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第1話

「好きだ、付き合ってほしい」


夕陽が差し込む放課後の教室に、澄んだトーンの、何度聞いても飽きが来ない声が響く。

その言葉は、教壇の上に腰掛けたクラスメイトに投げかけられていた。


「主人公クン、君ね。ボクはこの世界の“狂言回し”なんだよ?外側からの観測者。それが君と恋仲になったら、読者に対してフェアじゃないと、そう思わないかい?」


こともなげに、あまりにそっけなく返答をしたクラスメイト。

その態度に、決して美形というわけではないが、何故か印象に残る、そんな主人公の顔が曇る。


「いや、でもお前も俺のこと好きだろ」


確信を持って言葉を紡ぐ主人公の、切れ長で、永く見つめられると思わず目を逸らしてしまいたくなるような目。

その目は夕陽に照らされ黒真珠のような光を放ち、先ほどの言葉が真実である、という無二の説得力を生んでいた。


「いったい、何を根拠にそう言っているんだい?そんな素振りを君に見せたつもりは、一度もないのだけれどね?」


「だからそう言うところだよ!?毎回!!」


小気味良い応酬が、クラスメイトと主人公、ふたりしかいない黄昏の、その空白を埋めていく。

その空白を埋めてくれる。


「ボクはあくまで狂言回し。ボクが君の恋人になったら、他の誰が君の恋物語を紡ぐのさ。これでも、責任感は強い方なんだぜ?」


ぷい、とそっぽを向いたクラスメイトに、一見頼りなさそうに見えるが、よくよく見れば男子の力強い筋肉を思わせる肩を落として主人公はひとりごちる。


「こいつ絶対、俺のこと好きなんだよな…」


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