悪役令嬢の父親が出てきました。
ハッとして私は飛び起きた。
疲れ切った私は林の中で野宿していたのだ。
「少しは寝れたかな」
私は起きあがった。
後少しで、王都と我が辺境伯領を結んでいる馬の替地があるはずだった。
そこには当然我が領地の兵士たちもいるはずだった。
幸いなことにまだ、王都から追手は来ていなかった。まあ、来たら来たときなのだが。
でも関係ない所で私が暴れると他の人が迷惑を被る。
私は兄や姉から出来る限りの戦闘を禁じられていた。
立ち上がった私は前方から馬が駆けてくるのが見受けられた。
乗っているのは我が領地の兵士だ。いや違う。
あれは家宰のイーサン・ゲイラーだ。
「ひ、姫様。ご無事でしたか」
イーサンは馬から飛び降りて私に駆けよってきた。
「王都で騒ぎがあったと聞き、心配で飛んでまいりました」
「でも、今はゲフマンがまた攻めて来ようとしているのでしょう。そんな忙しい時に来てよかったの？」
私は聞いた。
「何。要塞にはエックハルト様もクラウディア様もいらっしゃいますからな。我が方は余裕ですぞ」
「しかし、ゲフマンの動きが気になるわ」
私はイーサンに出来事のあらましを話した。
「おのれ、あの王太子め。我が領地の姫様に何て無体なことをしようとしたのか。これは王家に目にもの見せてやらねばなりませせんな」
イーサンは言い切った。
「でも今はゲフマンの対処に忙しいでしょう」
「ふんっ、どの道ゲフマンのゲス共の下らぬ策略でしょう。奴らにも目に物見せねば」
イーサンが言い切った。
私は苦笑するしか無かった。
本当に領地の奴らときたら全ての恥辱は戦闘で晴らそうとする。
その時だ。遠くから多くの馬の駆けてくる蹄の音がした。
「王都の方からですな」
イーサンが言った。
後ろを振り返ると騎馬の大軍がこちらに向かってくる。
「あの旗はバルチュ侯爵家の旗ですな。娼婦アマーリエの家の軍ですが、奴らこの辺境伯家と本気でやり合うつもりですかな」
「私が一人だから打ち取れると思っているんじゃない？」
「いかが致しますか。姉君を呼ばれますか？」
「うーん、お姉さま呼んだら、この地が灰燼と化しかねないわ」
「では逃げられますか？」
「逃げた事がお兄様に知られたらただで済むと思う？」
「とんでもない重労働が与えられそうですな」
そうなのだ。武の名門ハインツェル辺境伯家としては敵前逃亡は万死に値するのだ。本来ならば処刑のところ、兄なら、鉱夫として無休で１ヶ月働いて来いとか平気で言いそうなのだ。
それは勘弁してほしかった。
「ここは、私の宝剣を使うわ」
「えっ、あれを使われるのですか。しかし、下手したら雷よりも被害が大きくなりませんか」
「そんなことはないと思うわ。おそらく」
そう言う私をイーサンは疑い深そうに見た。
「そこにいるのはエルヴィーラ・ ハインツェルと見た。よくも我が娘アマーリエをあのような目に合わせたな」
先頭でかけてきたのは侯爵本人らしかった。
「いかにも、こちらにおわすのが、戦神エルザベートの生まれ代わりと言われるエルヴイーラ様である。侯爵と言えどもその方、戦神に逆らうおつもりか」
イーサンが、また大音声で答えた。
「ふんっ、しゃらくさい。何か魔術をつかいて我が娘を傷つけたようだが、我が方は魔術師も多くおるわ。そのようなまやかし、通じると思うなよ」
侯爵は宣った。うーん、言うのはただだけど、このおっさん、本当に辺境伯家に敵対するということがどういうことか理解しているのか？
「左様ですか。侯爵家の取り潰しも覚悟しているというのですね」
私ははっきりと言った。
「私が所持しているのは我が辺境伯家に伝わる宝剣エクスカリバー。我がオーバードルフ王国建国の戦神エルザベート様の所持なさっていた宝剣です。エルザベート様はこの剣で蛮族共を退治してこの国を建国なされたのです。我が剣の前に立つということはこの国に対する反逆とみなしますが宜しいですね」
「ふんっ、たかだか辺境伯の分際でそのような事をほざくのか」
「判りました。あの世で後悔なさるがよろしかろう」
私は宝剣を抜いた。
次の瞬間宝剣は凄まじい光を発し、侯爵軍に襲いかかったのだった。
すいません。ちょっと更新失敗してしまいました。
こちらが正当です。
