俺は普通の男の友情を築きたいだけだってのに……
かっとなって書いた。反省はしていません。
目の前に広大な森が広がっていた。緑の匂いがこちらまで届きそうなほど、青々とした葉を風にそよがせている。どこまで森が続いているのか皆目見当がつかず、見ていると吸い込まれそうになる。
森林浴やキノコ狩りといった、のどかな目的で来ているのなら、穏やかな気分で自然を楽しめたんだが、あいにくと今日はそうはいかない。
何故なら俺たちの後ろには守るべきものがあり、森の奥から脅威が迫りつつあるからだ。
「今日こそ絶対に倒してやるから……!」
薄い赤色のサイドテールを片手で靡かせながら、十二、三歳頃にしか見えない少女が、愛らしい顔に似合わない険しい目つきで森の方を睨んでいた。
実年齢は見た目より四つほど上なのだが、種族がドワーフのため、身体がちんまい。そのことをつっこむと烈火のごとく怒りだすんだが……。
「テンタリス、アンタなにぼさっとしてんの? もうすぐあいつら来るのに、しゃきっとしなさいよね」
ドワーフの少女が森ではなく、俺を紅玉の瞳で睨みながら、不満そうに頬を膨らませた。
そんなんだからますます子供っぽく見えるんだよ。思わず頬をつっつきたくなるが、悪いのは俺の方なので素直に謝っておく。
「悪いアミア。でも心配すんな。きっちり盾役はこなすから」
「どうだか」
そういってドワーフの少女、アミアは肩を空かせた。
「アミアさん、テンタリスさんも謝っていますし、いざって時は頼りになる方ですから、ね?」
俺の隣にいたシスター姿の女性が、アミアを諌めた。
「……むぅ。わかったわよ。しっかりやんなさいよテンタリス」
「おう、任せとけって」
「ふふ、仲直りしてくれてありがとうございます」
ほっとしたように、シスター姿の女性が和やかに笑った。ベールに隠れていて分かりづらいが、よく見るとエルフ特有の長い耳がピコピコ動いて、金色の髪がベールと一緒に微かに揺れている。
何かあるとすぐに動く耳が、なんとも可愛らしい。年齢は辛うじて二十歳を超えていて、風貌も可愛いよりも美人が似合うのだが、人柄と表情から実年齢よりも幼く見える。
若いころのエルフの成長速度はヒューマンと変わらないはずなんだけどな。
……まあ、アミアと比べ物にならない、シスター服からでもよくわかる、主張の激しすぎる胸から子どもだとはとても思えねえけど。
「ユミル、テンタリスがやらしい目でアンタの胸を見てるわよ」
「……ふえっ? きゃっ!」
「おまっ、やらしい目はしてねえっての!」
「ふーん、見ていたことは否定しないんだ」
心底軽蔑していますといった目で、俺を蔑むアミア。シスターエルフ――ユミルは必至に胸を両手で隠そうとしているが、隠しきれる大きさではないので、ぎゃくにたゆんたゆんと形を変えて揺れて、正直その、エロいな……!
「さいてー」
「いや、男の性というか、つい見てしまうというか……申し訳ございませんでしたぁ!」
「い、いえ。男の人の仕方のないことと分かっていますから、だ、大丈夫です!」
若干涙目になっているユミルに罪悪感を覚えつつも、今はそんなことをしている場合ではないと気を張り直した。
「う、うし! 今日こそは守りきるぞ。それが俺らの使命だしな」
後ろにある俺たちの守るべきものを見て、気持ちを新たにする。
「アンタねえ、ごまかし方にもほどってものが……まあいいわ。いい加減終わらせられなくて、むしゃくしゃしていたのよね」
森を睨みながら、アミアが気合いを入れた。
「うぅ……。ナーレさん、大丈夫でしょうか」
目の端に溜まった涙を指で拭い取りながら、ユミルが先行した仲間を案じ、不安そうにつぶやく。
泣かせてしまい申し訳ない気持ちになり、ごまかすように軽口を叩いた。
「大丈夫だろ。斥候はあいつの得意分野の一つだし、殺しても死にそうにない女だからな。どんな窮地でも、しぶとく生き残ってそうだ」
そういって笑い飛ばしていると、アミアがなんとも形容しがたい渋い顔をした。ユミルも何故か固まっている。
「どうした? まさかもう襲撃にきた――」
「ふむ。貴方が私を普段どう思っているか、なかなか興味深いことを聞かせて貰った」
アミアのどこか甘ったるい声でも、ユミルの優しげな声でもない、凛とした、でもどこか人の悪さがにじみ出た声が、俺の真後ろから聞こえた。
同時に首筋を指でつつーと撫でられる。
「うぎゃあ! い、いきなり何すんだ! びっくりしたじゃねえか!」
思わぬ不意打ちに叫び声をあげてしまった。そんな俺を人を取って食ったような顔で、女がにやりと笑う。
その女は何処かの国に使えていそうな、女騎士のように凛々しい容姿をしていた。美しくも鋭い眼差しが、慌てる俺を見据えている。でもその意地の悪い笑みで、凛々しさが台無しだった。
どう見ても女騎士というよりも、それに扮した悪い魔女だ。
「悪い魔女とはひどい男だ。これでも昔は清廉潔白な人間を目指していたのだが」
「お前、さらっと人の心読んでんじゃねえよ!」
「顔に出やすい君が悪い」
「てか昔はって、今はどうなんだ?」
