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諏訪部長の思惑とは?

「じゃあ、開発予算がつくんでしっかりと仕事をお願いします。」


「ああ!!任せといてくれ!」


「じゃあ、今後についての話をしたいのですが・・・。

 まずは、性能はいいですけど、寿命とか、あと強度とか確認してください。

 照明器具として必要な項目は先日送ったと思いますので

 それに合わせた評価をしてくださいね。」


「了解!!」


先ほどのあれた会議を終えて、そのまま今後のことについて

柊さんと九州事業所の有機ELチームの面々が打ち合わせを開始した。

正直、細かい所は私にはついていけずにいて、

打ち合わせに集中しておらず、ふと村中部長の方を向いた。


すると村中部長はその場には、相応しくない渋い顔を作っていた。

柊さん達の生き生きとした表情とは対照的であり、

その顔がひどく目につくのである。



「どうしたんですか?」


「・・・うん?」


「表情が怖い顔になってますけど。」


「ああ・・・。

 いや、なんであんなに諏訪部長は強固に有機ELチームに対して

 反対していたのかを考えていたんだよ。」


「そうですね・・・その結論はすでにお分かりなんですか?」


「いや、その結論が出ないから、しかめっ面になっていたんだよ。」


「予算を削減ですかね?」


「まあ、ゼロではないだろうけど、そんなチープなことじゃないはずなんだよね。

 そもそも自分が統括する技術部の中で、成果が出せないチームがいるって言うのは

 技術部長として問題でしかなないと思うんだけど・・・。

 それなのに何で成果を出せないように手を回してたのか・・・。

 自分が無能ですよと言っているもんだしな~・・・。」


そこまで言って、何かを思いついたような顔になる村中部長。

今度は上を向いて、自分の考えの世界に入っていくような姿勢だ。

その姿勢になって呟くように、



「有機ELチームだから・・・か?」


「え?」


急に私の方に顔を向き直してくる。

その表情は先ほどに比べて、曇りが少なくなっていたように思えるのだが・・・



「いや、有機ELチームだから成果を上げさせなかったのかな~って思ってね。」


「どうして有機ELチームならいいんですか?」


「それは分かんないな~・・・。

 そうやって切り話して考えていた可能性があるかもな~・・・。

 まあ、それよりもあの気分屋な性格が大きく影響したような気もするしな。」


「・・・気分屋なんですか?」


「ああ、ものすっごく気分屋で、まさに朝令暮改ってかんじだな。

 だからか、自分の周りにはイエスマンしか置かないタイプなんだよ。

 あいつの下にいる課長達なんか、“はい”以外答えないんじゃないかな?


 自分が思ったことがすべて正しいと思っているから

 反対意見を言うような奴は、あいつにとっては非常に煩わしいんだよ。


 それに朝令暮改だから、常に考えがコロコロ変わるから、

 さっきは・・・っていう人間も多かったみたいだけど、

 そんな性格だから、ドンドン自分の周りからは外していったみたいだね~。」


「・・・イヤですね・・・。」


「まあ、あいつの部下になるのは、ザ・サラリーマンだよ。

 サラリーマンの鏡じゃなきゃ、あいつの下では働けないだろうねか~。」


「私が下ならやりにくいです・・・。

 ていうか、すぐに首を切られて、別の部署に飛ばされそうなんですが・・・。

 そんな人でも部長になれるんですね・・・。」


「いうね~、井口ちゃん!“そんな人”でもって!」


そう言って私の言葉の指摘をしながら大笑いする村中部長。

私は慌てて訂正をしようとするのだが、



「まあ、本当に運が良かっただけの人間だよ。

 川村部長がいなくなった時に、たまたま部長の座に就けるだけの資格を持っていたのだが、

 諏訪部長だっただけの人物だよ。


 当初の予定では川村部長の子飼いの子が、部長の座に就く予定だったけど、

 まだ年齢が数年足りずに若かったからね・・・。

 本当に適齢期で副部長にいたのだが、たまたま諏訪部長しかいなかったんだよね・・・・。」


「そんな運命ってあるんですね・・・。」


「まあね・・・。

 本人はどう思っていたかは知らないけど、

 このまま定年を迎えて、役定すると思ってたくらいだよ。


 だいたい副部長になれたのも、別の人物が始めた事業が大当たりしたおかげで

 その成果で副部長に昇格したくらいだからね。」


「・・・それを諏訪部長が狙ってやったってことはないんですか?」


「ないない!だって、諏訪部長が入社した頃からいた事業部が、

 数年前ににおとり潰しになってしまって、そこから次の行くところがなかった諏訪部長を

 見るに見かねた事業で大成功をその後収めた人が、拾ったんだよ。


 そもそもそこの事業部もそれまで全然大した成果を上げられていなかったから

 どんどん優秀な人材が流出しちゃって、人手が明らかに足りなかったってのがあるんだけど。

 で、そこで課長の座に座った諏訪部長が、上の人が成功した成果で照明事業部の副部長の座を

 ゲットしたんだよね。」


「・・・よく知ってますね。」


「もちろん!俺はこういうことはキッチリと調べるタイプだからね。

 まずは敵を知り己を知れば百戦危うからずだよ~。」


「・・・敵認定なんですね・・・。」


「敵だろ~。今から俺達がやろうとしていることを、

 見事に潰そうとしてきていたんだからね。」


「確かに・・・。」


「まあ、まだまだ諏訪部長が何かを仕掛けてくる可能性があるわけだから、

 一応注意は払いながら、俺達はしっかりと自分達の道を開拓しようかね~。」


「はい!!」


私と村中部長がこんな会話をしている中、

柊さん達は真剣に製品化に向けての打ち合わせをまだ続けていて、

結局夜まで打ち合わせは続くのであった。


次話は本日19時に更新予定です。


気づいた点は追加・修正していきます。

拙い文章で申し訳ないです。

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