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召喚士

目が覚めた時、森のなかにいた。何故森にいるのか、ここは何処なのか何も分からない。分かることと言えば…。


「召喚士、LV1…」


目の前のそれには、そう表示されていた。召喚士というのは何かの職業だろうか。分からないことが多すぎる。


「スキル召喚、精霊の力を借りて操ることが出来るのか…兎も角やってみるか」


手を前に突き出すと念じてみる。何か出てこい何か…。


ボコッ


地面から石ころが反り出したかと思うと、それはコロコロと動き出した。


なんか思っていたのと違うな…しかし、見てくれは石ころだがそれは俺が思った通りの動きをしてくれる。だけどこれだと召喚士というより石を操れる超能力者って感じだな。


ふと木の上の実に目がいった、それと同時に腹が鳴る。どうやら腹が減っているようだ。


「飛べ」


俺がそのターゲットに集中すると、石ころが勢いよく跳ね上がり見事に木の実に命中し落下した。


命令LV1を習得しました。


頭のなかに何かが響いた。俺が命令したからスキルを習得したのか?習得には何か条件があるみたいだ。何回か命令を試してみたが、複雑な命令は出来ないらしい、行けだとか、戻ってこいなどの命令は聞いてくれるが、俺の周りを3回周れなどという命令をすると混乱してウロウロとするだけだった。もうひとつ分かったことは、命令がうまくいかなかった時はスキルには影響しないということだ。


試しに、行って戻ってという単純な行動を繰り返していたら命令のLVが2へと上がった。それならばとさらに同じ事を繰り返してみたが今度は何回やっても上がらなかった。つまり、LVが上がる事にそれに見合った事をしなければ次の段階へといかないという事だ。だとすれば…。


「召喚解除」


石ころは土へと帰る。そして再び。


「召喚」


それを繰り返す。


召喚地のLVが2になりました。


やはりそうか、これも経験を積めばもっと上を目指せるという事だ。段々と分かってきたぞ。


「召喚」


ボコッ


再び石ころが出現する。しかし、今度は先ほどの倍以上の石が出現した。成る程、LVが上がれば召喚物も大きくなるのか…ってあれ?急に頭がクラクラして…。


ドサッ


……。








次に目が覚めた頃には辺りはすっかりと暗くなっていた。どうやら気を失ってしばらくの間気絶していたらしい。召喚はただって訳ではないらしい、何かしらを消費しているのか分からないが、あまり多用するのは良くないな。


辺りを見渡すと気絶する前に召喚した石がまだ目の前にあった。どうやら召喚されて命令がないまま放置されたようだ。しかし、何かが切れても召喚された物は残ったままなのか。解除しない限り召喚物は消えないか、こういう情報はいくらでも欲しい何たって俺は今の状況を何も分からないのだから、せめて自分の事くらいは理解しておく必要がある。


自分?ふと自分の手を見てみる、普通の手だ。人…だよな。名前は…分からない。


ギャア


静かな森に何かの鳴き声が響いた。俺は直ぐに立ち上がると辺りを警戒する。


「何かいる」


ガサガサ


茂みの中から何かが現れた。


「何だ、あれは!?」


獣?いやでも二足歩行だ、人?いや、明らかに人ではない、人型ではあるが、ソレは異臭を放ちその眼はギョロギョロと辺りを見回している。それと眼が合った時俺は敵であると認識した。


「あ、あぁーあ?ぁあ」


言葉にならない声で一歩また一歩とこちらに手を突き出して歩み寄ってくる。


どうする?逃げるか?しかし、こんなおぞましいものをこの森に放置しておくのもダメな気がする。


「あーーぁあァァァ」


くそっどうする?ふと化け物の足元に目をやると俺の召喚した石が目に入った。あいつ、俺が召喚した石に気が付いていないのか?それもそうか、見た目はただの石、ましてや知性のないような化け物が気にするとも思えない。俺は念じた。


「飛べ、そしてアイツの頭を貫け」


カタカタカタ


石は小刻みに震えると次の瞬間、凄い勢いで跳ね上がり木に当たるとその勢いのまま、化け物の頭を貫いた。


ボンッ


鈍い音とともに頭が吹き飛び化け物はそのまま倒れ込んだ。


「やった…のか?」


命令のLVが3になりました。

召喚士のLVが2になりました。


LVが上がったってことは命令がうまくいったってことだよな。


「はぁー」


深く息を吐くとその場に座り込んだ。一体何だったんだこの化け物は、敵なことは間違いないが。それにしてもただの石だと思っていたが中々役に立つではないか。こいつがいなかったら襲われて逃げ切れたかも分からない。