「……月日は人を変えるものだ」
そう言葉をぼかし、くくっと女は笑った。年はパーティー内で最年長の俺に次ぐのだが、こういう笑い方をすると、俺よりも年上に見える。
黙って人の悪さを押しこめておけば、とびきりの美女なんだが……あっ、やべ。同じヒューマンなのに、なんでこんなに顔の造形に差があるんだと、哀しくなってきた。
「なに変な顔してんの、テンタリス」
「……なんでもねえよ」
「ははは、アミア。そっとしておいてやれ。テンタリス、男は顔だけじゃないから、あまり気にするな。そのうち良い人でも見つければいい」
うっせえ。一般的に容姿が整ってる方が良いっていうに決まってんじゃねえか。しかも、こういう時だけ本心から言っているのが逆に気に食わねえ。
「あ、あの。ナーレさん。敵の様子はどうでしたか?」
ユミルが気を聞かせて、クソ意地の悪い女、ナーレに問いかけてくれた。ユミルの爪の垢でも煎じて、ナーレに飲ましてやりてえ。
「ああ、それならそろそろ来るぞ」
「ふえ?」
重要なことをさらっと言ってのけた。ユミルがつられて気の抜けた返事をした。
「ちょ、ちょっと! なんでそんな重要なこと、早く言わないのよ!」
アミアが慌てて、愛用の魔法の指輪を確かめるように撫でる。
「すまない、言いそびれてしまった」
「全然すまないって顔してねえよな! 確信犯だよなお前!」
すっかり手に馴染んだ鋼のラージシールドをぎゅっと握りしめ、ナーレを怒鳴りつけた。しかし当然のごとく堪えた様子もない。
「テ、テンタリスさん。ここは抑えて下さい。態勢を整えないといけませんし……!」
「ぐう……すまん、ユミル。ナーレ、あとで覚えておけよ!」
覚えていられたら、と軽口を返すナーレを理性を持って無視し、いつでも飛び出せるよう身構える。
森の方を見据えると、森を駆ける音が微かに聞こえる。それもかなりの数だ……!
「……来るわよ!」
アミアが声を張り上げると同時に、森が震えた。
実際に森が震えているわけではない。だが、震えているとしか思えないほどの、凄まじい遠吠えが、森のあちこちから上がっていた。
「うわ……相変わらず嫌になる数ね」
「これくらいでぼやくなっての。俺が一番きついんだからな」
「頼りにしてるぞ、テンタリス」
「怪我をされたらすぐに癒しますから、頑張って下さい!」
にやにや笑うナーレにやる気をそがれ、心の底から俺の身を案じているユミルに癒されながらも、俺は森に向かって一歩、駆けだした。
「任せろ!」
もちろん今の任せろはユミルにだけ返した言葉だ。
重たい鎧を煩わしく思いながらも、走る。もっと早くナーレが敵襲を知らせてくれれば、余裕を持って移動できたんだが、ほんとろくでもねえな!
内心愚痴りながらも四苦八苦走っていると、森から四つの影が飛び出した。
俺を取り囲むように素早く散開すると、発達した犬歯をむき出しにして唸り声を上げている。
「きやがったな、フォレストウルフ! 今日こそ引導渡してやるぜ!」
フォレストウルフ。狼を一回り大きくしたような姿をしているが、狼ではない。正確にいえば、動物ですらない。
動物とは異なる生態を持つ、マモノと呼ばれる存在だ。
フォレストウルフは森を縄張りとするマモノで、森を縄張りとしている。本来なら森から出てこないはずだが、何事にも例外は存在する。
フォレストウルフ共は、人を易々と切り裂けそうな爪を地面に食い込ませ、今にも俺に飛びかかろうとしていた。
だが警戒しているのか、すぐに襲いかかろうとはしない。散々やりあってきたからか、こいつらも少しは学習してやがんな。
いつ飛びかかられても対処できるよう、盾を身構える。油断せずにちらりと仲間達の姿を確認した。
アミアは離れた位置からすでに呪文の詠唱に入っていた。ドワーフと聞くと大抵はファイターを思い浮かべるが、土魔法が得意なものも多く、アミアみたいにメイジの適性もある。
アミアの場合は土魔法だけじゃねえが……っと、余計なことを考え込みそうになった頭を切り替え、ナーレを様子を見やる。
ナーレはフォレストウルフを刺激しない絶妙な位置につき、弓を構えていた。
斥候などの盗賊スキルもあり、弓も扱え、腰に携えたショートソードもお飾りじゃない。パーティーに一人いると便利なトリックスターとは良くいったものだ。
ユミルはアミアの傍に控え、プリーステスとして回復役兼、手に持った杖でアミアの護衛役を兼ねているが、よっぽどの機会でもないと杖を振るうことはないだろう。
そんなほぼ必要ない護衛より大事な役目を、ユミルはもう一つ兼ねていた。
「目標はまだ確認できてません! テンタリスさん、引き続きフォレストウルフの注意を引きつけて下さい!」
普段の温和な声とは違う、戦場によく通る張り上げた声でユミルが俺に指示を出す。
「あいよ! おら、犬っころども! 見てねえでかかってこいや!」
逆の手で盾を軽く叩いて挑発すると、一体のフォレストウルフが我慢の限界とばかりに襲い掛かって来た。
動きは早いが、動きはこちらに真っ直ぐ突っ込んでくるので読みやすい。慌てずに爪を振るうのに合わせて、盾を突き出す!
