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ブラック企業奴隷の俺は異世界転生して奴隷を解放してみた  作者: ヒゲ博士
第2章 企業への道

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語り継ぐゴリラ、その真意

 マサヨシは白い扉を蹴り力任せに開いた。中には机に向かって書き物をしているゴリラがいて、音に驚き、ドラミングを始めた。


「ウホ!だから毎度言っているだろうが!静かに扉を開かんかい!ワビサビ忘れんな日本じ___ おい。それなんだ。」

 

 ゴリラのモノは、マサヨシが両手に抱えているたぬき耳の少女に気がついた。


「...なんなんだろうな。わかんねぇ。けどコイツ、急に事切れて。」

「死体に欲情する趣味にでも目覚めたのか?」

「いやいや、薬が切れてダウンタイム通り越したんだ。コイツがな。」

「それを早く言え。ベットに置け。」


 少女をベットに 置くと、モノは無造作に伸びた茶髪をかき分け、人間の形の耳を見つけた。

 この少女には4つの耳があったのだ。得心言ったようでモノの鼻息が伸びる。


「転生者のようだな。獣人系統に転生したヤツには必ずある特徴だ。なら対毒性能は他の奴らより強いはず。」


 触診、脈拍、体温、瞳孔。少女のフィジカルを読み解いて彼女のステータスを測る。


「……薬物の抽出結晶に紛れてた毒にやられたな。症状的に見ても神経に作用すると考えると、これは中毒症状だな。」


 このモノと呼ばれるゴリラは転生者ではない。言葉を変えるなら転移者。

 女神アストライアを通さず、自力でこの世界に来た生物学者と人体機能工学の権威、だそうだ。


「どうすればいい?」

「どうしたくて連れてきたんだ拓也。」

「_____わからない。」


 歯切れの悪いマサヨシにため息を着く。モノにはもう察しが着いていたが、ここで言うことは無粋だなと感じ、押し黙る。


「...まぁいい。どっちみち解毒薬はない。」

「作れないのか?」

「無理だな。ブツの原材料は恐らく蛇族の物だが、彼らは絶滅した。プリズンシックスティーンのせいでな。」

「____」


 こうなると手はない。なんせプリズンは俺が壊したのだから。自責の念に責められるマサヨシは、強く歯噛みした。


「お前がこの子と契約すれば大丈夫だけどな。」

「!!!」


 契約特効により全ステータス回復がある。そうなればこの子は恐らく救われるだろう。

 だがそれは出来ない。マサヨシの瞼には、槍で貫かれて肌身を焼かられたミコチがいる。


 あんなこと、もう二度と体験したくない。


「いや、俺には___」

「お前が今やってる事と、この子と奴隷契約を結ぶこと、何か変わるのか。」

「...ならお前がやれよ。」

「無理だ。私には魔力がない。」


 静かな間が生まれる。この間にもこの子の体力は削られ、心臓が止まってしまうだろう。


(あんなにも苦しそうで助けたいのに、俺は踏み越えられない。もうあんな思いをするのは________)


 モノはため息をついて、腕組みし、マサヨシに言葉を投げかける。


「人生を怖がるな。」

「____」

「人の一生は巻戻らない時間の上でこそ意義がある。そして意義とはな、結局見当たらないだけでそばにある。1番最初に感じた感覚を思い出せ。その体を動かした感情を信じろ。それが意義だ。お前はこの子を助けたかったんだろう!!!」


 自分を見いだせず、復讐に囚われていたマサヨシの心に少しだけ木漏れ日が刺した。

 今のままでは何も変わらない。その切っ掛けを得られるなら、もう一度、誰かを信じてみようとさえ思えてきた。


「___ポコ」

「なんだって?」

「この子の名前はポコだ。」









_______キミにギフトを上げる。本当はこんなことしては行けないんだけど、私を愛した貴方だから、特別に。霧を払って、眠りから起こしてあげる。私の勇者様。









 マサヨシの耳に、誰かの声が届いた。だが周囲には何も無い。

 ベットに横たえたボコの脈を、モノが測ているだけだった。


「______よし。容態が安定した。もう大丈夫だろ。....うん?どうした?」

「あ、いやなんでも。」


 聞き覚えのある暖かい声。思い出せそうで出せない気持ち悪さはあるものの、心は何故か落ち着いていた。


















 白く果てのない空間で、青髪の女神アストライアは膝まづいて、怯えていた。


「ちょ、調停者としての越権行為なのは分かってる。だから細心の注意を払ってた。」


 マサヨシに声をかけたのは紛れもなく彼女だった。彼に与えたギフトは、普段のルールから外れる。

 調停者としての職責から、かなりかけ離れていた。だから姿を見せなかったのだ。


「見られた。盗み聞きされたのかと思ったけれど、あれは、確実に見られた。」


 止まらない冷や汗と安定しない呼吸。アストライアは未曾有の存在に怯えていた。


_____ こっちを見てるだけだと思ったか6次元人 


「!!!!!?!!」


 声が振り落ちてきた。アストライアの心臓は爆発したかと思うほどに跳ね上がる。


______転移者の俺に、この世界のルールは通用しない。お前がみているかぎり。俺もお前らを見ているからな。


「な、何者よ!なんなの!?神の職責をなんだと」


______俺の世界で作ったクスリのおかげでな、多元を視覚認識できるんだ。今じゃ上達して、メッセージも送れる。


「デタラメよ!こんなのありえない!!」


_____別に俺からどうこうしようなんて思ってない。でもお前らが何かしようものなら、分かってるな?


 神をも恐れぬ彼の名前はモノ。賢者、ゴリラのモノだ。

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