表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
60/67

歯車が動き出す・・・

エレクトロニクス社との打ち合わせに参加していた面々は

そのまま会議室に残っており、今後についての話を急遽していた。



「まずは柊ちゃん、九州事業所の方の製造で、

 エレクトロニクス社の代わりに有機ELを作るとすれば

 概算でもいいからどのくらいの日数がかかるのか教えて。」


「2カ月半です。」


「何でそんなにもかかるんだ!?

 同じ有機ELを作るだけだろう?」


柊さんの答えに不服なのか澤藤さんが突っかかるのだが、



「澤藤、お前少し黙ってろ。」


村中部長が澤藤さんを黙らせる。

その言葉には有無を言わさない雰囲気が醸し出されていた。



「・・・ネックはなに?」


「2つの課題があります。

 1つはエレクトロニクス社の方がサイズが大きいため、今ある部材では対応できません。

 そしてもう一つが有機ELに電気を供給する配線がうちとは違うため、

 そちらの部材・設計ををすべてまとめて手配すると2カ月が各社からの回答です。」


「で、製造に二週間ってところ?」


「予定数量を作ろうとすればそうなります。

 ただ、随時出していく方法で行けるのなら2カ月と数日後には出荷できるはずです。」


「販売予定は1カ月後だぞ!!

 各社には圧力かけて何とかさせろよ!」


そんな声を出す澤藤さんなのだが、すでに誰も澤藤さんの声に反応しない。



「ヨーロッパへの交渉は柊、お前が行ってくれ。

 まあ、それと後学のために井口も連れてな。

 航空券の手配は野々宮に頼んでやってもらってるから。」


次々と指示を出す中で、品質保証部の武田部長が、



「どうするつもりだ?」


「どうするつもりかというのは?どのことですかね?」


「このままエレクトロニクス社の有機ELが手に入らない場合だよ。

 たしかに2カ月後には自社でパネルが作れるかもしれないけど、

 実際はエレクトロニクス社の有機ELを使て、今まで手続きをしてきたんだ。

 だから販売できるのはエレクトロニクス社を使った照明器具だけだ。」


「そんな社内ルールなら変えましょう!!

 そんなのに縛られてたら何もできないじゃないですか!!」


声高々に宣言する澤藤さんに対して、



「国の法律だ。」


武田さんが吐き捨てるようにいうのであった。

その言葉と睨みに、澤藤さんが押し黙ってしまう・・・



「・・・その時は僕が責任をとるだけですよ。」


はっきりという村中部長。



「そのために部長何って役職貰ってるんですからね。

 半年間の販売延期・・・

 各方面への謝罪行脚・・・

 うぅ~ん、仕事がいっぱい湧いてくれるな~。」


そう言うって笑いながら、



「だから、柊ちゃん頼むよ。

 俺を左遷させないで頂戴よ!」


「・・・それもいいかもしれませんね。日頃の行いが・・・。」


「な、何ってことを言うんだ!!」


柊さんの言葉にたじろぐ村中部長。

更には、その柊さんに乗ってくる者が現れて・・・



「ああ、北海道はいいところですよ。一緒に雪かきしてみますか?」


「断る!!!」


大川課長までもがそれに乗っかってきたのだ。



「・・・鹿児島の最南端何て何もなくていいところだぞ。

 残りの人生、そこで生活すると、その汚れきった心が洗われるだろう。

 すぐに俺が手配してやるよ。」


「駄目ですよ!俺は女性という潤いがない所では生きていけないからさ~!」


会議室中の空気が一気に弛緩して、みんなが笑いだすのであった。

しかし、この雰囲気を一気に壊して、



「柊君を行かせるのには反対です!!

 もともと交渉は僕の仕事だったはずです!

 ならば僕が行くべきだと思います!!」


ここで急に澤藤さんが自分が

エレクトロニクス社への交渉は自分がといいだしたのだが、



「なに?俺が責任を取るって言ったから、

 これなら責任もないから俺がって思っちゃった?」


「そんなことはありません!自分の責任として・・・。」


「もういいから・・・。

 有機ELの照明器具の立ち上げの成果が得られたら。

 うん?ああ、一部延期もあるのか。

 だけど、社員寮への納入実績とハンバーグチェーン店への看板納入で十分な成果になるだろう。

 これでお前の評価は間違いなくSが付くだろうな。」


「・・・。」


「お前のことだから、すでに次に異動する場所は目星を付けてるんだろう?」


「・・・。」


「やっぱりな。

 それで、直接取引の件と価格アップの話を意図的に伝えて来なかったんだろう?」


「え?それってどういうことですか?」


村中部長の言葉に私が思わず反応してしまう。

なぜ意図して伝えなかったのかが分からないんだけど・・・



「とりあえず自分はあと数ヶ月しかいないんだから、

 うやむやにしてしまえって思ったんだろうね。

 実際数ヶ月くらいなら何とかなるとおもうぜ。

 こんな風に実際は・・・まあ、まだ何ともなってないけど、道は拓けただろう?

 そして、自分が去った後には価格の問題、直接取引の問題を

 残ったメンバーで何とかさせるって感じなんだろうね。


 まさに渡り鳥!

 他の所でもそうやって来たんだってな~。

 問題をひた隠しにして、事が公になる頃には自分は次の所に行っている。

 ただ成果は十分あげているから評価はつねにS。


 常に自分で主導権を握ろうとしたのはそれも込みなんだろう?

 上手く自分が思った通りにするためには

 プロジェクトの主導権は絶対に握る必要があるからね~。」


・・・目が点になってしまう。


村中部長の言っていることが本当なら、

澤藤さんと一緒に働く人たちはたまったものではない!!


そして、そのとばっちりを私達が今度は受けるということか!!


私は視線を澤藤さんに向けるのだが、

当の澤藤さんは全く悪びれた様子もなく、



「それは村中部長の推測でしょう。

 傷つきますよ、そんなひどく言われたら。」


「・・・まあ、今回でお前と一緒に仕事をすることは終わりだから良いけどね。

 しっかりと次の居場所を確保しとけよ・・・


 ここにお前の居場所はないからな。」


そうハッキリと断言するのだが、それに対して薄ら笑いを浮かべる澤藤さんだった。


次話は本日19時に更新予定です。


気づいた点は追加・修正していきます。

拙い文章で申し訳ないです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