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閑話 ダンジョンの泉で宝剣を落としてしまって3っつの願いを言いました

初めて異世界恋愛週間ランキング入りしたので記念に更新します。本当にありがとうございました。

私がまだ、8歳になっていない時だ。

お兄様は剣術の稽古に、お姉様は魔術の稽古にお忙しいので中々相手にしてもらえていなかった。


そんな中、私にはフェルがいた。

フェルと一緒にいろんないたずらをしていたのだ。


厨房に忍び込んではハンネに新作のお菓子の味見をさせてもらったり、城を探検と称して秘密通路を探しているうちにお父さまの大切な鎧を壊したり、宝物庫で宝剣を見つけて抜いてみたりと本当にいろんないけない事をしていた。




そして、今日は街にお忍びで行くと両親には言いながら、護衛を撒いて、フェルと街の北にあるダンジョンに来ていたのだ。


ダンジョンは初めてだ。


基本的にお兄様とお姉様はダンジョンに入ると魔物を狩り尽くすので、ギルドから出入り禁止に、いや、禁止なんて怖くて言えずに、泣き落としでお願いされていた。

だって、二人が入ると本当にダンジョンが廃墟と化すのだ。



だからお兄様とかお姉様にダンジョンに連れて行って貰ったことはない。フェルに誘われた時には一も二もなくて頷いたのだ。


どんな魔物が出るんだろう? 


私も多少は剣が使えるようになったので、ドキドキしながらフェルの後ろについて入った。




「ちょっとランタン消してみて」

少し歩くとフェルが言ってきた。


「えええ、消すと怖い魔物が出てくるんじゃないの?」

おっかなびっくりで私が聞いた。


「大丈夫だよ。出てきたらおれが退治するから」

フェルが自信満々に言ってくれた。


まあ、フェルを信用しないわけはないけど、少し怖い


「ほら」

フェルが片手を繋いでくれた。

でも、片手では剣の扱いが鈍くなるのではと思わないでもないが、仕方がない。

フェルの言うように消してみた。


「えっ」

ダンジョンの中は真っ暗になった。

私は思わずフェルの手をギュッと握った。


「大丈夫」

フェルが握り返してくれた。

なんかフェルに手を握られると落ち着く。

目が少しなれてくると、天井一面が光りだしたのだ。


満天の星を見るみたいだった。


「きれい」

私はぽかんとして口を開けて天井を見ていた。


「ツチボタルなんだ」

「へえええ、ホタルなんだ」

私は感動して天井を見ていた。



ツチボタルを堪能したあと、少し歩くと滝が落ちていた。

その滝の水の中がぼーっと光っているのだ。


「フェル、この滝壺光っているよ」

私はフェルの手を引いて言った。


「これは夜光虫だ。きれいだろう」

「うん」

私はフェルに頷いた。




それからもフェルはいろんなきれいなものを見せてくれた。


ダンジョンってこんなにきれいなんだ。私は知らなかった。



でも、結構ダンジョン歩いているんだけど、全然魔物に会わないんだけど何でだろう?


