1.終わりは突然に
こんにちは、水崎幸次郎太です。
これから不定期ながら投稿していきます。宜しければ感想等お待ちしています。
高校二年生の夏休み、待ちに待った新作ゲームの発売日。
俺、成瀬颯馬はウキウキで開店前の長蛇の列に並んでいた。
あの大人気ゲーム『将乱の覇者』の続編、『将乱の覇者2』の発売が公表された時から俺のテンションはMAXだ。
前作の内容はまさに神ゲーと言っても過言ではなかったため、今回の続編にも期待値は必然的に高くなる。
それを物語るのはこの長蛇の列。もしかすると並んでいる人だけで在庫が足りなくなるのではないかと言わんばかりの人数だ。
まぁ俺は徹夜のかいあってか最前列から十数人目、在庫切れを気にすることは無い。徹夜しても前に10人も並んでるのは異常だ。
そんなことを思いながら今か今かと開店を待ちわびていると、今から並ぶ人だろうか、列をじっくりと眺めている青年がいる。
フードにマスク、いかにも怪しい。関わりたくn…しまった目が合った。こっちにくる、何か質問があるのか?あ、横入りはダメだぞ。
「あの〜すみません。これってなんの行列なんですか?」
ふむ、関係ない一般人だったか。では仕方ない、俺が懇切丁寧に教えてやろう。あと、このゲームの素晴らしさも布教しておこう。
俺がこの列のお目当ての物『将乱の覇者2』を買おうと集まった猛者達であること、このゲームの素晴らしさも忘れずに説明すると、青年は不気味に笑った。
「へぇ、それはそれは。とっても楽しそうでなによりです。成瀬くん…」
へ?なんで俺の名前…っがっ…!?!?
腹に焼けるような激痛が走る。刺された!?なんでだ。
自分の腹部を刃物が突き刺さり、鮮血が流れ落ちる。痛みに耐えきれず膝から崩れた。
その状況に気づいた周りから甲高い悲鳴が響き、周りはパニックになる。逃げる人、腰を抜かしてその場にへたり込む人、慌てながらも警察に電話する人、勇敢にもやつを止めようとするが刃物があり近づけない人。
「久しぶりだねぇ、クズ瀬ぇ。まさか僕のこと忘れたわけじゃないよねぇ?」
痛みを堪えながらやつの顔を見る。
フードとマスクと取った彼を見て俺は思い出した。思い出したくない記憶を。
「…っ!?お前は…!」
「あはっ!思い出した?…そうだよ、君にいじめられ、不登校を余儀なくされ、挙句の果てに社会不適合者の烙印を押された可哀想な金田優希だよぉ!」
蹲る俺の頭を蹴り飛ばした。受け身が取れず、吹っ飛ばされ、頭を地面に打ち付ける。
「君のせいで僕の人生はめちゃくちゃだ…。僕が苦しんでるのに、君はのうのうと娯楽を貪り楽しい人生を謳歌してるって…そりゃああんまりだよねぇ?」
倒れている俺に馬乗りになる。力が入らない…。抵抗出来なイ。カラダがウゴかない…。
「責任は取らないとぉ!!ねぇ!!社会では!!責任が!!付き物だからっ!!」
「がはっ!ごぼ…」
カナダがオレをサして.刺ス.さス.刺しテ。そのタビにチガふきだス。カンガえがまとマラナイ.
…あ、死ヌ。
俺は意識を手放した。と同時に世界からも見捨てられた。
お読みいただきありがとうございます。
最初の話がちょっと過激ですみませんね。
成瀬颯馬が死んだ後も物語は続きます。…当然ですね。
次回もどうぞよろしくお願いします。