エンチャンター
目が覚めた爽快な目覚めだ、夢を見たような見てないようなはっきりしない、
てっきり英霊の夢を見るのだと思っていたが、そういう訳でも無いようだ、
暗がりのなか思考を巡らすと、体験したことのない知識が沸き上がってくる、
魔法陣の書き方ルーンの効能、記号の繋がりと繋げ方、導線への魔力の込め方。
これがレベルアップか、エンチャンターの基礎知識が、自然と沸き上がってくる、
道具さえあれば今すぐでも、魔法が使えそうな気分だ、だが同時に疑問も感じる、
記憶とは脳のシナプス回路として物理的に存在するはずだ、それを書き足したり
書き加えるなんて、簡単にできることじゃないレベルアップは神の加護だと
言われているが、この世界には神が実在するのだろうか?人の記憶を好き勝手に
弄れるとすれば恐るべき存在だ、敵対なんてもってのほかだ。
今のところレベルアップに、不都合はないこれ以上考えても無駄だろう。
扉を押し開けて外に出る、ゼル爺と合流するために酒場に向かわないと、
神殿の外に出て歩きだす、道順は問題なく覚えてる、朝の喧騒で活気に溢れる、
酒場についたがゼル爺はまだきてないようだ、朝食を食べながら待っていよう。
ゼル爺との関係は今後の生命線だ正直、資金が心もとないし
この町には何のつてもない、今後の生活をどうするのかよく相談すべきだろう。
「おはようさんアズベルド、レベルアップは無事すんだかのう、
それでなんのクラスを選んだんじゃ」
「おはようございますゼル爺、クラスはエンチャンターを選びました」
「エンチャンター!?よりにもよって、なんでエンチャンターになったんじゃ
これからスライム狩りにいくというのに、そんなジョブではろくに戦闘できんぞ」
「えっエンチャンターってそんなにまずい選択でしたか?」
「まずいもなにも最弱の戦闘職として、有名なクラスじゃ生産職の鍛冶師や
薬師よりも弱い、生産職より弱い戦闘職などエンチャンターぐらいのもんじゃ」
「そんなどうしてそんなに弱いんですか?たしかゴーレムの使役ができるって」
「ゴーレムの使役はレベル10からじゃ、それにゴーレムが敵を倒しても
経験値はゴーレムのものじゃ、レベルアップの役にはたたんし
ゴーレムは高価じゃぞ、そもそもお前さん攻撃魔法を覚えておるのか?」
「今使える魔法はえーとコンテニュアルライトとフロートマテリアルだけです」
「どちらも攻撃魔法じゃないのう、それに攻撃魔法を覚えたところで
エンチャンターの魔法は戦闘では使えん、発動に時間がかかりすぎるのじゃ、
最弱の攻撃魔法でも発動には30分はかかる、戦闘には到底間に合わん」
「戦闘中に魔法が使えない魔術師、たしかにそれは最弱の戦闘職だ」
「エンチャンターは弱すぎて、護身用に剣術を学ぶのが基本になっとるほどじゃ
スライム狩りも剣でなんとかするしかないのう、鍛冶師よりも下手な剣術じゃが
無いよりましじゃし、他に攻撃手段がないからのう」
「なんてことだ生産職並みに稼げても、生産職より弱いんじゃ意味がない、
世の中そんなに甘くないか、でも戦闘しないとレベルを上げられないし、
これからどうすればいいんだろう」
「なんにせよまずはスライム狩りを、始めるしかないのう最初のうちは
ワシがついとる、ワシがサポートしてる間にスライム狩りのこつを掴むのじゃ
まず始めに冒険者登録が必要じゃ、ぐずぐずしとらんで冒険者ギルドに行くぞい」
ゼル爺が先導して歩きだす、最弱職で冒険者なんてやっていけるのか、
わからないけど今のところ、スライム狩りをするしか無いようだ、
魔法使いなのに剣で戦うなんて、完全に想定外だけど生き延びるには、
戦って勝つしかない、クラスの加護が無くても鍛練すれば少しは強くなるし、
スライム狩りくらい、自力でなんとかするしかないか。