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最後の交渉へ

「どうして、ここに大塚さんがおられるのですか?」


柊さんが部屋に入って来るなり、私に向かって質問をしてくる。



「今回の件もあって、担当者であり、英語と日本語もできる私がこちらに来たんです。」


「そうですか、助かります。」


そういいながら、部長へと顔の向きを変えて、流暢な英語で挨拶を始める柊さん!


何が助かりますだ!!


イギリス訛りではあるがキレイに英語を話してるじゃない!!


逆に南日本電機のこっちの現地法人のスタッフだという人の方が

英語が拙いくらいじゃないの!!


こちらの思惑が外れて憤ってしまうのだが、それを顔に出すわけにはいかない。

こうなると会談で英語が苦手だということで、こちらが主導権を握れる何ってことはない・・・



「それじゃあ、30分しかないので単刀直入にこちらの用件を伝えます。」


柊さんから話始める、



「そうだね、お互い有意義な時間にしなくてはね。」


部長も席に座ることを促し、すぐに話をする。



「こちらからの用件は2つ。

 まずは窓口の変更を御社が言ってきているけど、それを受け入れることはできない。

 もう一つは価格が3倍になるというけど、こちらも受けいれられないということだ。」


ハッキリと用件を断言する柊さん。


それに対して部長はどう答えるのか・・・



「それは困ったね。受け入れられなければ南日本電機さんには販売することは出来ないよ。」


「どうあっても?」


「どうあってもだ。」


「そうか・・・。」


ここで深いため息をつく柊さん、

さてとまずはどこまで妥協してくれるのだろうかと

私は次の言葉を待っていると・・・・



「じゃあ、交渉は終了だ。ありがとう、時間を作ってくれ。」


そう言って、荷物をまとめだしたのである!?



「え?ちょっと待って!?」


思わず私が声をかけてしまう。



「柊さん、もう交渉は終わりですか!?」


「ええ、だって、交渉する余地すらないでしょう。

 さきほどの回答では。」


その返答をする間も荷物をまとめるのを止めることはない。

これはブラフ!


それとも本気!


どっちなのよ!!



ただ、その手は止まることなく片付けをして、

しまいにはカバンを持って立ち上がったのである。


そこまでくると本気で帰ろうとしていると判断して、部長が、



「ちょっと待ってくれ!

 ここで我々が売らないと困るんじゃないのか?」


「困りはする。」


「なら、そちらが妥協すべきだろう?」


「だけど!出来ないわけじゃない。

 自社で製造できるんだから自社で製造すればいいだけだ。」


「・・・自社で本当に製造できるのかね?」


「1つ言っておきたいのは、御社がうちの内通者から得ている情報は古いってことだ。」


「「!?」」


私も部長も顔をには出さないように努めるが、

内通者という言葉に緊張が走る・・・


バレてるの?


それともブラフ!?



「内通者とは人聞きが悪いな~。そんな者はいないよ。」


「そうですか?大塚さんの方はよぉ~くご存知だと思いますけどね。

 コンパニオンと話をしていた時に、値段を聞かれてましたよね?」


「・・・それは、聞くでしょう。値段は大事なことですから。

 何?彼女が私達の内通者ってこと?そんなバカなことはないわよ。」


「彼女が内通者何ってありえないでしょう。

 だって、彼女はただ、俺が他の人が話していたことを聞いて、

 値段を4万円だって言っていただけなんですから。」


「・・・何がいいたいの?」


「大塚さんが最初に聞いていた5万円って言葉ですよ。

 内通者がいると確信したのは、5万円から売値が4万円へ変わったことを

 知らない内通者から情報を貰ったって事でしょう?

 じゃないと5万円って聞いたんだけどってコンパニオンに聞きますか?」


「・・・。」


「貴方がたが知らないだけですよ。

 こちらは自社で有機ELを使った製品を出すっていうことを。」


「・・・本当なのか?」


「ああ、確認してみるといい内通者に。

 ただし、日本は今は・・・夜中の2時だから連絡入れても起きてないだろうけどね。」


「・・・。」


柊さんが言う通り、南日本電機で製造が出来るのなら、

エレクトロニクス社製はいらない。


だけど、確信は持てない。

だったら、最初からエレクトロニクス社製を照明器具に採用しなければいい話なのだから!


部長の方に視線を向けるが、部長もいつも通りのスタイルを崩さないが、

それでも焦れているのが分かる。


ブラフか、それとも本当なのか・・・


日本との時差がなければこんなことにはならないのに!



「・・・条件の変更はない。」


部長がそう宣言する。


私だってその選択をする。


自分達で作れるなら最初から自分達で作るはずだもの!!



「それじゃあ、交渉はここまでで。」


そう言って、部屋から出ていくのであった。



「彼らを下まで送ってきます。」


そう言って私は彼らと一緒に玄関まで案内するのであった。



「・・・さっきの交渉は?」


小声だけど井口さんが柊さんに尋ねている声が聞こえてきた、



「決裂。残念ながら。」


「そうですか・・・。

 まあ、仕方ないですね!元々成功する可能性は低い案件でしでしたしね。」


そう言って、決裂したと言うのにどこかスッキリとした表情をする。


何で?


どうしてそんなスッキリとした顔をしているのよ!?


玄関先でも笑顔で立ち去って行く3人を見送りながら、

私は急いで部長室へと戻っていくのであった・・・


どっち!?


どっちなのよ!!


次話は8時に更新予定です。


気づいた点は追加・修正していきます。

拙い文章で申し訳ないです。

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