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【タイトル】Dear My Alice【未定】  作者: 柿崎みー君
夢、或いは悪夢。
9/14

-7-

 

その後、腰を抜かして歩けない零を、ディーが肩に担ぎ(何と恥ずかしい格好か……)三人はシラギク街を後にした。

 そして、家まで送ってくれたお礼にと、零の家で零自作の夕食を済ませた双子は、家へと帰宅した。





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 食器を洗浄機に入れ、そろそろ風呂にでも入ろうかなと考えていると、テーブルに置いていたフォーンが、けたたましい音を立てて鳴った。

 『こんなに音量でかく設定していたか?』等と思いつつ、耳を押さえながらフォーンを取る。

 着信はリラからだった。

 慌てて通話ボタンを押すと、フォーンヴィジョンが開き、パジャマ姿のリラが映った。


 <ハロー、ゼロ>

 「やあリラ。何か用?」

 <ディー先輩が、今ゼロに電話してみろって。何かあった?>

 「あの野郎……」


 音量変えやがったのやっぱりお前か……。

 つーか、いつの間に人のフォーン弄っていたんだ? 食事作っている時か?


 <どうかした?>

 「あー……何でも無い。恩を仇で返しやがったなーって思ったのよ」


 明日覚えていろよ双子(兄)。


 <そういえばゼロ、腰抜かしたんですって?>

 「え、もうリラの耳に入ってんの? あの双子いつフォーン打ってんだろ? 情報早すぎ」

 <先輩達からじゃなくて、委員長から聞いたんだけど>

 「? 委員長から? あそこにいなかったはずだけど…」

 <先輩達から聞いたんですって>

 「……あいつ等何で、うちのクラスの奴のメアド知ってんの?」

 <クラス全員の分知ってるとかなんとか……ふふ。先輩達って、本当面白いわね>


 面白いどころの話じゃないよ。自分でも知らないよ。

 クラス全員のメアドはおろか、委員長のメアドすら知らない。

 あの双子、もしかしたら学園全域の生徒のメアド知っていたりして……。


 <もう大丈夫なの?>

 「あぁ、うん。多分、貧血だと思うし」

 <貧血?>

 「結構、酷かったから、その、シラギク街……」


 思い出しただけで、吐き気がする。

 行くべきじゃなかったんだよ。あの場所は。

 光景を思い出して、また気持ちが悪くなってきた。


 <私、てっきりアレの日かと……>

 「違うから」


 アレの日なわけあるか! 一体何を言い出すんだ!


 「リラ、からかうのもいい加減にしないと怒るよ?」

 <怒っちゃヤッ☆>


 何かどっかで見たことある動作だな。

 ディーとダムがピースを此方に向ける姿が、思い浮かんだ。

 

 <あ、お父様がね、ゼロはしばらく我が家に泊まったらどうかって>

 「小父さんが? 何で?」

 <ゼロ一人暮らしでしょう? 犯人も捕まっていないし、危ないじゃない>

 「君の姉さんが、捕まえてくれそうだけどね」

 <まあ、それもあるけど……>

 

 リラには10以上歳の離れたお姉さんが一人いる。

 彼女は女性でありながら、警護隊の隊長を務めていて、以前リラの家に行った時、沢山の表彰状が飾られていたのを覚えている。


 「それに、そこまで心配するほどでも無いし、小父さんには断っといて」

 <し、心配とかそうじゃなくてね……あー……う~~~っ私がゼロに泊まってほしいの!>

 「? 今は長期休暇中じゃないし、しかも年頃の女の子がそんなこと言ったら、いくら自分でも君の父さん姉さん達が堪ったもんじゃないよ?」


 リラはハシドイ家の末娘で、とてもとてもとっっっても、家族から溺愛されている。

 電話をしている相手が零であろうが、異性であろうが、会話の内容を聞いただけで誤解されて、家まで押し掛けられたりでもしたら、従では済まされない。


 <~~~っもう! ゼロの馬鹿ぁ!!>

 「? リラ? どうしたの?」

 <ふーんだ。ゼロの鈍感!>

 「?」


 その後、ふてくされてしまったリラの機嫌を何とか直し、他愛の無い会話を一時間ほど続け、通話を終了しフォーンヴィジョンを閉じた。

 消えたヴィジョンを見て、零はふー、と一つ、溜息を吐いた。

 今日は何とも疲れた日だった。

 変な夢は見るわ、双子に振り回されるわ、初めて自分の身を犠牲にして説教から逃れるわ、殺傷事件現場へ行くことになるわ、腰を抜かすわ……。

 ぐだー、とソファーに横たわっていると、だんだん睡魔が襲ってくる。

 ああ、このまま寝てしまって、明日の朝風呂に入ろうかな、と微睡む意識の中考えていると、キッチンテーブルから大音量で鳴り響くフォーンが、薄ら夢の世界へ旅立っていた零を、現実世界へ呼び戻した。


 『………音量変えるの忘れてた』


 けたたましく鳴り響く(いや、鳴り叫ぶ)フォーンを取りに、零はしぶしぶ立ち上がり、キッチンへ向かい、フォーンを手に取った。


 【着信:ディー先輩】


 「……………」


 今すぐ切りたい衝動に駆られる。

 そして切ろうとフォーンを持ち上げた時、まだどこもボタンに触れていないのに、強制通話となってしまった(一種のホラーかこれは?)


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