思いは届く!
いよいよ江田さんの番だと思ったところで、
「ちょっとトイレ行きたい!!」
村中部長がトイレに行くため、いったん休憩になった。
「はぁ~、めっちゃ気分が悪いですよ。」
「・・・井口さんだって目の保養だって喜んでみてたくせに。」
「・・・もう毒を食らわば皿までですよ!
悪事の片棒を担いだのなら、楽しまなくちゃ損ですからね。
それに実際、みなさん美人だからウットリするんですよね・・・。
心から癒されます。」
「・・・同性なのに?」
「別に同性だからと言って、キレイな人を見てもどうも思わないわけじゃないんですよ?
やっぱりキレイと思いますし、何か心が喜びます!」
「・・・そっち?」
「本気でぶっ飛ばしますよ!!」
「冗談だって・・・、ってか、俺もトイレに行くか。みんな煙草に行ったんだし。」
「・・・そうですね。まだまだ帰ってこないでしょうからね。
今のうちにトイレにいっておきましょう!」
そう言って、柊さんと2人でトイレに行くのだが、
その途中で偶然江田さんに遭遇するのだ!
廊下の隅でうずくまってずっと台本を朗読している江田さん・・・
こんな必死に頑張ってるのに・・・
その姿を見ると、私は応援せずにはいられなかった!
「江田さん!」
「え!?うわ!?」
驚いたようにこちらを振り返って、慌てて立ち上がり、
「もう・・・出番ですか?」
「いいえ、まだもうちょっとかかると思いますよ。
今、一旦休憩に入りましたから。」
そう言いながら江田さんを眺めるのだが・・・
・・・うわ~、この人もキレイだよ・・・
まさにスレンダーっていう体型でさすがはモデルだ!!
「頑張ってくださいね!」
「あ、はい!頑張ります!!」
そんな時だった。柊さんがおもむろに、
「頑張りんしゃい!」
そんな声をかけたのだが・・・
呆然とする私と江田さん。
「あれ?違った?
頑張りぃ~!
の方?」
「あ、いえ“頑張りんしゃい”です・・・。」
江田さんの驚きようはすごい。
っというか、私も柊さんが九州弁を使うのに普通に驚くのだが、
そう言えば地元が一緒だよ!この人!
っていうか・・・
「ここにいる三人は地元が一緒なんですよー。」
「え!?そうなんですか!?」
「同郷の人には頑張ってもらいたくて、応援してますから!」
「ありがとうございます!!」
本当に嬉しそうに微笑む江田さんだった。
さっきまでの緊張が嘘のように消えていたのである。
オーディションが再開して江田さんがナレーションをしたのだが、
全然悪くない出来だ!!
確かにそんなに際立ってうまいわけではないが、
◎さんや〇さんよりも絶対に上だ!!
だけど・・・
落ちるんだろうな・・・
「・・・ダメなんですよね?」
「・・・応援したいの?」
「当然じゃないですか!!
だって、同郷の人ですよ!
それにあんなに緊張して、頑張ったんだから受かってもいいじゃないですか!!」
思わず言葉に力が入ってしまう。
そんな私を笑いながら、
「分かった何とか頑張ってみようか。」
そう言って、何か悪い顔をする柊さん。
それは、審査が終了してからの雑談の時に・・・
「しっかし、いい目の保養になったよ。」
嬉しそうに話す村中部長。
澤藤さんも何番の女性がキレイだったとかの話で盛り上がっている中。
「柊ちゃんの押しはいた?」
「ええ・・・最後の子なんか良かったですよ。」
「へぇ~!最後の子か~・・・。」
「ちなみにあの子、同郷なんですよ~。だから思わず押したくなるんですよね~。」
「あ~その気持ちわかるわ!ねぇ、彼女ダメなの?」
村中部長がイベント会社の人に尋ねると、
「ええっと・・・すでに4枠埋まってまして・・・。」
・・・ここで聞き逃せないのが、まだ採点の集計もしていないのに
4人がすでに選ばれていることだ!!
やっぱり出来レースだったんじゃん!!
「じゃあ、予算ちょっと増やすから1人増やしてよ。」
「え!?いいんですか!?」
イベント会社の人が驚くと、
「だって、俺も10年以上九州にいたからね。
そんな子が受けに来たって話を聞くとちょっと応援したくなるじゃん。」
「予算が増えるのならこちらとしては何の問題もありませんけど・・・。」
「いいんですか?」
柊さんの言葉に、村中部長が、
「大丈夫大丈夫!何なら全員採用してもいいくらいだぞ!」
「それはさすがに多すぎです!」
「だって、彼女達可愛いんだもーん!」
「・・・村中部長のポケットマネーから出すのならいいですけど?」
「さぁ!しっかり働こうじゃないか柊ちゃん!」
急に真剣な顔つきになり仕事仕事と言い出す村中部長であった。
ちなみにオーディションに合格したのは、
◎の人と〇の人、それと慰労会に参加した2人に加えて!
江田さんも選ばれたのであった!!
良かった~!!
次話は8月28日7時に更新予定です。
気づいた点は追加・修正していきます。
拙い文章で申し訳ないです。




