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さむさむは嫌いです  作者: 流し台に焼きそば落とした
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位置について

 内容を少し変えました

 「……だ、誰か…」





 階段で転んで、頭を打ったみたい。


 くらくらして、気持ち悪い。


 足が痛い。階段の角に何度も打ち付けた。


 全身が痛い。今日は家に私一人と無責任なおとうとが一人、たぶん母あたりが偶然帰ってきて救急車を呼んでくれるのでは。



 

 息が苦しくて、咳をした。




 ふと、何か暖かい物に触れた気がして頑張って体を起こしてみた。


 息苦しい。体が重い。泣きちゃいそうなぐらい痛い。痛いよ…。






 あ、血だ。


 これは、本当に死んでしまうやつではなかろうか。



 あ~あ、せっかく好きな人と付き合えることになってハッピーな気分だったのにな。


 頑張って勉強して頭よくして頑張ってダイエットして細くなって、編み物して誕生日に贈ってみたりバレンタインデーに手作りチョコを送ったり…あんなに頑張ったのにな。



 あんなに…あんなに…。



 もう、嫌んなっちゃうよ。


 今までのわたしの苦労は何だったの…?


 爪を綺麗にしたり笑顔の練習をしたり、逆上がりの練習を血豆が出るまでしたり可愛い服を着たり。


 趣味じゃない本を読んだり自分の性格をつくったり。





 無駄な物だったのかな。全部、やらなくてもいいことだったのかな。



 ここで死ぬってわかってたら、あんなに頑張らなかったのに。


 ここで死ぬってわかってたら…家出でもして楽しく生きてたのに。


 あはは、もしそんなことができたなら次は誰もいないような場所に行って静かに暮らしたいよ。

 でもな、私の性格からしてすぐに人が恋しくなっちゃうだろうな。

 だったら、外に出た瞬間に死んじゃうくらいの環境の中絶対安全な家がある、みたいな感じがいいのかな。



 うーん、なんだか楽しくなってきた。


 …もう死ぬっていうのにね。





 あー…、死にたくないなぁ。


 



 


















 「早百合さゆり!…おきて、早百合!」




 「……ぅん?」



 おっと、あぶねえ。マジで死ぬとこだった。 


 サンキューだぜい知らない女の人よ。


 ん?ここってベッドだな。あら、頭に包帯が巻かれてる。





 「駄目よ!寝ないで!寝たら死んでしまう!」


 別に…冬の雪山で遭難したんじゃないんだから…。


 てか、本当にこいつ誰だよ…美女め…。





 あれ、美女?この人、マジモンのやばい人?


 



 「何失礼なこと考えてるの!」





 え、何でわかったの?



 「わかるに決まってるでしょう!私を誰だと思っているの?」




 …通りすがりの美女。



 「通りすがりなのは貴方の方よ!もう、貴方ってば死んじゃったのよ。めんどくさいことに。贅沢すぎるくらい広い部屋の中一人っきりで頑張って、やっと仕事が終わって長期休暇に入ったっていうのに、信じられない!何勝手にお願い事しちゃってるのよ!」




 そ、そんなこといわれても…。


 てかお願い事って何だよ…。





 「はあ!?…って説明してなかったわ。知らなくて当然ね。…お願い事っていうのは、死ぬ直前まで考えていた神への願いを叶えるみたいなもののことよ。でもね~、ほんっと面倒なことに、貴方のポイント高いのよね~」





 ポ、ポイント…?それって、今までの人生の善の行いの数みたいな?




 「そういうわけでもないのよね~。なんていうか、生まれついてのものよ」




 あ,そうなんだ。

 でも、運ってことでしょ?

 なんか悲しい。 



「まー、ポイントが高いから仕方ないわ。願い事を叶えてあげるけど、どうする?あ、ちなみに私は神様だから」



 か、神様!

 そ、そーでごぜえましたか。

 ならば、お言葉に甘えて…。




 「なら願いを叶えるわ。一ついわなくちゃいけないことがあるんだけど」




 なんでございましょう!

 


 「…、敬語はいいんだけどね。貴方のお願いに答えるための『運命の器』が一つしかないのよ。ポイントはたくさんあるし、強制じゃないんだけど」




 運命の器…?なんじゃいそれは。

 一つってどういうこと?



 「えーとね、つまり運命の器を選ぶと貴方の人生は生まれたときから大雑把に決まっちゃうってこと。あちゃー、ずいぶんと大変そうな運命ね」




 どんな内容?



 「それはいえない決まりなの。一言で言うならね…、貴方は生まれてからの10年間を一人孤独に過ごすわ」





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