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大川課長の決意

「それとあと二点報告がございます。

 皆さんには先に謝っておきますが、ご連絡が遅くなってすいません。

 ただ良い報告なので期待してください!」


「へぇ~!何かいいことがあったんですか?」


嬉々として聞いてくる澤藤君に、



「ええ、まずはこれは柊君と村中部長のおかげですが・・・。」


その言葉に顔が曇っていく澤藤君。

私は、そんなことおかまいなしに話を続けていく。



「日本建設の会長から、自社での建設予定の社員寮の有機EL照明の依頼がきております。

 それに合わせて、南日本電機の照明器具、更にはエアコンなどの家電、

 エレベーター等を受注予定です!」


これを聞いたみんなから驚きの声が漏れるのであった。


ここに来る前の午前中、企画部内の報告会では歓喜に沸いていたのを思い出す光景だ。

現時点で貰っている額もすごい額となっており、

家電事業部、エレベーター事業部にも連絡したら、ものすごい感謝の言葉が来たくらいだ。



「有機EL照明器具を入れるんですね!?」


「ええ、向こうからの要望でして、すでに図面が出されてます。」


そういって、私は日本建設から渡されている図面を写し出すのだが、



「ちょっと図面は見れないんですけど・・・。」


そんなことを澤藤君が言いだすのであった。

え?技術者あがりだろう?彼?



「ええっと、じゃあ、説明をさせてもらいますね。」


そう言って、どこに付けるのか、数がどのくらいになるのかを説明していく。

村中部長を含めてみんなが凄いな~と言っている中で、



「これ・・・もっと増やせないんですかね?」


「え?」


「せっかくだったら、もっと増やして、売り上げを上げたいなっと思うじゃないですか。」


「こちら側から図面を修正して、出せばいいと思いますが、

 建物全体で照明器具に対する価格って言うのは決まってますから、

 そうすると照明器具を減らすことをしないといけなくなりますよ。

 もしくは単価を下げることをしなくてはダメです。」


「そこを交渉して吊り上げてもらうのをすればいいんじゃないですか?」


「しない方がいいと思います。

 ハッキリと言って、今まで日本建設の案件はほとんど取れてません。

 こんな大型案件は初めてですね。

 だから、全社として、キッチリと工期で、提案価格で納めたいという方針です。

 実績を作るべきところで、そんな小手先にこだわるわけにはいきません。」


「ですけど、何もしない何って愚策でしょう?」


照明事業部の方針が決定していることを伝えても

まだまだこちらに噛みついてくる澤藤君。

すると村中部長が、



「じゃあ、澤藤が交渉してみるか?」


「え?」


「そこまで言うんだったら、自分でやってみたらいいじゃないか。

 そしたら、手柄は澤藤1人のものだぞ。」


「なら・・・。」


「た・だ・し!失敗したら、お前の全責任だけどな。

 照明事業部としては言われた通りに進めるつもりでいるのに、

 お前の独断で失敗したんだからな。

 その責任は自分でとれよ。少なくとも今日の議事録にはその事は記載するからね。」


「・・・じゃあ、僕の提案はなしでお願いします。」


「自信がないの?」


「企画部や営業部は他社や消費者との交渉を専門にしてますけど、

 僕は技術者であって、交渉を専門にしてませんからね。」


「ふぅ~ん、まあいいけどね。」


こうして何とか村中部長のおかげで、澤藤君が諦めてくれた。

というか、自分の責任になると逃げるのか・・・


俺の中での澤藤君に対する評価は最低ランクへとなっていく。



「続けさせて貰いますね。

 もう一つの案件は、私が来た北海道でいつもお世話になっていた

 ハンバーグのチェーン店の会長と話をしまして、

 有機ELを使った看板を全店舗に置く案件をいただきました。」


「「「ええぇ!!?」」」」


みんがまた驚きの声をあげる。

俺の心はどんなもんだい!っという気持ちになっていた。

俺の人生でもこれだけの大型案件は一度もない!!


本当に宝くじを当てた気分である!


まあ、ここの案件は本当にたまたまゲットした案件なのだが・・・



元々北海道で会長とは、ひょんなことから知り合いになっていた。

その縁もあって、たまに店舗の照明を受注したりしていたのだが、

今回北海道から関東に人事異動になったのを知った会長さんが、

関東に来た際に一緒に食事にいったのだ。


その時に会長さんから、俺へのはなむけとして

看板に有機EL照明を使ったものを飾りたいと言ってくれたのである!!


最初は冗談だと思っていたのだが、

ハンバーグチェーン店の本部から、店内に飾る看板の依頼が来たのであった!!


すぐにお礼の電話を入れて、会長の気持ちが変わる前に

すぐに話を進めて対応することになったのだが・・・・



「これで年間で1億円の売り上げが期待できます。

 年々数も店舗の数も増やしてますし、

 そもそも一年目ですべて納めれないでしょうから、年計画になってます。」


そう言って、俺は朝、企画部で説明に使用した資料を

ここでも説明に使うのであった。

まずは現店舗に納めるだけで、5年かかってしまうよ計画となっており、

最低でも5年間は売り上げの目途が付いているのだ!


そして、更には新しい店舗が納めている間にも出来ていく。

更には、最初納めた店舗の看板交換も考えられるため

恒久的に商売できるという安定したドル箱なのである!!


俺が言うのもなんだけど・・・こんな美味しいことが現実として

あっていいものなのだろうか・・・



そんなことを頭で考えながら、説明をしているのだが、

その思考に浸っている状況を無理やりこちらの世界に引き戻す人がいる・・・



「他の箇所にも売り込めないですかね?」


「交渉はお任せしますよ。本部の方を紹介しますので。」


澤藤君がやっぱりこちらに意見を言ってくるのである。

先ほど学ばせてもらったので、交渉をお任せると

やはりか簡単にすごすごと引き下がる澤藤君。


なるほどね・・・


こいつはこういう奴なのか・・・


他人にやらせて自分は高見の見物をして、

うまく行けば自分が言ったからうまくいったんだと自分の手柄にして、

うまく行かなければそいつのせいにするっていうタイプか・・・


それで“渡り鳥”ね・・・


そりゃ~、一時的に成果が出せても同じ場所には恒久的にはいれないな・・・


自分の中で納得する解が得られたのだが、1つだけ気になる点もある。

それは柊君とのやり取りで気になっていたのだが、


じゃあ、なぜヨーロッパメーカーとの交渉は、自分がするといったのだろうか?


これは完全に澤藤君のポリシーには反する行為だろうに・・・


だって、自分自身にその成果が直接返ってくるのだから!!


成功したのならいい。

それで胸を張ってアピールするのは分かる。


だけど、失敗したのならどうするつもりなのか?

交渉ごとには、絶対ということはない。

ちょっとしたことで成功も失敗もするのだから・・・


そのリスクをどうしてこのタイミングで澤藤君はとったのだろうか?


まあ、所詮俺程度の頭では分からないや・・・



この後、仕様の説明を終えて、俺の発表は無事に終えた。

村中部長も俺の報告には大変満足そうに、



「この調子で頑張っていこう!!」


嬉しそうに声を弾ませて、言葉を発してその会議が締まったのであった。


1つの仕事を終えて、俺の肩の荷が片方だけ降りた。


そう・・・俺にはあと一つしなければならない仕事がある・・・


俺の中ではこれから勝負の場なのである・・・


次話は19時に更新予定です。


気づいた点は追加・修正していきます。

拙い文章で申し訳ないです。

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