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父さんの激励

2話目まで読んでいただき、ありがとうございます。


今日はこどもの日だぞ〜!特に何も無いけどね



うん、整理しよう


僕は確か地下室に降りた。

そしてそのまま父さんが最期に渡してきた鍵で地下室の扉を開けたはずだ。


そしたらよく分からないけどまた階段があったから上ったんだ。

そして地上に出たと思ったら僕の家ではあり得ない濃い茶色の木の幹に茶色の地面、そして万遍に生えている緑の草。


……僕、とうとう狂っちゃったかな?


恐る恐る踏みしめた地面を一歩、二歩と前に進める。

地面はきちんとじゃりじゃりと音を立て、ここが少なくとも夢じゃないことがわかる。


もしかして幻術にかかってたりとか?


僕は急いでステータスを確認する。

よかった。健康と書いているからどうやら幻術の類では無いらしい。


……幻術じゃないってことはここが本物って事じゃん!

うわ、幻術の方が良かったかも


僕はそう思いながら初めて後ろを向いた。

一番最初に目に入るのはたった今上ってきた階段。

そして上に視線を移していくと、自分自身の目を疑った。


「家?」


目の前にあるのは横になった木の幹が重ねられた壁。

ある程度までいくと屋根が上に乗っかっている。

僕は存在を知るために足を無理やり動かしてこの家の周りを一周ぐるっと回ってみた。


やっぱり家だよね。


僕が上がってきた階段はこの家の裏口についていた。

つまり反対側には玄関があったんだけど、僕はぴゅーっと足早に通り過ぎたからよく見ていない。


というかもうここ僕の家の周りなんかじゃないよね!

もしかしたら異世界なんじゃ、という考えが頭によぎる。


今のご時世、異世界の存在は広く知られている。

そりゃそうだよね、悪魔やら天使やらが居るんだから異世界なんてあるに決まってる。


だけど、異世界の存在は認知されていても僕たち地球人が特定の異世界に行く方法は確立できていないと言われている。

地球人が、と言ったのは他の種族。

先ほど言ったような天使や悪魔と言った種族を筆頭に魔法が得意な種族などは既に異世界転移を可能としているからだ。

事実として魔法政府の序列上位者は一部を除き軒並み他種族がしめている。


それで、ここは一体何処なんだろう?


頭の中でいくら考えても仕方ない。

心を決めて僕はさっき足早に過ぎた玄関の前に向かった。


この家はさほど大きくなかったからすぐに玄関前にたどり着いた。

どう考えてもここは森だし滅多なことで人は来なさそうだけど玄関前には赤い郵便受けが設置してある。


扉の横には窓がついてるけどカーテンがあるお陰で中の様子をみることが出来なかった。


ゴン、ゴンと扉についていた紐を引っ張り来客を知らせる。

しかし、いつまで経っても中から人が出て来る気配は無かった。


もしかして居ないのかな?

ドアノブを回したらがちゃりという音とともに簡単に扉が開いた。


空いてるじゃん


「おじゃましまーす」


小さく断りを立ててから中に入った。

玄関からみて左手と右手に扉があって、中は両方リビングにつながっている。

二階に寝室があるのを確認したあと、僕はリビングに戻った。

どうやら人は居ないようで、長いこと使われていなかったのかそこかしこに埃が積もっている。


「なんだこれ?」


リビングに置いてある机の上に、一枚の封筒が置かれているのを見つけた。

さっきは見落としたのかな、と僕はその封筒を手に取り、目を見開いた。


そこに書かれていたのは『真尋へ』という、紛れもなく父さんの文字だった。


心臓がドキドキとなっているのを感じた。

焦る手を落ち着かせながら深く息を一回。

少し気を鎮め、封筒の中身を出した。


中に入っていたのはB5サイズの紙が3枚。


『真尋へ。この手紙を読んでいるってことは俺はもう死んでいるのだと思う。生前は色々迷惑をかけてしまっただろう。すまなかった。


何を書こうか迷ったんだがな、あんまこういうのは慣れてないから言いたいことだけ書くぞ。


この世界はもう真尋も気づいてるかもしれんが地球じゃない。俺が見つけた、魔法政府にも知られていない別の世界だ。なんでこの世界が見つかったとかうちの地下室が繋がってるんだとかは考えんでもいい。簡単に言うとどうやらこの世界は次元の移動軌道が地球と全く同じらしい。


と、そんなことはどうでもいいんだが、この世界がなんだって話だな。真尋の特異能力(アビリティ)は【倍増】と【鑑定】だったよな。そのせいで真尋はゴブリンを倒す事ができずにレベルアップの機会が無かった。虐められもしてるんだろう?すまなかった。


だがこの世界は別なんだ。ゴブリンなんて目じゃないくらい弱いモンスターが沢山いる。真尋にも倒す事ができる、レベルアップが出来るんだ!


この世界には他にも今の地球からすれば魅力的なものが山ほどある。これを使うかどうかは真尋次第だがきっとうまくやってくれるさ。


この世界にも勿論人がいる。彼らと話すのには言語理解のリングで対応できるはずだ。俺はそれでやれてたからな。


あとは……そうだ、この世界に来る時地下室を通っただろ?最初は偶々だったんだが、鍵という核さえあればどんな扉でもこの世界との通路(ライン)が出来るように設計しておいた。


その鍵は大事にしろよ? 勿論壊れないように友人に劣化防止の付与はつけてもらってるからちょっとのことじゃ壊れないだろうが念のためだ。俺が死んだことでその鍵も真尋のものになってるから好きに使ってくれ。


この家も俺が建てたものだから真尋にやろう。特上クラスのバリアを張ってるから中は大丈夫だが外は魔物がいる。気をつけろよ。お古だが俺が使ってた剣と装備を家の隣にある倉庫に置いておいた。ここ付近の地図もあったはずだ。参考にするといい。


じゃ、俺が言うのも変だがありがとな、真尋が居てくれたおかげで俺の人生は楽しかった。だからお前も楽しく生きてくれ。死んだ俺からの願いはそれだけだ。またな』


ぽたぽたと机に水滴が落ちる。

これまで堪えてたのがまた一気に溢れ出した。

必死に耐えてたのに。


「うぅ、……」


気づかない間に嗚咽が口から溢れた。


なんで……こうかなぁ。

またな、またなって。どこで会うっていうんだよ。

父さんはいつも適当なこと言って、それで最後に笑うんだ。

いつも振り回されてたからよく知ってる。

この手紙も散々悩んだろう、あちこちにシワが寄るほど強く消し跡が残っている。


もう、頼れる人はいない。

それが強く感じられる、今度こそ父さんの最後の手紙。


それを僕は丁寧に折りたたんで封筒の中に戻した。




おい、戦えて研究も建築もできるなんてどこの完璧超人だよ。いや、父さんなんです

ちょっとくどかったかな?ゴメンね


異世界での行動はもう少し待ってください。具体的には後2、3話……?

次回の投稿は明日の10時を予定してます


ブクマや評価、感想なんか頂けましたらこれ以上ないほど舞い上がります。

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