の鞄を片付け、即席のレジ機を取り出した。
言われる通りにサインを3箇所に書き、身分証と父さんの遺産が入ったカードを差し出した。
そして全ての手続きを終えると、2枚のカードと領収書を受け取る。
領収書には小さな文字で僕の名前と対応してくれたテールズさんの名前、そして¥8,000,000と書かれていた。
領収書ってこんな風になってるんだ
人生初めての領収書に少し興奮する。
テールズさんは深く頭を下げ、
「この度は購入して頂きありがとうございます。よろしければ今から鞄の付与を始めて参りますのでお預かりしてもよろしいでしょうか?」
と先ほど以上に慇懃な態度でそう言ってきた。
僕は慌てて肩にかけてるバッグを手渡すと、テールズさんは係りの女性を呼んでその鞄を渡す。
その人と一言二言かわし、その女性はこちらに深々と頭を下げて部屋から出ていった。
「それでは今から付与させて頂きますので、少々お待ちください」
今度は目の前に高級そうな饅頭が置かれた。
僕は喜んで食べていると15分なんてあっという間に過ぎていき、さっきの女性が僕の鞄を持って帰ってきた。
一緒にいたテールズさんはそれを手に取り裏返したりそこを見たりと最終的な確認をした後満足げに頷いて僕に渡してきた。
「無事空間拡張500倍の付与を終えました。加えて初来店のお客様ということでこの鞄にささやかですが衝撃耐性の付与もさせて頂きました。これで鞄自体の強度が増し、少しのことでは壊れることはないと思います」
「色々とありがとうございます!」
「いえ、それとこちらが鑑定の魔道具による鑑定結果となっております。こちらは保証書も兼ねておりますので無くさないようにお願い致します」
テールズさんは一枚の紙を渡してくる。
念のために僕も自身の特異能力、【鑑定】を使ってみるが、紙に書いてある鑑定の内容と変わりなかった。
僕は試しに腕をバッグに突っ込んでみる。
見た目では肘まで入るかという程度の深さのバッグは、きちんと魔法鞄としての機能を果たし腕の付け根まですっぽり入ってしまった。
魔法鞄の中は特に変わった感覚ではなく腕は空を切っているような感じだ。
これは……本当に凄い
満足して僕はテールズさんに礼を言った。
最初はビックリしたけどすごく良い人だったし僕みたいな高校生にも丁寧に説明してくれたから、次入り用になった時はまたここを使わせてもらおうと決める。
最後に5パーセント割引券を貰って店を出た。
「うわぁ……」
店の外は相変わらず凄い人混みで、室内だからかかなり蒸し暑い。
魔法鞄専門店の涼しさを名残惜しく感じながら早速肩に魔法鞄となった普段の鞄を掛け、次の目的地に向かった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「はー、大漁大漁」
すっかり日は落ち、電灯が道路をぼんやりと照らす中軽くスキップ調子で歩いていた。
全く重さはないが、今日買った食料や魔道具、その他様々な戦利品が全て魔法鞄に仕舞われている。
それにしても全然重さを感じないなんて、やっぱり魔法鞄は凄い
値段が張るだけの価値はある
空間拡張が付与された、使い古した肩掛け鞄を柔らかく撫でる。
鞄からは所々がほつれている、サラサラと滑らかな触感が返ってきた。
いくら電灯があるとはいえ暗い道を一人で帰るのは少し怖いのでなるべく駆け足で帰る。
足元にだけ魔力を纏って、行きより更に早いスピードで道を通り、僕は帰宅した。
「ただいま」
と僕は誰の返事もない家に帰宅の言葉を言う。
これは数年前から同じ状況だったから慣れていたが、やはり一人は寂しいと思うのは僕が弱いからなんだろうか、と考えてしまう。
ダメだよね、こんな弱気じゃ
ため息をつきながら僕は家の戸締りをしっかり確認した。
これから暫くはこっちに帰ってこないつもりだから些細な見落としがないか最後まで入念にチェックする。
そして最後にカーテンを閉め、僕は異世界に移動した。
今日二度目の異世界は、地球の時間帯と同じなのか既に日は沈んで夜になっていた。
夜の森はバリアがあるって分かってても怖いなぁ
僕は明かりを灯しながら足早に家の中に入る。
既に今日1日動き続けたせいで身体中が痛く、強烈な睡魔が僕を襲ってきた。
ダメ、最後にもう一踏ん張りしないと
そう気合いを入れる。
僕は買った食材を纏めて冷蔵庫の中に詰め込む。
そうしておかないと状態保存の付与がされていない魔法鞄の中に放置されることになり、食あたりになる可能性が高まってしまう。
せっかく今日買ってきた物を腐らせるような真似はしたくなかったため最後の気力を振り絞って全ての食材を冷蔵庫の中に仕舞いこんだ。
その足でどうにか2階まで上がり、一番近かった個室のベッドに倒れこむ。
ベッドは優しく僕の身体を包み込んでくれた。
今日もお疲れ様、明日から頑張ろう
そしてそのまま僕は一瞬で眠りに落ちた。
魔法鞄、いいですよね〜
いつも学校行く時リュックが重くて辛いです。
次回の投稿は明日の10時を予定してます(^^)
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