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「大体さぁ、私は魔法使いなんでしょう?どうして何も魔法を使えないわけ?家くらいすぐ出てくればいいのに。」
口を開けば文句しか出てこない。
「そもそも魔法使いってなんなの?職業?家系?犬とか猫みたいな種類の名前?理解出来ないわ。」
結局パレというやつ自身のことは名前しか教えてくれないから誰だかさっぱり分からないし。
死んだことは置いといて、第2の人生として、魔法使いとして、使命を課せられて…
あー面倒だな。
なんだか分からないけど、パレの言うことを聞かないとやばい気がするので、石を集めることは受け入れた。
とりあえず私は今、家がほしい。
辺りを見渡すと、見える限り、
草原。数本の木。
こんなに少ない木を切るのは気が引ける。
何なら切る道具がないので、切ることすら出来ない。
「仕方ない、歩くか。」
誰かに会うまで、限界になるまで、歩くことにした。
すると実のなる木を発見。
紫色の小さいぷつぷつとした…ブドウの小さいやつみたい。
これはきっと食べられる。
直感を信じて、ひとくち。
「あ、美味しい。」
特別お腹は空いていなかったが、美味しいのでたくさん食べた。
(ネモの実を出すスキルを獲得しました)
はい?
パレ…?どうした…?
というか、これネモの実って言う名前なのか…
(ですからロン、あなたはネモの実を出す魔法を使えるようになったのです。)
…なぜ急に?
(あなたは魔法使い。訓練をしなくても魔法を使えるようになります。今回のように、経験することで。呪文なんて要りません。思い浮かべればできるのです。)
何それ、超便利じゃん!
(ネモの実を思い浮かべてみてください。)
好奇心で、言う通りにしてみる。
「うわ!きもちわる!」
自分の両手から、紫色の小さな実、ネモの実がバラバラと出てきた。
気持ち悪いけど…これは楽だわ。
この世界にきて、面倒としか思っていなかったが、初めて面白いと感じた。
〈獲得したスキル〉
ネモの実を出す