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第3音

受験当日、特にこれといって深く考えず、筆記用具と国から送られてきた受験票だけ持って靴を履いた。


じゃあいってきます。と母さんに告げ家を後にしようとしたその時、父さんが走って何かを投げ渡してきた。




これは…父さんが趣味でよく使っている魔道具(まどうぐ)のロールピアノだ。布のような形状で丸めて持ち運べるのだが、ちゃんとピアノの音が鳴る。


正直父さんがピアノが趣味と知った時愕然(がくぜん)としたが、もう聴いただけで死にたくなるほどピアノで追い込まれることはなくなっていた。だって父さんプロ並みに上手いし。正直勝てないし勝とうとも思ってない。



しかし、今日は受験のはずだ。なんでこんなものが必要なのか…

おずおずと顔を上げると、父さんはニカッと笑った。


「使う時が来るかもしれないから持っていっとけ。役に立つはずだ。」



そういって俺の背中をバシッと叩き、



「いってらっしゃいミヅキ。頑張れよ」


と笑った。


母さんも「気をつけて行ってらっしゃい。頑張るのよ」

といってふわりと笑った。


「いってきます。」


俺はロールピアノを鞄に押し込み、受験会場となる国立メロジティクト学園へと足を運んだ



✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼




家から片道徒歩30分。王宮の手前にそびえ立つその建物は歴史と威厳を感じられるものであった。


これが高校と言われるとちょっとデカすぎな気もするが、続々と吸い込まれていく受験者に続いて門をくぐった。


試験会場はごく普通…なのかはわからないかざっと1000人ほどは収容出来そうな教室に通された。

各々、色んな方法で受験時間までの暇を潰していた。


緊張しているのかオドオドキョロキョロと周りを見回す人、寝ている人、魔法についての問題集を読む人、じっとただ座っているだけの人…


どうやって時間を潰す考えているとふと、隣の席の少女に声を掛けられた。



『もしもし、すみません。ペンを1本貸していただけませんか。』


そう言って彼女は申し訳なさそうに微笑んだ。

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