01 寂れた商店街
人通りの少ない商店街、青年は普段通らないこの道を何の気紛れか通った。
殆どの店は閉まっており、寂しい感じがする。
チリンチリン
鈴の音がした。
青年はそれが気になり、そちらへ向かう。
そこには一軒の雑貨屋があった。
人形から小物まで、所狭しとディスプレイされている。
その中に、等身大の人形があった。
青年はその人形に目を奪われた。
「綺麗だ……」
青年は呟く。
すると、奥からお爺さんが現れた。
「彼女はマリアという名じゃ」
お爺さんは開口一番に言う。
「マリア…」
青年はオウム返しに呟く。
「彼女を下さい!お金なら幾らでも出します!」青年は突然頭を下げた。
お爺さんは考える。
「すまないのぉ、マリアをやる事はできんのじゃ」
「なら明日もまた来ます!」
青年は言うと、店を出る。
「マリア、わしはもう永くない…もし彼が一週間後もここに来たら、お前を託してもいいかい?」
すると、硝子の瞳が揺らめく。
確実に人形であった彼女は、少しの間命が宿る。
「ドマ、あなたの好きにしていいのよ?」
手を差し出すと、お爺さんを愛おしそうに抱きしめる。
「マリア、お前が愛される事を祈ろう」
マリアは膝を突いたまま、また人形に戻っていった。
それから毎日、青年は通う。
そして一週間が経った。
「お爺さん、来ました。今日こそはマリアさんを下さい!」
いつもの台詞を青年は言う。
「良かろう。マリアを、この子を大切にしてやってくれ」
ドマは言うと、マリアに命を宿す。
「ドマ、今までありがとう」
悲しそうに、すまなそうにマリアは言う。
青年は、人形であるマリアが動き驚いた。
「青年、マリアは人形だが命を宿す。それは、お前さんにかかっておる。これはわしからの最後の贈り物じゃ。マリア、元気でな」
ドマは言うと、青年とマリアを送り出しす。
数日後、青年が再び行くと店は閉まっていた。