「キャンッ!」
「はっ! バカ正直な攻撃ありがとさん!」
鋼のラージシールドに爪を折られ、俺につっこんできたフォレストウルフが悲鳴を上げて、地べたに這い蹲った。足の骨も折った感触がしたので、もうまともに動けねえだろう。
「ガアアウゥ!」
仲間をやられた怒りからか、周りに控えていたフォレストウルフも一斉に襲い掛かって来た。
「おっと、さすがにこれはきついな……っと!」
軽口を叩きながらも、噛みつこうとする二体目のフォレストウルフを盾で殴りつけた。顔面を強打され、弱々しい声で小さく鳴くと、二体目は気を失った。
だが、間髪いれずに三体目が倒れた仲間を飛び越え襲い掛かる。
「んの……やろっ!」
重たい盾をどうにか構え直し、どうにか攻撃を防ぐ。だが、防ぐのが精一杯で盾で殴りつけることはできず、相手は無傷だ。
敵意に燃えた目で俺を睨み、再度飛びかかろうとしている。
「グルルァ!」
三体目に注意がいった隙を狙って、四体目がいつの間にか俺の背後から襲いかかってきた。しかし俺は背後の犬っころを無視して、三体目のフォレストウルフに意識を向けたままにする。
顔は見えねえが、殺ったと確信に満ちた目をしているのだろう。
やっぱこいつらだけだと、ただの犬っころだな。俺は一人じゃないってことをすっかり忘れてやがる。
風を切る音が聞こえた。間髪いれずに四体目の情けない悲鳴が上がる。
「テンタリス、もう少し背後にも気を配ったらどうだ?」
四体目を弓で射たナーレが、俺に軽口をかける。だが、バカにした声色ではない。代わりにどうだ、私はすごいだろうと自慢がにじんでいた。
射ぬかれた背後のフォレストウルフはまだ息の根はあるだろうが、ナーレの矢には即効性の痺れ薬が塗ってある。しばらくはまともに動けないだろう。
「へいへい。ありがとうよ」
一応感謝しているが、素直には言う気にはなれないので、ぞんざいに礼をいう。返事はないが、ナーレがやれやれと肩を竦める姿が目に浮かんだ。
他の仲間が全てやられたのを見て、三体目が弱腰になった。さきほどの敵意はどこへやら、負け犬の顔してんぜ、お前。
「てめえも今、楽にしてやらぁ!」
背中に携えていたメイスを盾を持った逆の手で握りしめる。三体目が後ろに跳び退く前にメイスを振り上げ、打ち下ろす!
どんっ! と大きくモノを打ち鳴らした音が辺りに響いた。
だが、打ち据えたモノはフォレストウルフではなかった。
……俺の渾身の一撃は、むなしく地面をぶったたいていた。
三体目はどうにか身をよじって、俺のメイスを避けていた。
犬っころと目と目があった。なんだか俺を憐れんでいるように見えるのは、俺の気のせいだろうか。いや、気のせいだといってくれ。とどめが外れた現実といっしょに。
「ははははっ! 今のを外すとは、やはり君は攻撃役には向いていないな!」
「うるせえ! 汗で手が滑っただけだし! ちょっと運が悪かっただけだし!」
「テンタリスさん、だ、大丈夫です! フォレストウルフを引きつけている貴方が一番頑張っていらっしゃいますから!」
情けなくわめく俺の耳に、ユミルのフォローが突き刺さる。うう……こういう時はナーレのように笑い飛ばされた方が気が楽だ。
その隙をついて、始めに俺が足を叩き折ったフォレストウルフが、前足を引きずりながらも噛みつこうとしてきた。でも、足が一本つかえないなら、致命的に遅過ぎだ!
