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魔素の森の水場で

隔日更新で申し訳ないm(_ _)m



さっきルドルはウィンドカッターで倒してたよね。

知らない記号を使った構築式だったけど属性は風だった。なら僕も風で行こう。


「ウィンドボム!」


魔法を唱え、一気に魔法陣に魔力を流し込む。

透明化の構築式は基本どの魔法陣にも組み入れているから、さっきみたいに魔法陣が浮いて見えるようなことはない。

一応初めての魔法だったから魔法名だけは唱えたけど、もしかしたら詠唱破棄出来るのかな?

今度試しにやってみよう。


というかさっきのルドルの手は何だったんだろうね。

側から見たら完全に中二病煩いの痛い子だけど。


バンッ!!


僕の魔法が発動して数秒後、周辺にいた3匹のスライムがいきなり破裂した。

勿論魔核も一緒に吹き飛んで行く。


よかった、どうやらちゃんと発動したみたいだ。

それにしても……僕が魔法を使える日が来るなんて、夢みたいだ。


「うおっ、今のにいちゃんがやったのか!?」


驚いた口調でルドルはそう聞いてくる。


「ウィンドボムって言ってね。圧縮させた空気を標的の近く、もしくは体内で解放して暴発を生み出す魔法だよ」


もっと言えば火属性との相性が良いんだよね。

元々火は風で更に熱く燃え上がることからも分かると思う。


「でも魔法陣が見えなかったぞ!」

「だから、それは魔法陣を透明化させてるだけだよ。実際はほら」


僕は透明化の構築式を抜き取った。

するとそれまで何も見えていなかった魔法陣は、あたかもたった今出現したかのようにスッと現れる。


「さっき言っていたことだけど、地球じゃ魔法陣が盗まれるってことは結構ザラにあるんだよ。だから見て盗まれないようにまずは透明化の構築式を組み込むんだ。勿論それだけじゃ心許ないからもう一つ、その魔法陣とは違うフェイクの魔法陣を被せることも必要になってくる。ま、僕もそこまで熟練してるわけじゃないから部分的に被せることしかできないけれど」

「へぇ、なんか凄いんだなー。今度そのやり方について教えてくれ!」

「いいよ。その代わり僕も教えて欲しいことがあるから、また今度教えてくれるかい?」

「勿論!」


初めての魔法を使用できた満足感に浸りながら、僕たちは川に沿って移動を開始した。



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



「そうだ。今度一回この世界の都市に行ってみようと思ってるんだ」

「そうなの?いや、別に不満はないけどなんで?」

「実際にこの世界の文化を見て見たいと思ってね。さっきの術式記号にしてもルドルが使っていたのは知らないものだったし、他にももっと知らないことがたくさんあると思うんだよ。なら知りたいと思うでしょ?」


他にもブリュンヒルデさんに服も買ってあげないといけない。

いや、その場合地球で買ったほうが喜ぶのかな?

どうせ考えてもわからないから後で聞いてみよう。


「……兄ちゃんも姉ちゃんと同じタイプだな。それなら何時頃行くってのはちゃんと決めてるのか?兄ちゃんの家からなら大体12時間くらいで街道に出ると思うな。そこからなら割とすぐに到着するはずだ」

「うへぇ、そんなにかかるの?」


それだと往復だけで丸一日が潰れてしまう。

貴重な時間が減るのはなるべく避けたい気持ちがあった。


「仕方ねえだろ、森の中じゃどうしても歩みの速度は落ちてしまうからな。かといって魔力で底上げしても魔力切れなんて面倒な症状になったら大変だから。これが一番な行き方だろうね」

「じゃあ準備をするとして、3日後くらいには一回出てみようかな?」

「了解だぜ兄ちゃん」


僕たちは川沿いを進んで行くごとに、段々と川幅が広がっているのがわかった。


「変だね。普通上流は川幅が細くなっていくはずだけど」

「……水場が近いのかもしれないな」

「あ、そっか。もし水場があるなら近づくにつれて幅があるのも納得がいくかな。それにしても、魔物が多いね」


これも何かの影響なんだろうか。

探索から三時間、家からそれほど遠くないであろう距離で、魔物と出会う頻度が増していた。

今は魔物の討伐も重要だが、それと同時にこの川のいずれを見ておきたいというのも強いので、直線的に交わらない敵は無視して進んでいる。


「おっ、開けるぞ」


これまでグネグネと行き交っていた木々がない場所に出た。

そこにあったのは、これまでの森からすれば考えられないほど大きな水源。

琵琶湖なんかは違うけど、岸辺が遠くにあり川瀬が見渡せることからここもかなりの広さなんだろう。


「……なんつーか、こんな広い水場が魔素の森にあるのは予想外だったな」

「本当に。ここなら釣りも楽しめそうだし……」

「釣りって兄ちゃんは呑気だな。ここは一応危険区域じゃないけど魔物はいるんだぜ」

「勿論わかってるよ。……あれ、何かな?」


反対側の岸辺の方、黒い塊が微かに見える。

それは見た感じ、少し蠢いているようだった。

ルドルも僕が言ったところへ視線を向け、固まった。


「ルドル?」


目を驚くように見開き、奥まで見つめようとするその姿を変に思い声をかける。


「……兄ちゃん。今すぐ家に戻るぞ」

「どうしたの?」

「どうしたのじゃねえ!あれは魔物の群れだ!氾濫の時期だったのか?いや、それならもっと数はいるはずだが……取り敢えず今すぐ逃げるぞ!俺が視線を向けた瞬間向こうのよくわかんねえ奴が一瞬俺と視線を合わせてきやがった!」

「え、よし逃げよう!」


よく分からないけど、ルドルが無理と判断したならそれに従うのが一番賢い。

僕たちは一目散に家の方に向かって走った。



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



「ニンゲン……か。ステオクノモ、ヨイガバレテはメンドウだ。ツブシテオコウ」


フォレストウルフ、ヘビースパイダー、ゴブリン、オーク、トレントなどに囲まれ、それが当たり前のようにして憮然とした態度でそのモノは、決定を下した。




逃げ足は天下一品。

これは最強に至る近道として、どうしても入れたかった場面です。

ルドル視力とってもいいですね(^^)


次回の更新も……前と同じで(汗


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