表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/37

その日のこと

父の月命日には毎度思い出す。


その日のことを。


父はご飯が食べられなくなった。


そして衰弱していった。


とうとう意識を失った。


それでも毎日会いに病院に通った。


頭に浮かぶのは父がくれた言葉。


『成るように成る』


『ケ・セラ・セラ』


父もなんとかなると信じた。


信じるしかなかった。


その日も、また明日会いにくると言った。


私と母は家に帰った。


その深夜、電話が鳴り響いた。


私は嫌な予感がした。


電話に出るのが怖かった。


震える指で電話マークを押した。


やはり、病院からの電話だった。


父の鼓動が止まったと言われた。


心臓マッサージしてるから早く来てくれと言われた。


嘘だと言って欲しかった。


医者のおかげで、父の旅立ちには立ち会えた。


けれど、私の声は父に届いてくれていたのだろうか。


最期の大好きという言葉だけは、届いていて欲しい。


本当に、大好きだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