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【タイトル】Dear My Alice【未定】  作者: 柿崎みー君
夢、或いは悪夢。
7/14

-5-

 

 「ちょっと先輩。今先生と話をしているんですけど……」

 「「えー? 何ー? 早く帰ろうよー!」」

 「……………」


 聞く耳持たず、か。

 担任の方をちらりと見れば、苦々しい顔付きで双子を見ていた。

 一応教師なんだから、生徒の好き嫌いで態度変えるな。胸糞悪い。

 本日何回目なのか解らない溜息を一つ吐き、後ろから手を回してきた先輩(おそらくディー)を無視して


 「……すみません先生。その生徒の人に非常に申し訳ないんですけど、断っておいてください」

 「あ、あぁ。だが、お前はどうやって帰るんだ? その……双子達と帰るつもりか?」

 「ええ。まあ、断る理由もありませんしね」


 あははははと、棒読みで笑う。

 背後で「「断る理由って何だよゼロー!?」」と双子が騒いでいるが、無視を貫く。


 「というわけで、帰りますね」

 「ああ。気を付けて帰ろよ」

 「はい。先生もお気を付けて」


 社交辞令よろしく、足早にその場を去って行った担任。

 その担任の後姿に向けて、双子は舌と中指を立てて見送った。


 「俺あいつ嫌い」

 「僕も」

 「先輩達はあの先生問わず、全ての学校の先生が嫌いなんじゃないんですか?」

 「「まあねー」」


 舌を出して笑う双子。

 常に二人一緒に行動を共にし、明るくムードメーカー的な存在の二人は、同級生や後輩等には結構人気があるのだが、その反面教師等からは、あまり良いように思われていない。


 「あんまりあんな態度取らない方がいいですよ?」

 「嫌いなものは嫌いなんだよ」

 「ゼロだって、嫌いなものとは、相容れられないだろう?」

 「……まあ、そうですけど」


 双子の言い分にも一理ある。

 だけど、まあ


 「それでも、時と場合を考えてくださいよ。一応、先輩達は自分より年上なんですから」

 「「はいはいはーい」」


 口を尖らせながら、不満げに返事をする双子。

 悪たれてはいても、聞き分けだけは何故だか良い。


 「さ、早く帰りましょうか。未だ犯人は逃走中なんですから」

 「「早く帰りましょう……?」」

 「ええ。早く帰りましょ、う……?」


 おかしい。何故だか嫌な予感がする。とてつもなく、嫌な予感がする。

 背中を嫌な冷や汗が、つう、と一筋流れ落ちる。

 あー振り向きたくない。双子の方を振り向きたくない。

 しかし振り向かねばいけない気もする……。

 零はそぅっと、本当にそぅっと、後ろを振り向く。

 振り向きたくないけど、双子の方を、意を決して、零はゆっくり振り向いた。


 「俺達が」

 「そうすんなりと」

 「「帰ると思ってんの? ゼーロ?」」


 ああ、最悪だ。

 双子のやる気スイッチを押してしまった。

 こうなってしまったら、もう双子を止める術は無い。絶対に。


 「さあゼロ!」

 「殺傷犯が出たシラギク街に!」

 「「Let’s Go!!」」

 「……………」


 両手を双子に掴まれ、天高く掲げられる。

 ああ、本当に今日は最悪な日だ。


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