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美波とランチをした2日後。


今日は卒業式。


桜の咲くタイミングがちょうど良かった。


開花予想通り、満開のようだ。



「千尋〜!やっと見つけた!人多すぎる〜!」


手を振りながら駆け寄ってくる美波。


「美波、袴、似合ってるね」

あ…思わず心の声が…


眼をまんまるくさせた美波はすぐ満面の笑みを浮かべ

「ありがとう!」

と嬉しそうに言った。




卒業式の日は慌ただしく、帰宅してからはバタンキュー。



会社に着ていく服もないし、そろそろ入社準備とやらを本当にしないとなぁ。なんて考えながらあっという間に入社前日になってしまった。


入社前日。そう。今日は約束していた美波とお花見。



桜が散りかけてる今日この頃、お花見だなんて素敵だわ。


呑気に待ち合わせ場所へ行くと、美波…と他に男が2人…。

え、聞いてないけど??


驚く私を見て、美波、

「ナンパされちゃった☆大勢の方が楽しいし4人でお花見しよ〜!」


おいおいおい…まぁいいけどさぁ…


流れに任せ、見ず知らずの男2人を加えた4人でお花見することになった。


1人はおそらくナンパ野郎らしき男、完全に陽キャだな。

私と住む世界が違う人間だ。


だけどもう1人は…

爽やか系男子ってところか。随分と優しそうな青年。

うーん、どこかで見覚えがあるような…。

あの綺麗な眼は…。

あ…。


「もしかして、イタリアンレストランで働いてました?」


知らない陽キャがいるこの場所で質問をするなんてとても勇気が必要だったが、気になって仕方なかった。


青年、少し不思議そうに、

「はい。来店されたことあるんですか?」


やっぱりそうだ。


「そうです、あの子に連れられて。」


そう言って、陽キャと楽しそうに話している美波の方を見た。



4人でお花見をし、案外楽しいのかもしれないと慣れてきた。

リア充ってこういうことか…。


すると突然、美波が真剣な顔をして話してきた。


「あのね千尋、もう働いたらあんまり会えないかもしれないから言っておきたいんだけど」


「え、どうしたの」


「千尋、あのね、」


そのとき風が強く吹き


「痛いっ」


青年の眼に砂埃が入ったようだ。

かわいそうに…。


「ちょっとコンタクト外すけど、気にしないで続けていいよ」

と青年。


予想通りコンタクトつけてたのね。やっぱりあれはカラコンだったかな?

なんて考える。


大丈夫?と心配しつつ、すぐ真剣な顔に戻る美波。


「私、千尋のことが好き!付き合って!」


瞬間、時が止まったように感じた。


人生で初めて告白された。

しかも女の子に。


陽キャだって、美波のことを完全に狙ってたのにまさか同性が好きだなんて…と分かりやすい顔をしている。


青年はというと…

…え?右眼が赤くなってる…血…?ではないか…。

砂埃が入ったから…?いや、赤いのは白目のところじゃない。私たちでいう茶目のところ…


見たら赤いのが分かる、衝撃的な色をしていたのだから。

気づいたら美波そっちのけで思わず声をかけていた。


「お兄さん、眼が赤いですよ…」





そこから意識がなくなり、気づくと知らない場所にいた。


え、ここはどこ…?


そうとしか言えないような場所。



(眼が赤いだなんて、言ったらダメでしょう…。

そんなことを言うから殺されたのよ…。)


どこからともなく聞こえる声。

聞こえる…?というよりは、脳内に直接入ってくるようだ。


え、私、死んだの?

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