「おらぁ!」
今度こそとメイスを振り上げ、犬っころの頭を叩き潰す。肉と頭蓋骨を砕く感触が、メイス越しに伝わる。赤い血を吹き出しながら、一体目のフォレストウルフが絶命した。
すると途端に犬の死体が収縮し、手の中に納まるような石になった。
マモノは種族によって姿形や生態は、てんでばらばらだが、共通して死ぬと血晶石と呼ばれる石になる。今やこの血晶石は人の暮らしに欠かせないものとなっているが、今考えることじゃねえな。
ヒュウ、と褒めているのか、偶にはやるじゃないかと遠回しに貶しているのか、よくわからないナーレの口笛が聞こえた。それにメイスを軽く上げることで応えた。
仲間が血晶石と化したことで、最後に残った犬っころは恐れをなして後ずさりした。反転するやいなや、逃げ出す。
「うし、第一陣は追っ払えたな。さあ次は…………うおっ!」
一息つけると思った途端、森からフォレストウルフの新手が飛び出して来た。しかも数は先ほどの倍以上の、九体。仲間の仇を討とうと、憎悪を滾らせ俺に一直線に向かってくる。
逃げ出した負け犬が仲間を見るやいなや、こちらに振り返った。マモノの表情の違いなんざわからないが、どこか勝ち誇ってるような気がしてむかつく。むかつくが……あの数の対処は無理だっての!
「アミア! アミアさん! 出番だ! 出番ですから助けろ!」
声を張り上げ、必死にアミアに助けを求める。四体ならナーレの援護だけでどうにか対応できるが、あの数は絶対無理無理!
アミアはすでに呪文の詠唱を終えていた。自分の目と同じ色に光る魔法の指輪を眼前にかざしている。呆れた顔をしているのは、遠目でも見て取れた。
お前、盾役がどれだけ大変かわかってねえだろ、と内心悪態をつきながらも「はやく、ぶっぱぶっぱ!」とわめいた。
仕方ないわねといいたげにため息をつくと、発動のキーとなる使用する魔法の名を、アミアは唱えた。
「イグニート!」
すると、九体のフォレストウルフが駆ける少し先に、小さな火種が一つ生まれた。
野生の獣は火を見ると恐れるが、マモノであるフォレストウルフは気にするものでなく、俺を八つ裂きにしようと通り過ぎようとする。
一見なんの意味のない魔法に見えるが、俺はにやりと笑った。
「くたばれ犬っころども!」
俺がそういった途端、火種が急速に膨れ上がった。こちらまで被害は及ばないだろうが、念のために盾を構える。
犬っころ共が異変に気づいて散らばろうとするが、もう遅い。
凄まじい音を立てて、膨れ上がった炎がはじけ飛んだ!
広がった炎は瞬時に犬っころ共の身体を焼きつくす。鉄をも溶かす炎に耐えきれるはずもなく、次々と血晶石へと姿を変えていく。
高温の炎で生まれた風を盾でうけつつ、予想以上の凄まじい威力にうわあ……と少しだけドン引いた。
さすが強力な祝福持ち。強さの桁が違うな。
魔法で生まれた炎はフォレストウルフの第二陣を全滅させると、幻のように消え去った。炎は意図的残すこともできるが、辺りが炎上するのを恐れて消したのだ。
「強力だけど、詠唱時間が長いのが難点ね。そのせいで、今までフォレストウルフにぶっ放せなかったし」
なんでもない風にいってるけど、もうちょっとこう、なんかいいようがあるだろ。
唖然とした顔で見つめていると、アミアが俺を睨んできた。
「ぼさっとしない、盾役! アンタが引きつけていないと、あたし達が危ないじゃない」
「あわわ……」
自身と、隣で魔法の威力にびっくりしたのか、慌てているユミルを指さしながら、アミアが文句をいった。
「はいはい、悪うございました」
「……まったく、頼りにしてるんだから、ちゃんとしてよね」
「ツンデレか! ツンデレだな!」
「ツンデレじゃないっての! 単に正直に言っただけだからね! ナーレ、アンタわかってていってるでしょう!」
「誰も本心でデレとか思ってねえから、心配すんなっての――おらっ!」
そう諌めながら、仲間を全て焼き殺され、放心していた最後の一体に近づきメイスを振り下ろす。ろくな回避もできず、フォレストウルフは叩き殺された。
生き残っているが、ろくに動けない残りのフォレストウルフも、何時の間にやらナーレが射殺していた。人をからかいながらも、ちゃっかりしてやがんな。
「ユミル、さっき私がイグニートで始末した中に、目標はいた?」
「すみません、あの中にはいませんでした」
犬っころ共の親玉を見極める役目を担っているユミルが、本人が悪いわけでもないのに申し訳なさそうに謝った。
戦闘でまだ貢献できていないことも気に病んでいるのだろうが、親玉を見極められるユミルがいなくちゃ今回の作戦は成り立たないのだから、気にしなくてもいいのに。
しかし、どう声を掛ければいいのかわからず、代わりにナーレに問いかける。
「ナーレ、残りは何体いる?」
「偵察に行った時に見た数から、今の数を引くと七体だ。ただし、視認できなかったフォレストウルフもいるだろうから、過信はしないでくれ」
「残り七体プラスアルファかよ……嫌になるな」
しかも、ただのフォレストウルフをいくら始末しても、親玉がいる限り新しい個体が群に加わるから性質が悪い。
前回も、前々回も親玉を逃がしたせいで徒労に終わっているのだ。今回こそは必ず仕留めてやる。
そう気持ちを引き締めていると、第三陣が森から飛び出して来た。
来やがったな、犬畜生共。人間様の力、見せてや――。
「…………あの、ナーレさん。七体どころじゃないんですけど。倍以上いるんですけど」
「だから過信するなといっただろう。貴方は人の話をちゃんと聞いていたのか?」
「聞いてたけど、これは予想外過ぎるだろっ!」
十五体は超えるであろうフォレストウルフの群が、先ほどの憎悪にかられた闇雲の突撃ではなく、まるで軍隊のように統制をとりながら、二列に並んでこちらに向かってきている!
