第04話 ハイスクールだらだら教師
ということで翌日、ユウジとユイは職員室前に立っていた。
「考えてこれたか? 新部活を作る言い訳」
「それが……」
二人放課後の職員室の目の前での会話。
廊下を歩く生徒は気にも留めずに通り過ぎていく。
「はぁ……まだ思いついていない、か」
「スマヌ」
「で、どうするんだ?」
「えーと……うむむ」
ユイは大量の汗だらり、手が落ち着きなくわなわな、少し目が泳いでもいる。
ユウジは思う、そういえばコイツ土壇場というか本番直前で緊張するタイプだったなと。
明日の中間テスト緊張してきた……と、夜も十二時にメール。
藍浜高校面接で、あ、え、何を話したらいいんだっけと面接前の待合場所で聞いてくる。
中学校の卒業式で証書をする前に壇上へ上がる階段でコケそうになる。
まあ、こんなもんだろうとユウジは溜息をつき。
「そんなことだろうと思った、行こうぜ。当たって砕けろだ」
「く、砕けたくはないな……」
「失礼しまーす」
「し、失礼をばっ!」
そうして二人は入室、ユウジは迷いなく担任教師の元へと訪れた。
それに倣ってユイも付いて行った。
「あー、なんだー?」
担任教師の大木は知恵の輪を黙々とカチャカチャ弄っていた。
生徒からの押収物らしい。
「部活申請って誰にすればいいですか?」
ユウジがそう担任に尋ねると、
「いや、俺でいい。というか俺じゃないといけないとつい最近教頭に怒られたところだ」
そんなこと別に聞いてないよとも思いつつ、会話を続行。
「それで? お前たちは何の部活の申請だ?」
「それはですね――」
「失礼しましたー」
「失礼しましたっ」
ユウジとユイは職員室を出た。
ユイは少し上機嫌だった。
「ま、とりあえず申請は終わったな」
そうして職員室を後にして、二人歩きはじめる。
「いや、まさか文芸部で申請するとはねっ!」
「まあ無難なところだしな。実質申請と言うより、休部解除みたいなもんだけども」
この藍浜高校に文学部は存在した、が入部者の少なさで現時点では休部となっていたのだ。
少し時を巻き戻す――
「文学部? お前ら勉強熱心だな、まー委員長の提案だし断る通りもねえな」
担任は割と話の分かる人だった。
何気ない委員長挙手がこんな形で役に立つとは。
更にもう一押しというか、部活を申請いしてすぐに稼働させるにはと考えていたユウジは。
「更に大木先生に提案です、その流れで顧問を務めてはいかがですか?」
「はぁ? それなら、やっぱり申請はナシな。面倒くさい」
それを聞いたユイが青ざめていた、しかしユウジにとってはまだまだ想定の範囲内。
「面倒ですよね、顧問って。でも顧問的なことは全部この自分と巳原が引き受けましょう」
えっ……えっアタシ!? と困惑するユイはおいておいて。
ユウジは大木の耳に顔を少し近づけて、声のボリュームをかなり下げて。
「いーや、それでもだな……」
「考えてみてください? ほぼ幽霊な顧問だとしても、顧問は顧問です。この学校だと顧問になれば給料上乗せだそうですね」
「っ! そういえばそうだ」
食いついた。と内心ほくそ笑む。
この学校では部活動促進のために、部費というか顧問費が存在する。
部活動の促進には顧問である教師も必要であり、部活動顧問となることで給料に諸費が上乗せされる。
「半年に一度の活動報告レポートと、大木先生にしか出来ないことはやってもらいたいのですが」
「ですが?」
「それ以外は自分達でなんとかしましょう、例え顧問となっていても監督する必要はありません」
「ふむ……」
委員長を決めるときも、ただただ面倒臭そうだった。
ならば自分の面倒になること、労力を出来るだけ惜しむだろうとユウジは考えた。
更にお金が入るのであるならば、断る必要性もないだろう。
「部活状況のレポートを一定の間隔で提出しますから、それで顧問をした気になってください」
「……少し上から目線が気に入らんが、悪くない提案だ。楽なのはいい」
「こっちの部活申請も、顧問が決まっていれば承諾が早いですし。大木先生も早くに顧問になれます」
「ということは楽して、増収ゲットってことか」
確かに合ってるけども、それを生徒に言うのはどうだろう。
「よーし、分かった教頭に申請しておくわ。少ししたら連絡する」
これにより部活設立に近づいたのだった。
「そうだ、それと部活設立の条件がある――」
「そして文芸部……三宮ハルヒを思いこさせる、チョイスだぬ!」
「古典部も思い浮かんだけども、まあこっちの方が幅広いからな」
「ユウジはぬかりねえぜえ!」
しかし、ユウジはまだすることがあった。
担任からの条件提示、まずは部員五名以上とすること、二つ部室は元文芸部室の掃除をして使うこと。
そしてユウジに限っては学級委員長の仕事もキッチリこなすこと。
「凄い余計なことした気分になってきた……やらなきゃよかったか」
「そんなことないよっ! ありがとうな、ユウジ」
そうグルグル眼鏡越しとはいえ、ユイはユウジに笑ったようだった。
「とりあえず部員候補探すか、このままじゃ設立さえたどり着けない」
「このまま文芸部……否! B3部が出来上がるまで頑張るぞー!」
「おー」
そうしてユウジとユイの部員候補探しが始まる……!




