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ここは未知の世界。
突然、なんの感覚も無く殺されていて、
なんだか知らない世界で意識が戻った。
全く、死んだ感覚がない。
なぜって、殺された時以外の記憶は全てあるから!!
意味が分からないんだけど!!
しかも脳内に直接語りかけてくる言葉が本当に鬱陶しい。
誰だよ…
(千尋さん…聞いてますか)
うざすぎて完全にスルーしていた。
「な…なんですか。…ていうかあなたは誰?!」
(おっと、失礼。私はパレと申します。
いいですか、千尋さん、あなたは死にました。
簡単に言えば、転生しました。)
転生系の話って本とかで良くあるけど、こんなはっきり転生しましたなんて言われるもんなの?
ていうかなに?私本の世界に来たってこと?
この訳分からない状況を少しでも理解するために、必死で考える。
(本の世界?そんなのじゃないです。どういうことですか?)
え…頭の中で考えてることが聞こえてるだと…
「どういうことって、こっちが聞きたいわ。」
話にならないと思い、考えるのをやめた。
もう、今日はこのまま寝よう。夢を見てるのかもしれない。
そう考えひとまず眠ることにした。
「さぁ目が覚めてみたらどうでしょう。
夢なんかじゃありませんでした。」
なんていうナレーションを、起きてすぐに自分で言うほどには、既に気が狂っていた。
(おはようございます、千尋さん)
きたきたきた、もうなんなんだよ…
仕方なく話を聞くことに。
このパレってやつは話が長いんだ。
要約すると、私は魔法使いになって転生したらしい。
なぜ魔法使いかって?ほら、小学校の卒業アルバムとかで「将来の夢」とかなんとかで書く欄あるでしょ?そこに私は「魔法使い」だなんて馬鹿なことを書いたらしい。
あーあ。そんなこと書かなきゃ良かった。
お金持ちって書いてれば良かった。
…まぁそこは置いといて、私は魔法使い、もう変えられないのだから仕方ない。
ともかく、7色の石を集めないと、この世界が滅びるから、私が集めなきゃいけないらしいのさ。
なんて責任重大な…いや、非常に面倒なことに巻き込まれた。
7色っていうのは、赤、橙、黄、緑、青、藍、紫だって。
日本の虹の配色と丸っきり同じ。
日本に通ずるものがこの世界にもあるのかな…。
ひとまず、この世界での私は独り身の女性らしいから、家を作らねば。寝床がない。
名前も変えなきゃいけないらしいから、どうしよう。
面倒だし、千尋のろを使って、「ロン」でいっか。
年齢もそのまま、20代前半の状態でいきなり生まれ落ちるなんて、馬鹿げた話、誰が信じる?
だけどこればかりは、信じなきゃやってけない。
どうせなら、この世界で既に生きてた人に魂だけ移った方が家とか作らなくて楽なのになぁ。
〈名前〉
ロン
〈スキル〉
無し