あからさまに動きが違う。ただの犬っころだけじゃ、あんな真似できるはずがねえ。
「どう見ても親玉が、直接仕切ってるじゃねえかよ!」
動きから見て、群の中に親玉がいるのは間違いなかった。だが、どいつもこいつも同じ見た目をしているので、どれが親玉か俺にはさっぱりわかんねえ。
見分けられるユミルがいて助かった……って、この状況、全然助かってねえよ! 俺はやべえっての!
「ア、アミアさん、また出番ですよ! もういっちょ派手にぶっ放して下さい!」
「ちょ、ちょっと待って! イグニートには長い詠唱が……って、きゃあああ! こっち来てる! 群の半分がこっちに向かって来てるじゃない!」
アミアがわめいた通り、二列のうち一列が群から別れ、アミア達に向かっている。
「テンタリス、早く肉壁になりなさいよ!」
「無茶言うなっての! 今あの数全部を引き受けたら、俺がミンチになる!」
「きっちり盾役こなすっていった癖に! いいから自分の仕事をこなしなさいよ!」
「うるせえ! 援護あっての盾役だ! いいから詠唱始めろ!」
俺とアミアが醜く言い争う。こんなことしている場合じゃないとはわかっているが、命の危機があるせいか、頭に血が上っていた。
「あ、あのー? その……」
そんなバカやってる俺たちをユミルが諌めようと、おずおずと話しかけようとするが、剣幕に押されて結局いいだせないでいた。
「ううう……ど、どうしましょう。せっかく目標がでてきたのに、このままでは……」
「ふむ。ユミル、あの群の中にいるのは確かなんだな」
「え? あっ、はい。テンタリスさんの方にむかっている群の中にいます」
「よしわかった。ちょうど都合がいいな」
いつの間にやらユミル達に合流したナーレが、何か話しかけている。だが、二人の会話は耳に入って来なかった。
だってもうすぐ来る。てかもう距離がほとんどねえ。犬っころどもに取り囲まれる!
そんな状況なのに、ナーレが最後にいい放った言葉だけ、やけにしっかりと聞こえた。
「後は、私たちのリーダーに後を任そう」
そういうや否や、腰に下げた道具袋からかんしゃく玉を取り出し、地面に投げつけた。遠くまで響く破裂音に、一瞬だけフォレストウルフの群は動きをとめたが、すぐに俺やアミアに食いつこうと走り始める。
ナーレの行動は、犬っころどもには全く意味のないものだ。だがそれでいい。何故ならこれは、俺たちの最後の仲間。我らの頼りがいのあるリーダーへの合図だからだ。
突然、俺の近くの地面から一人の美男子が飛び出した。
土の中に潜り込んでいたとは思えない、まるで高い段差を楽に乗り越えるような軽やかさだった。
不思議なことに身体には土が全くついていない。一見すると女と見間違うような中性的なイケメン顔にも汚れ一つない。
アミアの土魔法に土や石の中に潜り込め、呼吸もできるアースハイドと呼ばれるものがある。美男子はアースハイドで隠れ、辛抱強く機会を待っていたのだ。
今まで何度も逃げられたフォレストウルフの親玉を倒す、絶好の機会を。
突如として出現した美男子に、フォレストウルフたちは何事だと動きをとめている。そんな犬っころ共を気にもとめず、美男子はなすべきことをするために行動を始めた。
「ユミル! 目の前のフォレストウルフの中に、目標がいるんだね!」
黒曜石の瞳を真剣な色に彩らせ、美男子は声を張り上げユミルに問いかけた。
「はい! 右から四体目、動揺から一番に立ち直ったものがそれです!」
ユミルへの礼は、ロングソードを鞘から引き抜くことで応えた。クッソむかつくが、イケメンは何をしても映えるな、おい。
「テンタリス、フォローは任せたよ」
美男子は一瞬だけ俺を見て、口元を綻ばせた。頼りにしている、信じている。言葉にしなくても伝わってきた。
ああもう、本当に何から何までイケメンだな、うちのリーダーは!
