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帝国皇子視点7 贈る花を間違っていました

俺はエルにこちらを向いてもらえるようにするために、どうしたら良いか、男どもに聞いた。


「殿下。姫様に好かれようと思ったら、絶対にお菓子です」

「お、お菓子か?」

ヘルマンが答えてくれた。

しかし、なんか、女の子に好きになってもらうのに、贈るのがお菓子って少しおかしいような気がするんだが。


「帝国堂のケーキはどうですか?」

「いや、この地ならばオーバー饅頭では?」

「いやいやいや、ドルフのチョコレート菓子ですって!」

男どもが次々に案を出してくれた。


しかし、どいつもこいつも聞くと食い物のことしか言わない。

エルに頼みを聞いてもらうならば、お菓子でもいいとは思うが、好きだというのに贈るのが食べ物はどうかと思うのだが。


「本当にこいつら馬鹿ですよね。殿下。そんな時に女の子に贈るのは、花束に決まっているでしょ」

そこにユンガーが入ってきて呆れて言った。


「ええええ!、姫様は違うと思うぞ。」

「そうだ。姫様は普通の女の子とは違うんだ」

ヘルマンらは不満顔で文句を言う。


「馬鹿だな。お前らは。姫様は、花束なんか貰ったことがないはずだから、絶対にどんな花でも貰ったら嬉しいはずです。フェルナンデス殿下。なんでも良いので花さえ渡せば確実に姫様はあなた様に恋するに違いありません」

「やつぱりそうか」

俺は頷いた。やはり花だよな。


「そうですよ。例えば、このあたりに咲いている蘭なんか良いんじゃないですか?」

「恋人に贈るのはバラとかでなくて良いのか」

俺が聞くと、

「うーん、姫様の場合はどちらかというとこのあたりに咲いている野花を贈られたほうが喜ばれると思いますよ」

「なるほどそうだな。ありがとう。ユンガー、助かったよ」

俺はユンガーに礼を言った。

ユンガーも偶には良いことを言う。


俺は喜んで、傍に咲いている蘭の花を花束にすると、エルの侍女のビアンカに渡しに言った。


2日目はその隣に生えていてキレイだった白菊を。


3日目には真っ赤に咲いていた道端の赤い花を花束にして贈ったのだ。


3日も花を贈れば、いくら鈍いエルでも、俺の気持ちを判ってくれただろう。


そして、最後はエルの瞳と同じ青い花を見つけたので、それを花束にしたのだ。

告白するために、帝国の皇子の正装して、エルを訪れた。


少し緊張しているが、もう、ここは出たとこ勝負だ。


扉を開けると何故かエルの姉上がいたが、もう、構っていられない。


俺はエルの前で跪くと

「エルヴィーラ姫!」

俺は一気に告白しようとして、思いっきり姉上に頭をしばかれていた。


「ちょっと、フェル!、こちらにいらっしゃい」

「いや、姉上、私にはやらねばならぬことが・・・・・」

俺の抵抗も虚しく、姉上に無理やり外に連れ出される


「姉上、何故いつも私の邪魔をされるのですか」

俺はムッとして文句をいうと、


「あんたこそ何を考えているのよ。葬式の時に献花する花ばかりエルに贈って。エルのお葬式でも始めるつもり」

「ええええ!。私の贈っていた花は、お葬式の時に出す花だったんですか」

俺はその場に崩れ落ちていた。


「あんた、なんでよりによってそんな花ばかり、エルに贈ったのよ。その手に持っているのはリンドウの花だし」

「いや、ユンガーに色々聞いたら」

「あんた、そもそもユンガーに聞くなんておかしいんじゃないの。そんなの面白おかしくするに決まっているでしょ」

「おのれ、ユンガーめ」

俺はその姉上の一言でキレた。そうだあいつを信じたのが間違いだった。

俺は今にもユンガーを斬り刻みに行こうとして、ぐいっと姉上に捕まってしまった。


「詳しく私に話しなさい。場合によっては私が怒ってあげるから」

姉上が真剣に言ってくれるので、俺はやむを得ず、すべて話した。


それを聞いて姉上は残念なものを見るように俺を見た。

「フェル。今回の件はあなたが悪いわ」

「えっ、俺ですか」

「だって、ユンガーは例えば蘭の花って言ったんでしょ。蘭の花は別に女の子に贈っても何も問題ないもの」

「その後の白菊とか彼岸花とかリンドウとか、あんたユンガーに聞いたの?」

「しかし、道端に咲いている花のほうがエルに合うって」

「それは私もそう思うわ。ユンガーは思ったよりもセンスあるわ」

「でも・・・・」

「悪いのはあなたのセンスよ。何故、あなたは葬式に飾る花ばかり選んで持って行くのよ」

「いやあ、エルに似合いそうだから」

「あんたもう、花贈る時は必ず私かビアンカに相談しなさい」

姉上ははっきりと言ってくれた。


「いや、しかし、姉上には相談しにくいというか・・・・・」

「まあ、エルの姉妹に相談するのが恥ずかしいと言うならば、女の子に相談するのね。花屋さんの女の子に聞くとか」

「判りました。もう一度やってみます」

「今度はお葬式ごっこは止めてよ。エルは本当に悩んでいたから」

「はあああ」

俺は今までの努力が無駄だったと知って一度に疲れ切ってしまった・・・・・



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ここまで読んで頂いてありがとうございます。
私の

次回作品

の小説はこちら

『悪役令嬢に転生してしまいましたが、前世で出来なかった学園生活を満喫することに忙しいので何もしません』

https://ncode.syosetu.com/n3651hp/

「えっ、ゲームの世界の悪役令嬢に生まれ変わった?」
頭をぶつけた拍子に前世の記憶が戻ってきたフラン、
でも、ケームの中身をほとんど覚えていない!
公爵令嬢で第一王子の婚約者であるフランはゲームの中で聖女を虐めて、サマーパーティーで王子から婚約破棄されるらしい。
しかし、フランはそもそも前世は病弱で、学校にはほとんど通えていなかったので、女たらしの王子の事は諦めて青春を思いっきりエンジョイすることにしたのだった。

しかし、その途端に態度を180度変えて迫ってくる第一王子をうざいと思うフラン。
王子にまとわりつく聖女、
更にもともとアプローチしているが全く無視されている第二王子とシスコンの弟が絡んできて・・・・。
ハッピーエンド目指して書いていくので読んで頂けると幸いです。
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