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デザイン部

「・・・すんなりアポ取れた・・・。」


「・・・めずらしいですね・・・。」


村中部長と柊さんが驚いた顔をしていた。

何より驚いたのは、向こうがすぐに打ち合わせをしているこの会議室に来てくれるというのだ。



「どうしてですかね?」


私も思わず驚いてしまうのであった・・・

だって!今までさんざん扱いを受けているので、疑心暗鬼になっているのである!!



電話から数分もすると会議室のドアからぼノック音が聞こえてきた。

ここで、ウソじゃなかったんだ!?っと思わず驚いてしまうのであった。

ちなみに私だけでなく、ここにいるみんなが目を合わせて驚いていたのだ。



「失礼します。デザイン部の石川です。」


そう言って、入ってきた人に私は驚いてしまう!


ほ、本物の石川さんだ!!


私の憧れの女性がいきなり現れたのであった!


石川さんは私の2つ上の女性であり、

去年のグッドデザイン賞を受賞した商品のデザインを担当した人だ。


女性ながらもしっかりとした成果を収めており、

今は27歳で1つのデザインチームのリーダーを務めている人なのである。

それも年上男性がメンバーにいるにも関わらず、

名ばかりのリーダーではなくて、しっかりと成果を収めているのだ!


・・・うちの会社内での女子の憧れの的である・・・



「あれ?石川さんじゃん!お久しぶり!」


「ご無沙汰してます!!お久しぶりです柊さん!!」


嬉しそうに笑顔で会議室内に入ってきて、

挨拶を交わしながら、柊さんのそばに近寄っていき・・・


って!!


ハグしてるんですけど!?


驚きで絶句してしまう。


って!柊さんも普通にハグしてるし!!


え?何?いつからここはアメリカになったの!?



「・・・じゃあ、俺も・・・。」


そういって、近づいて行く村中部長と大川さん!

柊さんに便乗して石川さんとハグしようとしたので

私は慌てて注意をする!



「そこ!!下心丸出しですよ!!セクハラで訴えますからね!」


私の注意に舌打ちしながら、2人は自分いた席へと戻るのであった。

・・・舌打ちって・・・どんだけハグしたかったんだこの2人!?



「ここは日本だよ、石川君。」


苦笑しながら、すごいダンディーな男性が入ってくるのであった。

蓄えた髭がピッタリとこの人似合っている。

日本人とは思えない容姿である。



「デザイン部の橋本です。」


「ああ、橋本部長。わざわざすいませんね。」


村中部長が橋本部長を出迎える。

2人が挨拶を交わしている間に、私は一つの疑問を柊さんに尋ねる。



「石川さんと知り合いなんですか?柊さん。」


「ああ、知り合いだよ。1年?2年前か、アメリカにいた時に、

 石川さんは何度かニューヨークに来てね。

 その時に俺が会社から指名されて、ニューヨークを何度か案内したんだよ。」


「ええぇ!?」


「アメリカには事務所はあるんだけど、

 ニューヨークからはかなり離れた位置にあったからね。

 俺はニューヨークの近くにいたから会社から頼まれて

 ニューヨークに来た石川さんを案内したんだよ。」


「な、なるほど・・・。」


そんなところでつながりがあったとは知らなかった!!

っていうか、石川さんって何度もニューヨークに行っているんだ!!

やっぱりデザイン部の人だな・・・



「だけど、いきなりハグされるとは・・・驚いたよ。」


苦笑する柊さん。

あれ?だけど海外だと普通にやっているイメージがあるのだが・・・



「アメリカだと普通じゃないんですか?」


「・・・いや、ビジネスとかで会っても、そんなにハグされることはないなぁ~。

 だいたいは握手をすることの方が多いと思うよ。

 ・・・ああ、だけど、彼女は結構な頻度であるかもね。」


「へ?」


「彼女は美人だからさ、男性と会うたび会うたびにハグを求められたんじゃない?

 すると彼女の中で挨拶をするのにハグをするのが普通だと思ったのかもしれないな~。」


「・・・最低な理由だ・・・。」


どこの国も国が違っても男の考えることは一緒なんだな・・・

ここの二人と一緒でどうやら性欲がまず初めに動くらしい・・・


柊さんの説明が終わるや否や、



「この有機ELは触っても大丈夫ですか?」


石川さんが動き出して、有機ELを触ろうとする。



「うん、大丈夫だよ。」


柊さんの言葉を聞いてすぐに動き出す石川さん。

手に取って、いろんな角度から見たかと思えば、点灯、消灯を繰り返したりする。

更にはモックアップの方にも興味を示し、触り倒すのであった。

触りながら一つ一つ柊さんに尋ねている。



「有機ELの形は四角だけ?」


「いや、丸でも三角でも作れるよ。」


「そうですか・・・・。」


そこまで返事をすると今度は急に黙って何かを考え始めたのであった。

その目は真剣そうのもので、きっとこの有機ELを見て、

インスピレーションを感じたのかもしれない。



「いやぁ~、石川君がものすごく有機ELに興味を持ってるみたいで、

 先ほどお電話いただいた時も『すぐに行きます!』って返事をしたのが彼女なんですよね。」


橋本部長が苦笑しながら教えてくれた。

どうやら橋本部長が電話に出てくれたわけではなく、

石川さんが電話を受けたようだ。

そして、そのフットワークの軽さの影響を受けて、橋本部長もここに来たのかもしれない。



「それですぐに来てくれたんですね。

 いや~、他の部署の人達だとそんな反応はなくって、ビックリしましたよ。」


部長同士ではほんわかとした会話をしている。

そんな部長同士の会話を完全に無視して、



「・・・これ、持って帰ってもいいですか?」


急に石川さんがこっちを向くのであった。



「どうした?」


橋本部長が驚いて尋ねると。



「もうすぐ別の会議があるので、戻らないといけないんです。

 だから、これを借りて、ちょっと考えたいんです。」


「いいですよ。なあ、柊、問題ないよな。」


「ええ、大丈夫です。じっくりと考えていただける方が、こちらとしては助かります。」


「じゃあ、遠慮なく借りていきます!!」


そう言って、石川さんと橋本部長は去っていったのであった。



「・・・デザイン部に少しは期待が持てそうだな。」


「ええ、やる気はあるみたいですし・・・。」


柊さんと村中部長がそんなことを言っていると。



「ただ、結構デザイン部は設計には厳しい指定をしてくるので

 実現できないかもしれませんよ。」


田口さんがため息交じりにそんなことを言い出したのだ。



「どういうこと?」


「やっぱりデザインを優先すると、設計の部分ではできないってのが出てくるんだよ。

 だから、いつもデザイン部との折衝は結構骨が折れて大変なんだよね~。」


「まあ・・・そうなるな~。」


柊さんが田口さんの言葉に納得していた。

そんな中で、私だけは石川さんと話せたことでちょっと浮かれているのであった。


あの石川さんと話せた何って!!


次話は本日19時に更新予定です。


気づいた点は追加・修正していきます。

拙い文章で申し訳ないです。

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