「了解だ、リック。雑魚は気にせずやっちまいな!」
俺の言葉に後押しされ、我らがリーダー、リックはフォレストウルフの親玉――フォレストクイーンに向かって駆けだした。
クイーンだと看破したことに気付いたのか、身を守ろうと家来の犬っころ三匹をリックの迎撃にあたらせた。
一体は真正面から噛みつこうとし、残り二体が左右に別れ、真ん中のフォレストウルフと時間差で攻撃しようとしている。
だが、リックは慌てることなく、力ある言葉を唱える。
「荒野を往く獣の俊足を! ソニックムーブ!」
唱え終えた瞬間、リックの走る速度が三倍になった。マジックナイトお得意の身体向上魔法だ。
ソニックムーブの効果は単純明快、足の速さが増すこと。詠唱が短く、込める魔力によって効果を調整できる、なんとも便利な魔法だ。
不意をつかれたフォレストウルフ三匹は、そのままリックを素通りさせてしまった。慌てて反転しようとするも、今の速度はリックの方が上だ。
しかし、フォレストクイーンに動揺はない。残り五体のフォレストウルフを矢面に立たせ、すでに悠々と退却を始めている。
自分がいればいくらでも群を立て直せると、わかり切っての行動だ。イレギュラーがあれば、即座に撤退する。ほんと、犬っころの癖に賢いじゃねえか。
アミアに割いた群はそのままアミア達の元へ向かわせ、こちらを援護できないよう牽制していた。
クソ、慌てて全部俺らに回してくれりゃ合流するのも時間がかかるから、かなり楽になるってのに。やっぱクイーンがいるといないじゃ、やりにくさが全然違うな。
「すまない、そちらはそちらでどうにかクイーンを討ってくれ!」
「こっちはアタシ達でどうにかするから!」
「頑張って下さい、リックさん、テンタリスさん!」
前衛が一人もいないのに、たいした根性だよ。うちの仲間の女たちはよ。
「負けてられねえよな、リック!」
「うん、そうだね!」
フォレストクイーンを追いかけるリックの後を、かなり遅れて追随する。
ソニックムーブを唱えた今、クイーンよりもリックの方が若干早いので、このままいけば追いついて討てるが、そうは問屋が卸さない。
親玉から死守の命令を受けた犬っころ五匹が、リックを迎え撃とうと唸り声を上げている。先ほどの三匹と状況は違い、魔法よって不意をつく手段はもうない。
俺がリックに合流しようにも、足の速さが違いすぎて、追いついた頃にはクイーンに逃げられる。
クソッ、カッコつけたはいいが、俺じゃ何の役にも立てねえ……。
「――なーんて、いうわけねえだろ!」
フォレストウルフとの距離が適切であることを確認する。敵意を、殺意を、全て俺に向けさせるイメージをする。いつもならろくに信じていない、この祝福を授けてくれた神様を、この時だけは信じる。
「おら、てめえらの相手は俺だ、犬っころども! さっきの仲間みてえに愉快なトマトペーストにしてやろうか? ああん?」
俺がそう挑発した瞬間、全てのフォレストウルフの視線が、リックから俺に移った。
フォレストウルフはフォレストクイーンの命令に絶対服従する。そんな生態を持っているのに、知ったことかといわんばかりに、一斉に俺をぶっ殺そうと向かってきた。
うし、成功! 命令されてても、敵意は本物で良かったぜ。内心ガッツポーズをとる。
「宣言通りに雑魚は引き受けた! 決めろ、リーダー!」
「ありがとう、テンタリス!」
お供は全て俺達が引き受け、リックとクイーンの一騎打ちの舞台は整えた。
逃げ切れないとわかったクイーンは逃走をやめた。動揺しているのか、リックを睨み全身の毛を逆立てている。そうすると身体が大きく見える……って、マジででかくなってんぞ!
フォレストクイーンの全身の筋肉が盛り上がり、二回りも大きくなっている。クイーンが通常のフォレストウルフの何倍も強いって話は聞いてたが……って、暢気に観戦している場合じゃねえ。雑魚の犬っころ引き連れて、逃げねえと!
