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柊さんとの出会い

午前中の就業が終わり、お昼休みなった。


いつもは自分で作ってきたお弁当を食べるのだが、

今日は課長と共に食堂で食事をとることになっていたのでお弁当は持ってきていない。



「まあ、挨拶はしなくちゃいけないからね・・・。」


私が大谷課長に食堂に行くため声をかけると、めんどくさそうに言う大谷課長。


それもそのはずで、今日食堂に行くことになったのは本社から

4月にこちらに出向することになった村中部長に呼ばれたからだ。


食堂に着くとすでに村中部長は食事を始めているようで席に座っていた。

当然、お1人で食事をしているわけではなく、

周りには私達のような人間が数人すでに一緒に食事をしている。


そこに座る面々が明らかに役職者であり、憂鬱にさせられるのだが、

それでも行かないわけにはいかないため、

足取り重く課長と共にカウンターに行き、注文をする。

すると、



「あ!?」


思わず声を出してしまった。

その私の声に反応して、目の前にいた人はこちらを向き、



「あ、これはどうも。」


と、頭を下げるのであった。

そして続けざまに私に質問をしてきて、



「食堂なんですか?」


「今日はちょっと呼ばれてて。いつもはお弁当なんですが。」


「それはそれは・・・大変ですね。」


「そ、そんなことはないですよ!」


「声が上ずってますけどね。」


「・・・だって、部長と食べなきゃいけないって、

 やっぱりなんか憂鬱になりません?」


「あぁ~部長とか・・・確かにめんどくさいですね~。」


「ですよね!!はぁ~、このまま逃げれないかな~。」


「逃げたら後で何言われるかわかりませんよ。」


「ですよね・・・じゃあ、覚悟を決めて村中部長のところへ行ってきます。」


「え?村中部長来てるんですか?」


「ええ、あちらに。」


そういって私が指し示した方向を見ると・・・



「げ!?いるし。」


「え?」


「あ、いえ、何でもないですよ。ありがとうございました。」


そう言ってカウンターから、定食を受け取ったかと思えば、

そそくさと食堂の角の方へと行って、食べようとしだしたのだが・・・



「柊ちゃ~ん、こっちこっち!」


村中部長からの声で、角に座ろうとしていたその男の人が止まり、

ふっと後ろを向いて、何と村中部長の方へと進んでいくのであった。


・・・あの人・・・柊さんなの!?


私は思わず目を見開いてしまう。

え?あの人が今度の上司になる人なの!?



「井口ちゃん!大谷ちゃん!君達もこっちこっち!」


そう呼ばれて恐る恐る近づいて行くのだが、

その名前を聞いたのだろう、ちょっと驚いた顔をしていた。


あ、私が今度下に付くってことに今気づいたんだな!


その後も村中部長の声で、ドンドン人が集まってくるのだが、

大谷課長の同期の男性も村中部長に声をかけられて近づいて来るのだが、



「こんな席でご飯食べるの嫌ですわ~。

 腹黒の村中部長と柊のコンビがいると美味しいモノも美味しくなりくなりますから。」


そんな失礼なことを平然と言って去っていくのであった。


私なんかは一瞬固まってしまうのだが、

他のみんなは大笑いをしており、

言われた当事者である村中部長と柊さんも笑っているのであった。


ああ・・・この人達ならやっていけるかも・・・


そんな思いがふと湧いてくるのであった。




「柊ちゃん、今度柊ちゃんが所属する部署の課長の大谷ちゃん。」


「「宜しくお願いします。」」


大谷課長と柊さん2人が挨拶を交わす。



「そして、柊ちゃんの下に付く予定の井口ちゃん。」


「宜しくお願いします。」


柊さんがすぐに頭を下げてくれたので、私も慌てて頭をさげるのであった。



「大丈夫だよ、井口ちゃん!

 柊ちゃんはとって食べたりはしないからね~。

 ・・・たぶん・・・。」


「たぶんってなんですか?たぶんって!

 別に獲って食べたりしないんで安心してください。」


部長とこんなやりとりが出来るなんていいな・・・


今、私達が所属している研究所の部長とは大違いだ・・・


あのふんぞり返って偉そうにしてくる部長とは・・・


このやり取りを見て私は決心する!

ここに所属することに不満はない!

だから、ここに移って頑張ることを!




「基本的にはプロジェクトの遂行をしてればいいんですね?」


「そうだね。こっちはノータッチになってしまうけど、

 柊君はプロジェクトリーダーを担うんだから、

 こっちの部署の業務を渡してもこなせないと思うの。

 そもそもこのプロジェクトのために呼ばれたんだから、プロジェクトをお願い。」


「了解しました。」


「それで席は隣のシマに準備するわね。

 窓際を村中部長、その前に柊君の席、その前側に井口の席の順になると思うわ。」


「すいませんが、お願いします。」


大谷課長と柊さんが今後の話し合いをしている中で、

私はその横に座って話を聞いていた。


今後の方針や進め方などを話しているのだが、

確認事項をしっかりと作ってきているため無駄なく進んでいく。


打ち合わせの進め方一つでこんなにテキパキ進んでいくものなんだな・・・


今まで、こんな風に誰も準備をしておらず、

この打ち合わせに比べるとダラダラと進んで行っているのを実感するのであった。


打ち合わせ1つでこんなにも違うものなんだな・・・


私の中でまた一つ柊さんへの尊敬が上がるのであった。


たぶん、この人と一緒にいると私は一段向けた人間になれる!


打ち合わせは結局30分ほどで終わり、



「打ち合わせ終わりましたけど・・・

 村中部長は新卒採用面接に行かれてますね・・・。

 これからどうされますか?」


なぜ柊さんが新卒採用面接に参加していたのかと言えば、

どうやら村中部長が午前中に来れないとのことで、その代わりに参加していたらしい。


・・・それアリなの?って疑問が湧くのだけど・・・


昼からは村中部長がこれたので、柊さんはお役御免になったのだが・・・



「これから、住まいを選びに行こうと思います。」


「あ、なるほど!どこか希望はあるんですか?」


「ええ、どうせ、本社とこちらの事業所を週に何度か往復するので、

 どちらにも都合がいい横浜辺りに住まいを構えようかと思ってます。」


「ああ・・・九州事業所の人ってみんな横浜に住居をかまえますよね~。」


「まあ、本社とこっちの事業所、どちらにも顔を出さなきゃいけないからじゃないですか?

 僕もそれにならってですからね。

 あとは・・・


 お上りさんですから、住んでるのどこ?って聞かれて、横浜!って答えたいんですよ。」


そんな茶目っ気たっぷりな返答をして、

みんなを笑わしてくれる。


そんな会話を続けていると・・・



「井口~、横浜案内してあげたら?」


唐突に大谷課長がそんなことを言い出すのであった。



「え?いいですよ。さすがにそれは悪いでしょう。」


「だけど、何がどこにあってとかはこっちの人間がいた方が分かり易いよ?

 それに井口は出張扱いで、そのまま今日は直帰していいよ。」


私はそう言われるとちょっと考える・・・


ついでに横浜で買い物が出来るな・・・


・・・全然仕事とは関係ないことだけど・・・



「私は、大丈夫ですよ!」


柊さんは驚いたような顔をするのだが、しばらくたって、



「いいんですか?」


「はい!」


「じゃあ、井口しっかり案内しておいで。」


こうして私と柊さんは2人で横浜の街で住居を探すのであった。


次話は19時更新予定です!


気づいた点は追加・修正していきます。

拙い文章で申し訳ないです。

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