ゼル爺との別れ
異世界憑依も3日目で、今日もスッキリとした心地よい目覚めだった。
レベルアップも問題なく、記憶に混乱はみられない、新しい知識に心が踊る
アースウォールとプロテクションと言う、魔法を覚えたようだ。
相変わらず攻撃魔法は覚えないが、プロテクションは戦闘で有用そうだ、
ただしプロテクションの魔法陣を、防具に書き込むには一時間はかかる。
防御魔法はゼル爺の補助で足りてるし、今日のところは時間が足りない。
エンチャンターなのに魔法を一度も使ってないが、今は時間が何より大事だ
魔法を使うのは明日にして、ゼル爺との合流を急ごう。
扉を開けて外に向かって歩きだす、今日の合流場所は強化合宿所だ。
郊外だから結構な距離がある、寄り道せず足早に目的地に向かっていく。
強化合宿所まで30分ほどかかったが、ゼル爺はまだ来てないようだ。
昨日と同じく朝食を食べながら待っていよう、合宿所の食事は以外と
ボリュームがあっておいしかった肉料理もでるし、食事の不満はなさそうだ。
「おはようアズベルド準備は整っとるかの、今日も張り切ってスライム狩りじゃ」
「食事も終わった所だし、装備も整ってます、いつでも行けますよ」
挨拶もそこそこに洞窟に向かう、洞窟と言っても何の危険もない一本道だ。
特に障害もなく目的の広場についた、ゼル爺が神に祈りを捧げ魔法を準備する。
「フォースアーマー………ゴッドブレス今日も頑張るのじゃぞ」
支援魔法さえあれば怖いものはない、なんの躊躇もせずスライムに斬りかかる。
レベルアップのおかげか、昨日より技が冴えている気がする護身用剣術も
バカにしたものじゃない、スライム相手なら十分通用している。
昨日より早いペースでスライムを狩れている、それでもダメージはあるから、
明日以降の狩りが心配ではある、今は一匹でも多くスライムを倒すしかない。
無心になって狩り続けると時間がたつのが早い、昼食休憩を挟みつつ
スライムを狩りまくる、広い敷地ないにスライムは尽きることなく跳ね回る。
流石に入り口付近のスライムは枯れてきた、洞窟奥深くまで狩りの手を伸ばす。
まだ水辺は見えてこない、今日中にスライムを狩り尽くす心配は無さそうだ。
疲労感もないまま思い切り身体を動かすのは、凄く楽しい命懸けの戦闘なのに
恐怖も感じず楽しめている、楽しい時間は過ぎるのが早い、あっとゆう間に夜だ。
狩りの成果は、スライム184体に精霊石151個、昨日の記録を更新した
帰り道を歩きだす遅くまで狩りを続けて、夕食を食べたら直ぐに寝る時間だ。
「大戦果じゃのう、これなら今日もレベルアップできそうじゃ
3日続けてレベルアップなんて、そうあることじゃない頑張ったのう」
「ゼル爺の支援と回復のおかげです、俺一人じゃどうにもできなかった」
「謙遜するでないお前さんは頑張ったよ、若者が成長する様を間近で、
見守るのは楽しい時間じゃったよ、もうしばらく協力してやりたいが、
ワシほどの実力者だと色々忙がしくてのう、名残惜しいが今日でお別れじゃ」
「蘇生して貰った上に、今日までのご支援いくら感謝してもしたりません
本当にありがとうございます、このご恩は一人前になったら必ず返します」
「老人が若人の成長を見守るのは当然のことじゃよ、好きでやったことじゃし
仕事の依頼のうちじゃ相応の報酬を貰っておる、感謝も礼も不要じゃよ
さあ今日も酒場で一杯やっていこう、仕事の後は飲まねばいかん」
「酒場で飲んでお別れですか、それで良いんでしょうね今日は俺も飲みます」
その日の夜は酒場で飲んで騒いだ、突然の異世界憑依で不安だった心も
この先の展望が見えて落ち着いてきた、戻れないならこの世界で進むしかない。
エンチャンターの技能を駆使しなければ、今後は生き残れないだろう。
明日は狩りを休んで休息し、1日使ってエンチャンターの魔法を検証しよう
ゼル爺は酒を飲んで上機嫌だ、今後の予定を話ながら騒いで盛り上がる。
「アズベルドよ今日でお別れじゃが、今生の別れと言う訳でもないのじゃ
連絡先を教えておく、何かあったら頼ると良い怪我なら格安で治してやろう」
「ゼル爺もお元気で次会う時には、エンチャンターの力を使いこなして
見せますよ、今回はエンチャンターとしての活躍はできませんでしたが
最弱扱いされてても工夫しだいで使い道はある筈です」
「それではなアズベルド、次会う時の成長を楽しみにしとるよ」
ゼル爺と別れた、これからが異世界生活の本番といえるだろう。
レベルが物を言うこの世界、安定した生活にはレベルアップが不可欠だ。
最弱職での戦闘なんて茨の道だけど、ほかに選択肢はない明日からも頑張ろう。