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悲痛な思い

「お互い、前回は理性的な話し合いができませんでしたからね。

 今日はお互い理性的な話し合いが出来て良かったです。」


澤藤さんの満足そうな顔には・・・本当に反吐がでるが、

それでも私達は笑顔を絶やすことなかった。



「それで定期検査のことなんですが・・・。」


「何かあったんですか?」


社長の切り出しに、何も知らない顔で聞いてくる澤藤さん。

そこで何かに気づいた柊さんが、



「まさか!?」


今にも噛みつきそうな顔で澤藤さんを見るのだが、

そんなのどこ吹く風の澤藤さん。



「ちょっと知り合いがいますから、何が問題なのかを聞いておきますね。」


何が問題なのかだと!?


よーく知っているだろうに!!


自分が圧力かけさせたんだから!!!


ホントに悔しくて悔しくて今にも口から漏れそうになる恨みつらみを飲み込んで、



「宜しくお願いします。」


それだけを応えるのであった・・・


恙なく終わった打ち合わせの後、関東事業所を出たところで私の携帯がなる。



「講談商事の山田です。」


「南日本電機の柊ですけど。」


「・・・わざわざ電話をいただかなくてもいいんですよ。」


律義な人だから、先ほどの件で詫びの電話を掛けて来たのだろう。



「いえ、こちらが大変失礼なことをしたみたいで。」


ほら!やっぱりだ!!


こういう人と仕事は一緒にしたいと思う。



「お互いの会社があることですから。」


「そうですか・・・。

 それとご安心してください。さきほどの定期検査の件、

 こちらで連絡を入れさせてもらいましたのですぐにご連絡がいくと思います。」


「柊さんがですが?」


「ええ、こちらが迷惑をかけましたので。」


「・・・ありがとうございます。」


「何かあったら遠慮なく言ってくださいね。

 今回のようなことがあれば遠慮なく頼ってください。」


「・・・はい・・・。」


この人は本当に信頼できる人だ。


あいつとは全然違う・・・


同じ会社でもこんなに違うとは・・・


そこでふと思い出しことがあり、



「エレクトロニクス社との交渉はいかがでしたか?」


「ああ・・・それは・・・今日、僕がヨーロッパに直接行って交渉することになってます。」


「そうなんですか!?」


「何とかこちらの主張を通して期待と思ってますよ。」


「・・・柊さん・・・。」


「はい?」


「私達は十分に御社で稼がせてもらっております。

 交渉が難しいようでしたら、遠慮なく切ってもらってもかまいません。」


「・・・実は交渉での妥協点として直接取引を上げる予定なんです・・・すいません。」


「そんなこと言わなくてもいいんですよ。

 ほんと、柊さんは人がいいですね・・・。」


正直に答えてくれて思わず笑みがこぼれてしまう。


「こういうことは隠し事なしにしたいので。

 出来ることの範囲でですけどね。」


「分かりました!

 その代わりに九州事業所の方の有機EL関連の方はしっかりとかませてくださいね!」


「ふははは、いいですよ。

 ただ、だいぶ勉強してもらわないとダメかもしれませんよ。」


「その時は出来る範囲で精一杯頑張らさせていただきます。」


「その時はヨロシクお願いします。それでは・・。。」


「あ!ヨーロッパまでお気をつけて行ってください。

 それと体調は本当に気をつけてくださいね。」


「わかりました。

 山田さんも体調は気をつけてください。」


「はい、それじゃあ失礼します。」


・・・柊さんとのやり取りで心が洗われた気がする。


もしかしたら、駄目かもしれないけど、それでもいい・・・


私だって、学生の時、有機ELをやっていたけど、

結局頭がついてこれずに仕事には就けなかったけど、

それでも関わる仕事が出来て、私の知っている人が

世界で初めて商品化する現場に立ち会えるのだから!


次話は8月31日7時に更新予定です。


気づいた点は追加・修正していきます。

拙い文章で申し訳ないです。

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