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第2話

「ハグをしよう」


主人公の広げられた腕は、その先端の長く、しっかりと男性的な骨格の浮く指先まで、迷いがないと言った風に伸びる。

それが、街灯に照らされて地面に歪んだ十字架を作っていた。

その言葉その行為は、学校からの帰り道、数歩先の暗がりを歩くクラスメイトに向けられていた。


「急にさ、君は何を言い出すんだい?公衆の面前で。君のような思春期男子がその性欲に任せてボクのような、そうだね、身体には結構自信があるほうだが、そんな少女と触れ合いたいと思う気持ちも、理解はするぜ?」


暗がりの中、クラスメイトは答える。

主人公からその表情は伺えなかったが、よく机から落ちる消しゴムを拾う時の顔、そんな顔をしていた。


「俺とお前の仲だろ。恋仲になれなくたって、友情のハグくらいはしたって良いんじゃないか?それに、今は周りに人はいないだろ」


主人公の澄んだ、嘘など一切入り込む余地のない声が、路地に響く。

しかし、その言葉と裏腹に、辺りは人でごった返していた。道ゆく人々は2人の応酬にチラと視線を寄せては外し、宵闇の向こうへ歩き去っていく。


「おい嘘をつくな」


「嘘?なんの話かな?」


クラスメイトのそっけない返答が終わると同時に、主人公が暗がりへと歩み寄り、見かけよりずっと力がある、スラリと伸びた両腕でクラスメイトを包み込む。


「何をしているんだ、君は?これは立派な犯罪行為だぜ?ボクが訴えてしまえば、君の物語は少年院モノに早変わりさ。それをわかってやっているのかい」


「……」


「思春期の欲望とは抑え難いものさ、テストステロンというホルモンがそうさせてしまう。いや、人間の感情のほとんどがそのホルモンに支配されているのだから、君のこの行動は情状酌量の余地が余りあると言ってもいい」


「……」


「だからそろそろ放してくれないか?ホラ、周りの人たちもボクらに奇異の目線を送っているじゃあないか?こんなことで不純異性交遊なんて問題になるのはゴメンだぜ?これでも成績は君より良い方なんだ」


「地の文はどうした?」


力を込めt引きはなす


「地の文?君がボクに抱きついているだけのシーンに、いちいち背景描写が必要なのかい?」


「それと、消しゴムを拾うときのお前、そんな顔してないだろ?」


勝ち誇ったような顔で、主人公は質問を重ねる。

対するクラスメイトは真顔。ごく淡々と、落ち着いて、どうでも良いと言った風に、つまらなそうに返答した。


「ボクの顔がどうかなんて、君にしかわからないさ」

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