「おかしいな。魔物に全然出会わないなんて」

フェルも不思議がっていた。



実は私は両親に内緒で宝剣を持ってきていたのだ。どんな魔物が出てきても宝剣ならば退治できるだろうと言う軽い気持ちだった。


まさか、魔物たちが宝剣を怖れて一目散に逃げ出したなんて思いもしなかった。


それにお姉様が密かに後ろをつけていたなんて思ってもいなかった。


宝剣と破壊の魔女なんて2つも揃えば、そらあ、魔物たちも逃げ出すわなと今なら判る。





そうして、何もなく、私たちはあっさりと目的地の泉についた。



そこにはは本当にきれいな水が流れていた。



「ここの水は飲めるから」

フェルの言葉に喉の渇いていた私は思わずしゃがみ込んで水を両手ですくった。


「あっ」

その時に誤って宝剣を落としてしまったのだ。


フェルが慌てて取ろうとしてくれたが、宝剣には届かず、宝剣はどんどん沈んでいった。、



さああああっと血の気が引いた。


宝剣は黙って持ち出していたのだ。それをダンジョンの泉に落としたなんてバレたらどれだけ怒られることか。



あたふたする私の前にいきなり泉がざわめくと、中から金の剣を持った老人が現れたのだ。



「えっ」

私は驚いた。


フェルなんて剣を抜き放っていた。


「小童。泉の妖精の儂に剣を向けるでない」

老人が言った。妖精って老人もいるんだ。私は妖精は可愛い女の子だけかと思っていたので驚いた。


フェルは躊躇していたが、諦めて剣を鞘にしまった。



それを見て老人は笑うと

「お嬢ちゃん。この泉にお嬢ちゃんが落としたのはこの金の剣かな」

と聞いてきた。


「ううん。それじゃない」

私は首を振った。



「そうか、少し待てよ」

老人はそう言うと泉に潜って今度は銀の剣を持ってきた。


「ではこの剣かな」

私は首を振る。



老人は再度潜って今度は宝剣を持ってきた。


「ではこのボロボロの剣かな」

なんか戦神が聞くとヒステリーを起こしそうなことを平気で老人が言ってくれた。


「はい。それです」

「うむ」

老人は剣を私に返してくれた。


「ありがとう」

私がお礼を言うと老人は笑って私の頭を撫ぜてくれた。


「正直なお嬢ちゃんだ。その正直さに免じて、願いを3っつ叶えてあげよう」

「えっ本当に」

私は老人の声に喜んで言った。


「本当じゃ。儂は偉大な泉の妖精じゃからの」

老人は偉そうに言った。


「うーん、でもお菓子はハンネが作ってくれるからいらないし、フェルは?」

フェルは一瞬喜んで言おうとしたが、考え直したみたいで、


「いや、おれは良い。エルがやったことなんだから、エルが3っつ言っていいよ」

フェルは譲ってくれた。


「うーん、じゃあねえ、お兄様が立派な剣聖になってほしい」

私は兄の願いを言っていた。


「えっ、いや、でも、もうなっているけれど」

老人はブツブツ言っている。


「それで本当に良いのか」

「えっ、うん、エルはお兄様が剣聖になって欲しいの」

私は喜んで言った。そう、お兄様の願いがそうなのだ。お兄様は現剣聖に遠慮して剣聖と名乗っていないだけで、既に世界一の剣士になっていたのを私は判っていなかった。


「そうか、わかったそれは叶え・・・・まあよい。では2つ目は」


「次はお姉様に大魔術師になって欲しいの」

「えっ、この子の姉は既に世界最強の魔術師なのだが・・・・・」

また老人がブツブツ言っている。


「本当にそれで良いのか?」

「うん」

「判った。それも叶え・・・・うーん、何故じゃ。私の良心がグサグサ痛むのは・・・・」

なんか老人が心苦しそうにしている。



「いや、まて、3っつ目があった。これはその方の本当の願いを言ってみい」

老人が思い返したように言ってくれた。


「えええ、エルの本当の願い? 何でも良いの?」

「儂はこの泉の偉大な妖精なのじゃ。不可能はないわ」

「じゃあね。じゃあね、エルはフェルのお嫁さんになりたい」


「えっ、エル、それは」

フェルが驚いて私を見た。


「えっ、フェルは嫌なの?」

「いや、そんなことはないよ。俺は嬉しいけれど」

私の問にフェルが赤くなって答えた。


「よし、やっとまともな願いじゃの。これで儂の良心も痛みはすまい。必ず叶えてやろう」

老人は笑ってそう言うと消えてしまった。



「あれっ、消えちゃった」

私は驚いて言った。


「でも、エル、何でも叶えてくれたのに、本当にあれで良かったのか」

「うん、エルは将来フェルのお嫁さんになるの」

私は無邪気に言った。



この時の願いが本当に叶えられるなんて、この時は思ってもいなかった。

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公爵令嬢で第一王子の婚約者であるフランはゲームの中で聖女を虐めて、サマーパーティーで王子から婚約破棄されるらしい。
しかし、フランはそもそも前世は病弱で、学校にはほとんど通えていなかったので、女たらしの王子の事は諦めて青春を思いっきりエンジョイすることにしたのだった。

しかし、その途端に態度を180度変えて迫ってくる第一王子をうざいと思うフラン。
王子にまとわりつく聖女、
更にもともとアプローチしているが全く無視されている第二王子とシスコンの弟が絡んできて・・・・。
ハッピーエンド目指して書いていくので読んで頂けると幸いです。
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