まだ距離は離れているが、棒立ちしているとリックが決着つける前に囲まれる。流石に五体も相手にしてられないので、善は急げと俺は逃げ出した。
「ガルルルルル!」
「グオゥル!」
てめえ、逃げんなといわんばかりに、犬っころ五匹がやかましく吠えながら、俺を追いかけてきた。
「リック! 俺が袋にされる前に早く殺ってくれよ!」
「任せて! 君に怪我なんてさせないから!」
片や無様にマモノに追いかけ回される俺、片や果敢に強いマモノに挑むイケメン。どうしてこう差がつくのかと思ってしまう。
しかしこれも役割と割り切って、憂さを晴らすかのように犬っころに中指をおったてて挑発した。生意気にも馬鹿にされたとわかったのか、走る速度が増した。
「うおおおお! やべえええ! 余計なことすんじゃなかったぁぁぁぁっ!」
重い盾やメイスを投げ捨てたい衝動を精一杯抑えながら、全速力で俺は走った。
リックがクイーンを倒せないと、たかが五匹に殺されるほど柔じゃねえが、追いつかれて散々な目に遭わされるのは間違いない。
だが、俺はそんなことにならないと知っている。いや、確信している。
何故ならうちのリーダーは、どこかの物語の主人公みたいに、決める時は決めてくれる男だからだ。
「グルオオオオオオォォォ!」
身の毛もよだつ獣の鳴き声が聞こえた。声の元を見ると、フォレストクイーンが断末魔を上げて大地に倒れ込んでいた。フォレストウルフの倍近い大きさの血晶石に、その身を変える。
リックはロングソードに付いた血を払い、鞘に仕舞う。リックはフォレストウルフよりも遥かに強いフォレストクイーンを、いとも簡単に倒していた。
俺を追いかけていたフォレストウルフが、俺が見てもわかるくらい信じられないと動揺していた。リックが睨むと、蜘蛛の子を散らすように森へと逃げ去って行く。
いやいや、倒せるとは信じていたけど、早すぎじゃね? うちのリーダー強すぎだろ。
若干嫉妬を覚えつつも、戦闘中とは打って変わった笑顔で近づいてくるリックを見ていると、バカらしくなった。
「おつかれさま、テンタリス」
「おう。おつかれ、リック。やっと犬っころの親玉、倒せたな」
「あはは、まさか三回も戦うことになるとは思わなかったね」
「一回目は知識不足。二回目は対策不足だったからな。いくら犬知恵が働いても、こっちは人間様だ。知恵はこっちが上だっての」
「でも、知恵だけじゃない。テンタリスが、みんなが頑張ってくれたから討伐できたんだよ」
「一番の手柄はリーダーが颯爽と取ったけどな」
互いに労いの言葉を交わしあう。すると成し遂げたという達成感が湧いてきて、自然とハイタッチをしようとすると、向こうでの戦闘を終わらせたアミア達がこちらにやって来た。
「あー! なにアタシ達抜きでやり遂げた感じ出してんのよ!」
「作戦は上手くいったな。流石は私達といったところか」
「リックさん、テンタリスさん、お怪我はありませんか? もし怪我をしてらっしゃいましたら、すぐに治しますから」
怒るアミアをはいはいと流しながら、ハイタッチをとりやめ三人を迎え入れた。
「おう、お前たちもお疲れ。ユミル、こっちは怪我はないから大丈夫だ」
「それなら良かったです」
ユミルがほっとして、大きな胸をなでおろした。……全力を持って意識が胸にいかないよう目を逸らす。
「三人の方こそ、怪我はない?」
そんな傍ら、心配そうにリックが聞くと、アミアの顔が真っ赤に染まった。
「べ、別に。あのくらいラクショーだったし?」
「……ほう。噛みつかれそうになって涙目になってたのは、誰だったかな?」
「はあっ? な、泣いてなんかないし! ちゃんと魔法で焼き殺せたし!」
「あはは、三人が無事でよかった。ありがとう、みんな。おかげで助かったよ」
元気にじゃれ合うアミアとナーレを見て、嬉しそうにリックが笑った。無邪気なイケメンの笑顔に、アミアはもちろんのこと、ナーレもユミルも思わず見惚れていた。
「……む。やはり嬉しいものだな。こうしてリックに労われるのは」
「あ、ありがとうございます、リックさん」
「ま、まあ。アタシにかかればこんなものよ」
照れながら答える三人に、思わず内心やはりイケメンか。男は顔かと内心だっさい悪態をつく。
「遠目でちょっと見えにくかったけど、リックもカッコよかったわよ」
「そうかなあ? みんなにお膳立てしてもらわなくちゃ、クイーンと戦うこともできなかったし。――うん! やっぱりみんなのおかげだね」
「謙遜するな。長引けばこちらは危ないところだった。礼をいうのはこちらの方だ」
「あっ! ナーレ! なにさりげなく手を握ってんの! ずるい!」
