冒険者ギルド
冒険者ギルドについた、木造3階建ての巨大な施設だ。
「ここでの用事は冒険者登録だけじゃ、ここのクエスト依頼はレベル10以上が
基本でいまのアズベルドには用がない、低レベル用の合宿施設は郊外にある」
そう言いながらずんずんと、受付カウンターに進んでいく。
「いらっしゃいゼルフロアさん、今日は何のご用ですか?」
「用があるのはワシじゃない、この男を冒険者登録して欲しいのじゃ」
「そちらの方ね、まずはこの用紙に必要事項を記入して貰えるかしら?
文字が書けないなら代筆手数料が必要よ」
(俺は文盲だったはずだか、今は文字が浮かんでくるレベルアップの影響か)
渡された紙に必要事項を記入していく、初めての経験なのに
指はスムーズに紙の上を滑っていく、レベルアップの経験は体にも適応されてる。
内心驚きながらも記入を進める、書き終わるまでそう時間はかからなかった。
「はい全ての項目が埋まってますね、レベル1ですか?なら郊外の訓練施設に
向かって下さい、レベル一桁でこなせる簡単な依頼はここにはありません
身分証の発効もレベル10をこえてからになります」
「ここでの用事はもうすんだな、さっさと次の目的地にいくのじゃ」
あわただしく次の目的地を目指す、ゼル爺の援護を受けられるのは
今日と明日のみ、急いでスライムを狩らないといけない。
「剣も防具も持ってないのですが、このまま向かって大丈夫ですか?」
「心配はいらん郊外の訓練施設では、装備の貸出しも無料でやっておる、
それどころか食事も宿泊も無料じゃ、最も期限は2年かかった費用は
借金として、一人前になったら取り立てられるがな」
「2年たっても、レベル10に到達できないとどうなるんです?」
「その時は奴隷として、売り払われることになるのう、まあ時間より
生存の方が大事じゃぞ、神の加護なしで死んでしまったら終わりだしな」
「神の加護?噂で聞いたことがあるけど、神の加護があれば生き返れますか?」
「そうじゃな神は気に入った人間に、ご加護を与える事がある加護の強さに、
よって生き返れる回数に制限があるが、ワシも神の加護で生き返った事がある
ただし生き返ると寿命と経験値も下がる、ワシは52歳なのによぼよぼじゃよ」
神は実在して蘇生までしてくれるのか、プリーストを選ぶべきだったか、
それともウィザードかソサーラーなら、攻撃魔法で楽にスライムを狩れたか。
エンチャンターを選んだのは、大失敗だったようだ後悔するしかない。
そうこうしてるうちに、訓練施設が見えてきた、簡素な作りの大きな建物だ、
宿泊施設を兼ねてるだけあって、それなりに大きい、近くに洞窟も見える、
施設に入って中の人に挨拶する、五人の教官と二人の料理人が居るようだ。
「新入りかようこそ強化合宿所へ、一人前の冒険者になるまでここで、
面倒をみてやる指導教官のイグナスだ、鍛冶師もやっている」
「早速なんですが装備を見せて貰えますか、何の準備も無いんです」
「武器庫はこっちだ、着いてこい必要な装備を見繕ってやる」
着いていくと、大きな広間に武器防具がところ狭しに置かれていた。
「初心者なら防具は皮装備一式でいいだろうエンチャンターなら、
ブロードソードとペンロッドが要るな、確か在庫はあったはずだ」
ペンロッドとは魔法陣を描く為の、チョーク付きの杖だようやく
エンチャンターの魔法を、実践することができそうでワクワクする。
手伝って貰いながら、防具一式を身に付ける重さも問題ないし、
身体にフィットしてる、ブロードソードを振ってみても問題なく
動けている、剣なんて振った事がないのに、振るえてるのもレベルアップの
お陰だろう、これならスライムくらいはなんとか狩れる気がする。
「準備は整ったな早速スライムを狩りに行くぞい、ワシが観てやれる
時間は少ないからのうサポートのきく間に、スライム狩りの基本を習得せよ」
「わかりました急いで洞窟に向かおう、あそこにスライムが居るんですよね」
「そうじゃあの洞窟は海と繋がっていて、海で生まれたスライムを呼び寄せる
仕組みがあるのじゃ、強すぎる敵は番兵が間引いておる安全な狩り場じゃよ」
洞窟は人工の物のようだ、岩肌が滑らかで道なりも平坦だ、
壁に描かれた魔法陣が光を発している、コンテニュアルライトの魔法だ
低レベルエンチャンターでも、働ける仕事がありそうだ。
スライムさえ安全に狩れれば、先行きはそんなに暗くないかもしれない。