英霊神殿
「ここが英霊神殿か」
ゼル爺の案内で、町の中心部にある巨大な白亜の大神殿にたどり着いた。
「さあついてくるのじゃ、新人向けの受付はこっちじゃぞ」
神殿の中に入り、ゼル爺についていくと、カウンター席に座る女性の前に来た。
「ここでレベルアップとクラス選択について、説明を受けられるあとは任せるので
今日のところは、ワシの案内もこれまでじゃ、明日の朝あの酒場で落ち合おう」
ゼル爺を見送って、カウンターの女性に話しかける。
「初めてのレベルアップに来たんですが、クラス選択の説明をお願いします」
「初めての方ですね、英霊はさまざまな職業毎に、クラス分けされていて
当神殿で選択可能なクラスは、89種類となっております、希望する職業は
ありますでしょうか?大まかな分類として、戦闘職か生産職を選んで下さい」
「戦闘職で特に魔法職について、詳しく聞きたいのですが?」
「魔法職ですね魔法職は、大きくわけて系統魔法と、受動魔法に別れています、
系統魔法とは自身の魔力を、系統だった手順で解放して、魔法を起こす技法、
受動魔法とは精霊神悪魔などの、力ある他者に魔力を与えて力を借りる技法、
系統魔法はウィザード、ソーサラー、エンチャンター、ネクロマンサーの4職
受動魔法は神の力を借りるプリースト、精霊の力を借りるシャーマン、
悪魔の力を借りるウィッチの3職業が存在します」
受動魔法は他力本願な感じがして、気に食わんなどうせ魔法を使うなら、
他者の力を借りるより、自分自身の力で魔法を使いたい選ぶなら系統魔法だ。
「系統魔法についてそれぞれの特徴を、詳しく教えてください」
「まずウィザードは、精神と魔力の集中によって、魔法を使う系統です。
魔法職の中で最も戦闘に優れたクラスです、戦闘職全般でみても最強の
戦闘能力を発揮します、反面覚える魔法は攻撃魔法と移動魔法のみで
魔法の燃費も悪く継戦能力の低い、戦闘に特化した系統です」
「次にソーサラーはスペルブックを、詠唱する事で魔法を起こす系統です、
特徴として魔法が必中で、敵味方の識別もできる事があげられます、
特性上、非常に戦争向きで宮廷魔術師の大半がソーサラーです、
弱点としてスペルブックで、片手がふさがり詠唱に時間がかかります、
多才で便利な魔法を数多く習得しますが、ソロでの戦闘は苦手です」
「エンチャンターは魔法陣を描画する事で、魔法を起こす系統です、
特徴はマジックアイテムやマジックスクロールの販売で、生産職並みに
お金を稼ぎやすい点です、都市のインフラ整備にも力を発揮します、
戦闘面でもゴーレムの使役ができるし、魔法の罠の設置解除発見ができます
魔法陣は燃費も良く、創意工夫でさまざまな効果を発揮します」
「最後にネクロマンサーは儀式と、生け贄を使って魔法を起こす系統です、
敵そのものを生け贄に発動する、呪いは抵抗され易いものの効果は抜群で、
毒や病原体を操ったり、広範囲無差別に攻撃する手法を多く身に付けます、
死体からアンデットモンスターを作成し、使役しますがプリーストが天敵で、
不死者は浄化され呪いは無効化され、毒も病原体も治療されてしまいます」
どれを選ぶかゼル爺のお勧めは、ウィザードだけど攻撃と移動の魔法しか
覚えないのは問題だ、せっかく異世界にきたんだし、多種多様な魔法を使いたい
となるとソーサラーか、エンチャンターただ戦争での活躍なんて望んでないし
エンチャンターの生産職並みに稼げると言うのが気になる、ウィザードが
最強なら、同じく系統魔法のエンチャンターだってそこそこ戦える筈だし
お金が稼ぎやすいのは最高だ、ゴーレムとか強そうだしエンチャンターが良い。
「エンチャンターを選びます」
「希望する職業はエンチャンターですね、では祭壇の間に案内します」
扉が沢山ある通路を歩いていく、扉の数だけクラスがあるなら扉の数は89以上
あるのだろうか、広大な敷地があるわけだ、扉にはクラス名が書き記されている。
「ここがエンチャンターの間です、祭壇の中央で眠るとレベルアップします。
ゆっくりお休みを、汝に英霊の導きがあらんことを」
祭壇の間に入る、特に神秘的な雰囲気は感じない、ただの石造りの祭壇だ
扉を閉められると真っ暗になった、手探りで祭壇の中央を目指す、
横たわって目を閉じるが、なにも特別なことは起こらないそのまま眠りについた。