終着するのかもね。たぶんね。
噴水が中心に座っている公園は異様な光景が広がっている。
地面に寝ころがり、縛られたポコ。それを踏みつけるガスマスク。彼らに相対しているのは、犯罪者と呼ばれた黒フード、その隣には腕組みをして立つ西洋甲冑________昔、最速のジークフリートと呼ばれた男が立っている。
「義理立てはさせてもらう。」
「悪いね。最速の旦那。」
「構わんが、あと2回。あと2回しかやらないからな。」
西洋甲冑はまだ黄金剣を握ってはいないことに、ポコは安堵していた。
(まだあの必殺剣がでていないけど…それでもあの人は剣撃を飛ばせる。)
理屈も効果範囲も定かではないが、彼の攻撃は武器も持たずの居合切り。ポコ自信がいる場所が射程に入っている事も充分わかっていた。
絶望的な状況。拮抗していたヒエラルキーは黒フードに傾いた。そして西洋甲冑は呟く。
「じゃあな二人とも」
ガスマスクはショットガンの銃口を向けて、西洋甲冑のプレッシャーが高まる。最悪の状況に、分水嶺が訪れる。
「すとーーーーーーっぷ!!」
突然、声が割って入った事で状況が固まる。空白になった雰囲気に横入りしたのは、パンチパーマが特徴的なスタイルのいい黒人女性が制服姿の男達を引き連れて現れた。
だとしても、こんな状況で動きを止めるような輩達ではない。ドスの利いた声だが身体を止めた理由はそれだけでは不十分。その答えを黒フードが言った。
「声が聞えた瞬間に魔力が消えた…。いや、声に魔力が消されたんだな。なにもんだ。」
黒フードの愚痴を、舌打ちで返した。
「下っ端のゴロツキ風情が何か言ってるわ。耳障りが悪いからお縄に付けたい所だけど、お隣の元同僚が邪魔だわ。」
「・・・めんどくさい奴が現れちゃって、何しに来たナサニエル。ハウンドなんか連れて。」
西洋甲冑はナサニエルに問いかける。すると彼女は大きく笑って答えた。
「なにって、そらそこのガスマスクを迎えに来たのよ。ハウンドの大事な戦力が、最速に殺されかけてるんだから。」
「ボス…。」
【いまです。ご主人様。】
ガスマスクは俯いてポコを見た。その様子を伺っていたナサニエルは顎を指でなぞったあと腰に手を回した。
「やめときなさい。ここにいる人間はどれもややこしいの_____はぁ?!」
突然の出来事が空気を止める。何故なら拘束された筈のポコの姿が、綺麗に消えていたからだ。
「なんで。魔法の履行は感じなかった。」
「くそやられた!!所長、征服者は転生者だ!」
「あーーーなるほど…空間転移系のスキル…やっぱりそうだったのね。」
ナサニエルは眉間を摘んで空を仰ぎ、ガスマスクは空に向かって吠える。
「てめぇコンクエスタ!!!絶対捕まえてやるからなぁあぁぁあ!!!」
「いいから、さっさと逃げるよ!!!」
「あ、はなせ!!所長はなせよ!!あーーーーくそくそくそ!逃げんなよコンクエスタ!」
外に響いている負け犬の遠吠えを聞きながら、ベッドの上に転移した傷だらけのポコを見る。
「ご、ご主人さま…」
「今回はたまたまだぞ。ちょうどここの宿屋に戻ったら外で騒いでたから見つけられたんだ。もう無茶はするな。」
いじましい姿にムカついて、小さなデコを指で弾く。
「魔力パスでここにいるのは感じてました。追い込み漁ですよ。」
「だとしてもだ。次はないからな。」
「承知しておりま…いえそれはいいんです!アナを助けて__」
「無理だ。この距離だと一人が限界だし、そもそももういない。」
ポコは傷だらけの身体を引き摺り、窓の外に顔を出す。すると、そこにいたはずの集まりは解散されていて、ただ噴水が打ち鳴らす水の音だけが響いていた。
「そんな…」
「大丈夫だ。アイツラがどこに行ったかは目星が付いてる。とりあえず止血するぞ」