「ありがとうな」


そう言うと石を拾い上げる。


「あれ?」


ほんのりと温かい、この石生きてるのか?精霊の力を借りてって書いてたな。精霊が何を指すのか分からないけど命を宿しているって事なのか…。


召喚士 LV2

召喚地 LV2

命令  LV3


召喚士と召喚のカテゴリが分かれているのは何か意味があるのか?命令ほ命令をしていたら上がった。召喚は召喚を繰り返していたら上がった。そして、さっき化け物を倒したら召喚士が上がった。それぞれ上がるための条件があるらしい。


召喚地…地って大地の事だよな。もしかしたら石以外に召喚できるのではないか?大地の他にあるものと言えば…。俺は木に近づくと手を触れる。感じる、石と同じだ少し温かい。


「召喚」


メキッ


地面から木の芽が生える。


召喚木LV1を習得しました。


やはりだ、地に木、自然物を操る力それが召喚士なんだ。それから俺はスキルの召喚と命令のLVを上げることに集中した。


召喚士 LV2

召喚地 LV4

召喚木 LV3

命令  LV4


数日で少し上がったがLV4になったあたりから召喚と命令を繰り返してもそれ以上上がらなくなってしまった。スキルの召喚地の欄が赤くなっているのが原因だろう。赤くなってないスキル、召喚士と召喚木おそらく召喚木は召喚地と同じものと仮定して、4になればそれ以上上がらなくなる可能性が高い、となると上げるべきは召喚士のスキル。


そして、召喚士は化け物を倒したら上がった。つまり俺が今することは化け物を倒すことだということ。少し怖いが森を歩き回ることにした。


「この音は…水だ!」


数日、木の実でなんとか過ごしていたが、喉がカラカラだった俺はその音につられて走り出した。しばらく歩くとひらけた場所に出る。そこに流れる透き通った川、直ぐに手ですくい飲もうとしたが。


「この水…大丈夫だよな?」


もし病気にでもなったら、俺はそれを治す手段がない。つまりその時点で終わりってことだ。


「くそっ目の前に水があるのに」


まてよ?


「召喚」


一塊の水がふわふわと浮上する。


召喚水LV1を習得しました。

召喚士のLVが3になりました。


その水に触れてみる。やはり温かいそして分かる。この水がどういう物なのか何となく感覚で理解できる。どうやら飲んでも大丈夫なようだ。


それを口に含む。


「美味しい」


ただの水なのに疲れた身体に少しだけ活力が出た気がする。


活力水LV1を習得しました。


さっき化け物を倒していないのに召喚士のLVが上がったな、どうやら化け物を倒す以外にも条件があるらしい。


召喚士 LV3

召喚地 LV4

召喚木 LV3

召喚水 LV1 (活力水LV1)

命令  LV4


活力水ってさっきの水だよな、あれってスキルだったのか、それに表示のされ方が今までと違って召喚水の横にある。ってことは召喚水に属するスキルって訳か。


それから色々試してみて分かったことがある。一度召喚すれば何かしらの原因で消滅さえしなければ、召喚を解除しても再び呼び出せるという事だ。例えば水が周りに無くても、一度スタックしておけば何度でも呼び出せるのだ。だが、消滅した場合はまた媒体になる物質が必要になるらしい。石なんかはその辺にいくらでもあるが、水や木になると周りに直ぐにある訳でもないから注意が必要かもしれない。


また、召喚のLVが上がると同時に、召喚した物体にも変化が見られる。今の召喚地のLVは5、もう石というより手の生えた岩のようだ。そしてそれは召喚するためのコストの大きさに比例するようだ。つまり、大きな物を呼び出すにはそれだけ大きな媒体が必要という事だ。だから予めスタックしておく方が良いだろう。


「あーぁああああぁ」


「出たな化け物!召喚地!」


俺の身体程の岩が出現する。


「やつを倒せ!」


こぶし大の岩の腕を振り上げるとそれを化け物めがけて振り下ろす。するとグチャっという音を立てて3メートルほど吹き飛ぶと化け物は一撃で絶命した。


召喚士のLVが4になりました。

召喚短縮LV1を習得しました。

命令のLVが5になりました。

複雑命令LV1を習得しました。


召喚短縮に複雑命令か。召喚短縮は何となく分かるけど複雑命令って何処まで複雑な命令をきいてくれるか分からないな、少し試すか。


「周れ」


ゴゴゴ


「向こうの木に近づいて3秒後にこっちに戻ってこい」


ゴゴゴ


おぉ、ちゃんと言うことを聞いてくれる。ある程度は融通が利きそうだ。


召喚木のLVが上がったことで召喚した木から木の実を採取出来るようになった。これで食料と水には困ることはなさそうだ。


召喚士 LV3 (召喚短縮LV1)

召喚地 LV5

召喚木 LV4 (果実LV1)

召喚水 LV4 (活力水LV1)

命令  LV5 (複雑命令LV1)

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