一口のミステリ【インスタントフィクション#13】
ゆうたは可愛い。
呼んでも答えてくれなかったり、抱きしめようとすると遠ざかったりするけれど、
何をしててもとにかく可愛い。
たかしも、私がゆうたばっかりかまっているとすねたりして、
かわいいところはあるけれど、やっぱりゆうたの可愛さにはかなわない。
ある日、たかしがチョコを作ってくれた。
珍しいこともあるもんだと問いただすと、
「別に、作りすぎて余っただけだし。」
と照れ隠ししたりして。
たかしもなかなか可愛いところもあるもんだ。
たかしのチョコを一口食べてみる。
ちょっと苦すぎ。
でも初めてだから許してやろう。
それから、たかしは何度かチョコを作ってくれた。
相変わらずたかしのチョコは苦い。
私の記憶では、たかしは甘いものが好きだったはずだけど、
チョコは苦い派なのかな?
そういえば最近ゆうたの調子が悪そう。
変なものでも食べたかな?