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-prologue-
『×××××』
声が、聞こえる。
『×××××』
誰の声なのか、解らない。
何を言っているのか、聞き取れない。
『×××××』
けれどそれは、とても悲痛な声で、苦しみ、叫び、何かを訴えている。
『×××××』
……泣いているの?
『……アリス』
… … ア リ ス ?
『どうして……アリス……?』
誰? アリス?
『どうして……』
『どうして……俺を、裏切った?』
ざくり
不意に伸びてきた鋭く尖った長い爪が、自分の首を貫き、世界を赤く染め上げた。