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僕は彼女たちと契約を結ぶ

気づけばもう投稿開始して一週間が経ってました。

ここまで読んでくれてる皆さん、ありがとうございます(^^)





「誰!」


少女は少年を肩にかけたまま僕に向かって叫んだ。

少年の方は寝てるみたいで、目を開ける様子はない。


見つかっちゃったし仕方ないよね


念のために足に魔力を纏っていつでも逃げられる準備をしておく。

子供だからって油断はしない。

どんな特異能力(アビリティ)を持っているか分からないし、何より僕はレベル1だ。


僕は彼女の前に姿を出した。

彼女との距離は10メートル、ないくらい。

彼女は鋭い目つきのまま僕に問いかけてきた。


「貴方は誰ですか?」

「人に名乗る時は自分からって習わなかったかな?」


彼女は迷うそぶりを見せてから答えた。


「私はサーシャです。こっちの、寝ているのは弟のルドルです」

「僕は葉月 真尋だよ。真尋が名前。二人ともかなり消耗してるみたいだけど、大丈夫?」


彼女たちはここに来るまでにどんな道を通ってきたのか走らないけど、身体中に森の木々から受けたのだろう擦り傷があり、何より二人とも裸足だった。

サーシャと名乗ったこの子も強い目はしてるけど身体はフラフラと揺れて今にも倒れそうだ。


「……かなりキツイです」


彼女は息も絶え絶えな様子で、小さく息を吐いた。

その声には最初のような強さは感じられない。


「お願いです、見ず知らずの人に頼むのは恐縮なのですが助けてもらえませんか?」

「いや、助けるって言われても……」

「気づいているかもしれないですが、私たちは奴隷です。そして先日主人を失いました。主人がいない奴隷は死んでしまうんです」


彼女は諦めたような口調で、そう言った。


え、この子たち奴隷だったの?

さっきから見え隠れしてる首の白い紋様ってそういうことだったりするの?

というか主人がいないと奴隷は死ぬってなんだよそれ


そんな疑問ばかりが頭の中でグルグルと回る。

僕の沈黙に焦ったのか、彼女はさらに早い口調で僕を説得するように喋る。


「主人を失って今日で7日。もう時間は残ってないんです。7日経って新しい主人が見つからなかったらこの首にある奴隷の紋様が身体中を侵食して死に至ります。でも、私はまだ死にたくない。こんな所で死ぬわけにはいかないんです。だから、無理を承知でお願いします。私たちの主人になってくれませんか?」

「えっと、ゴメンね。よく分からないんだけどさ君達はもうすぐ期限が来て死んじゃいそうだから僕に君達の主人になって欲しいってことでいいのかな」


僕がゴメンねと言った瞬間、しゅんと項垂れたけどぼくが求められてることを整理すると、目を挙げて大きく何度も頷いた。


「奴隷っていうものが僕はよくわかってないんだけど、何か僕がしなきゃいけないことはあるのかな?」

「一つだけあります。私たちは犯罪奴隷では無いので、奴隷を所有する時は最低限の生活が出来るように必要なものを与えなければなりません」


僕の曖昧な質問にも即答して来る。

それぐらい焦ってるってことなんだろう。


「分かった。直ぐにやろう」


僕は彼女を安心させるために力強く頷いた。

それに彼女は逆に驚いた様子を見せる。


「えっと、本当によろしいんでしょうか?」

「そりゃ目の前で死ぬって言ってる子がいたら助けるでしょ。それに君のさっきの目。そんなボロボロの状態でも生きることを諦めてない、強い目だった。だから僕は君を信じたいと思った。それじゃダメかな?」


本当は他にも理由があった。

今僕たちがいるこの森はこの世界の人たちにとってどんな場所なんだとか、魔物の種類だとか、こっちの情勢やら人についての情報だとかを知りたいというのが一つ。

あと、僕の事情を理解してくれる、現地の人間も欲しかった。


兎にも角にもこんな、奴隷っていうシステムはよく分からないけどこの子を信じて見たいと思った。


「いえ、ありがとうございます」


彼女はぺこりと頭を下げる。


「で、その主人になるっていうのは口約束で良いのかな?」

「いえ、こちらの首の紋様にハヅキ様の魔力を流していただければ新たな奴隷契約は完了になります。あと、奴隷契約は多少の痛みがありますので、苦しそうにしていても続けてください。私の方が終わったら弟の方もお願いします」

「分かった。じゃあ動かないでくれるかな」


彼女はこくりと頷いて、肩まで伸びた髪を後ろに束ねた。

僕は緊張しながら、彼女の首元に手をあてる。

こんな蒸し暑いなかでも、首の細さと相まってかなりの熱を帯びている。


「良いかな?」


最後の確認のために聞く。

彼女は黙って首を縦に振った。


「じゃ、いくよ」


そう掛け声をいれ、首に僕の魔力を流し込む。

他人に魔力を渡すのは初めてだったから心配だったけど、首の紋様が魔力を吸っているようで魔石に魔力を流し込むのと同じ感じで簡単に魔力が入っていった。


彼女は首に魔力が流れていくたびに、顔がどんどん険しいものになっていった。

次第に彼女は苦しそうな声を出す。


「大丈夫?」


さっきより更にしんどそうに呻いている彼女に聞くと、続けてくれというような目を向けられた。


先程まで白かった首の紋様が、魔力が溜まっていくのにつれ赤く、点滅を繰り返す。

紋様の点滅が終わり、全体が薄い赤で色付けられた。

これ以上流そうとしても魔力が跳ね返って来るのでこれで良いんだろう、と注入を終了した。

僕の少ない魔力でも殆ど減らずに完了したから、これならもう一人分も出来ると安心する。


サーシャちゃんは先ほどの奴隷契約で心身ともに尽きたのか、息はしているが地面に倒れている。

本当なら今直ぐにでも介護はしておきたいがサーシャが言うには一刻を争うらしいので先に弟くんの方も済ませてしまおうと考えた。


弟くんの首に手を当ててサーシャちゃんの時と同じように魔力を注いでいく。

この子は最初から気絶してたみたいで、時々呻き声をあげても起きることはなかった。


二人ともに魔力を注いだからこれで大丈夫なんだろう。


サーシャちゃんもルドル君も起き上がる様子はない。

元の体力が限界に近かった上に奴隷契約の痛みもあったんだ。

無理はないと思う。


でも、これで流石に森の探索は続けられないよね……


二人を見てため息をついて僕は魔力を身体に纏った。

別に森の探索なんていつでも出来るし、この子たちの介護の方が先だ。


二人を落ちないように抱えて、魔力全開で家がある方に走った。





初めての異世界人と遭遇しました。

もしかしたら次はサーシャ視点での話になるかも?


余談ですが、昨日の11時ごろに小説家になろうのサイトがウェブ利用制限に引っかかるようになりました。

せっかくの執筆時間が……!

早く親に解除してもらいたいなぁ


次回の投稿も明日の10時を予定してます(^^)


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