「ははは、こういうのは早いもの勝ちだ」
「えっと、あの、その……あまり異性と気楽に触れ合うのは、よくないかと」
……俺をほったらかして、楽しそうだなあ。これでもそれなりには頑張ったんだけどなあ。
まあ恋愛感情がある男と、友人くらいの男じゃ差が出るのは仕方ないと思う。
アミアがリックに惚れているのは見てバレバレだが、ナーレも意外にもリックに惚れている。
アミアとナーレが張り合う――ナーレがリックにちょっかいかけて、アミアが一方的に怒っているだけだが――のは、うちでよく見られる光景だ。
ユミルだけは確証はないが、異性に対してリックにだけ普段と対応が違うこともまま見られることから、やっぱ惚れているだろう。
……やべっ、悲しくなってきた。涙が出てきそうだ。しょせん俺はハーレムパーティーの脇役で、主人公にはなれないんだなって嘆いている――のではない。
そりゃ俺だってモテたいと思うし、妬む気持ちはないわけではないが、理由は別にある。
「テンタリス」
いつのまにか女性陣から抜け出してきたリックが、俺に声を掛けてきた。あいつらはなにやってるんだと見てみると、ナーレがアミアをからかっていて、ユミルが仲裁している真っ最中だった。
「……よく飽きもせずにじゃれあってんな」
「そう? 僕は可愛いものだと思うけど」
さらっとそういうこというから、無自覚に女を落としてるんだよ。
「……あのさ、みんなは僕のことカッコいいとか褒めてくれたけど、僕はテンタリスの方がカッコいいと思うよ」
リックが真剣な顔で、俺を見つめてくる。いや、顔近い、近い!
「は、はあ? 無様に犬っころ引きつけていただけだぞ」
「そんなことないよ」
女をころりと靡かせそうな笑顔で、リックは俺の言葉をばっさり否定した。
「二人だけで組んでいた頃から、テンタリスはずっと僕のあこがれだから」
「お、おう。……まあ、礼は一応いっておく。ありがとよ」
ぶっきらぼうに礼をいう俺に、リックは一層笑みを深くした。
俺は産まれてこのかたモテた経験はないが、男の友情があるだけまだましかと、笑顔を返した。……ただ、その笑顔はすぐに凍りつくことになる。
「これからも頼りにしてるね、テンタリス」
そういって、リックは俺のケツを軽く叩いた。叩いただけなら、ただの男同士のスキンシップだ。
だが、リックは俺のケツに手の平をぴたりと当てたまま、離さなかった。
「……リ、リック?」
不安げな声で名前を呼ぶと、手の平が動き出した。
ケツから手を離したのではない。ねっとり、じっくり、ケツの感触を楽しむかのように、まるでセクハラをするエロ親父のような手で、俺のケツを撫で始める。
「ふおうっ! ちょっ、リックさん!?」
思わず敬語で制止しようとするが、まるで聞いちゃいねえ! むしろ撫でるどころか俺のケツをこねくり始めていやがる!
「……テ、テンタリスのお尻……はあはあ」
なんか鼻息荒くしながら、不穏な言葉を呟いているんですけど!?
「た、助け、誰かヘルプ!」
恥も外聞もなく、三人娘に助けを求める。だが、言い争いと仲裁に夢中で、こっちに全く気付いちゃいねえ。
「おい! お前らが惚れてる男が凶行に走ってんだぞ! 早くどうにか――ひゃふ!」
「……はあはあ、ごつごつしてて……んっ。いいよ、テンタリス……」
「ぎゃあああ! いい加減離せ、リックぅっ!」
無理やり引き離そうとするも、リックの手はがっちり俺のケツをホールドして、頑として離さなかった。
「もうちょっとだけ。これは男の友情を深めてるだけだから。他意はないから!」
「鼻息荒くしながらいって、信じられっか!」
……先ほど悲しくなった本当の理由がこれだ。
何故か俺は女にモテモテの我らがリーダー、リックに過度なスキンシップ、ふっちゃけセクハラをたびたび受けていた。本人はただのスキンシップと言い張っているが……。
「ああ……ずっと揉んでいたいなあ、テンタリス……」
うっとりこう言われれば、説得力皆無だった。
仲間内でモテないのはまだ我慢できる。でも、そのモテ男が濃厚なホモ疑惑が立っていて、対象が俺だなんて、泣いても誰も笑わねえだろう!
うああああ! 俺はまともな男の友情を築きたいだけだってのに!
されるがまま諦め、ケツを揉みしだかれたまま、背後にあったマモノ達から守り切ったものを淀んだ目で見やる。
そこにはフォレストウルフの好物である、色とりどりの野菜畑が広がっていた。
美味しそうな野菜たちを守れて良かったなあと、俺は現実逃避した。
自分で書いててなんだが、うわあ……。
そ、そのうち冒険ファンタジーっぽいこともしますから許して下さいお願いします。