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九州事業所へ

「私、初めて九州事業所に行くんです!」


柊さんと共に羽田から始発の飛行機に乗って出発する。


今日は九州事業所での打ち合わせがあり、

私は初めての九州事業所であるため有機ELの製造工程を見たことがない。

そのため議事録作成の仕事ともに出張に同行することになったのだ!


そもそも私は一度も飛行機に乗ったことがないので、



「井口さんは、もう一便遅くてもいいんだよ?

 俺は向こうで人と会わなくちゃいけないからダメだけど、

 もう一便遅くたって、打ち合わせの時間には間に合うよ。」


そう言われたのだが、乗り方が分からない。

なので、柊さんと共に行くことを選んだのだ。



「初めて九州事業所に行くんだね・・・。

 じゃあ面接は本社でやったの?」


「はい、一次面接は関東事業所で、二次面接と最終が本社でした。」


「なるほどね~。けど、大学も九州事業所の近くなのに

 一次面接が関東事業所ってのは珍しいね?」


「そうみたいですね。

 私もてっきり九州事業所だと思っていたのに、関東事業所で驚きました。

 ただ、交通費は出たのでいいんですけどね。」


「へぇ~、一次面接で出るって珍しいね!

 交通費は実費?それとも概算?」


「ええっとですね、概算になるのかな?5万円がでましたよ!」


「・・・少なくない?」


「はい、飛行機はちょっと無理ですけど、新幹線はちょうどくらいです。」


「じゃあ、新幹線でいったの?」


「いえ、夜行バスです!」


「女子なのに?」


「知らないんですか?女子専用の夜行バスってあるんですよ?」


「へぇ~、知らなかったよ。それなら安心して乗れるね。」


「はい!しかも結構金額が浮いたので、美味しいモノを食べさせていただきました。」


「ははは、いいじゃん。」


そんなことを言いながら、羽田空港内を進んでいき、

柊さんに飛行機の乗り方を教わっていく。



「まずは手荷物検査場で荷物の確認をするんだ。」


そう言われて、一緒に手荷物検査場へと向かう。



「さっきチェックインした時の紙はカバンから出して、手で持っておいてね。

 で、カバンや貴重品なんかをこのトレイに載せていくんだ。」


「はい。」


言われるがままにカバンをトレイの上に置き、財布や携帯、パソコンも合わせて置いていく。

そして、地上スタッフの指示に従っていくのだが・・・


金属探知機のゲートを前にするとちょっと緊張が走る。


大丈夫!そう言い聞かせながら一歩前へと進むと・・・



「はい、あちらで荷物をお受け取り下さい。」


その言葉に安堵して、自分の荷物を受け取る。



「大丈夫だっただろ?」


「はい!無駄にゲートをくぐる時に緊張ちゃいまいたよ。」


苦笑しながら、柊さんの歩く後ろをついていく。

初めて入る空港内に思わずキョロキョロしてしまい、


「完全にお上りさん状態だね。」


「はい!完全にお上りさんです!!かなり広いですね!!

 思っていた以上に広くてびっくりです!!」


初めて見るものが多くて、色んなことに興味が湧いてくるのだが、



「とりあえず時間もあるし、一旦ラウンジ行こうか。」


「ラウンジってなんですか?」


「ゆっくりくつろげるスペース。」


「・・・はぁ?」


説明するよりも体験する方がいいよっと言われて、

柊さんの後ろをついていく。



「俺がいるから、同行者1名までは無料なんだよ。」


「へぇ~、ラウンジってお金を取るんですね!?」


「そうそう。」


言われるがままに、航空会社の名前があるラウンジに入って行くと・・・



「すごぉ!?」


思わず感嘆してしまう。


窓が大きく、飛行機の離着陸が間近でみれるのである!

それだけではなくて・・・



「ビール・・・タダなんですか?」


「タダだよ~、だけど、今から仕事だから飲んだら駄目だけどね。」


「そ、それくらいの分別はありますよ!!

 あ、コーヒーとおつまみもある!!

 柊さん、コーヒー飲まれます?」


「うん。じゃあ、井口さん荷物貸して。席をとっておくから。」


「お願いしまーす!」


私はコーヒーを淹れながら、辺りを物色する・・・

へぇ~、ソフトドリンクもあるんだ!

しかも飲み放題だし・・・

私・・・きっと何時間でもここに入れる気がする・・・



「ここいいですね。」


柊さんにコーヒーを届けながら、ラウンジの感想をいう。



「昔はカレーとかサンドイッチとかの軽食もあったんだけどね。」


「え?ここでご飯食べれたんですか!?」


「そう。だけど、そのサービスが無くなってしまってね~。残念。」


「それは残念です・・・。」


「ところで、今日の九州事業所での目的は自社での製造の確認でいいんですか?」


「そうだよ。実際に自社で製造できるかどうかの確認から始まって、

 出来るのなら、どのような課題があるのかどうかを

 現地の有機ELの開発チームと確認をしていくんだ。」


「なるほど・・・。

 じゃあ、村中部長が先乗りしたのは、その事前の地ならしをしに行かれたんですか?」


「いや、九州の夜を楽しむために先乗りしたんだよ。」


「・・・最低・・・。」


「だって、夕方の便に乗っても、向こうに着くのは夜だからね。

 そこから仕事はしないだろう?」


「そうですけど・・・。じゃあ、朝早くから仕事をしている可能性も!」


「・・・いや、入り時間は俺と一緒にするって言って、

 九州事業所の近くのコーヒーショップで待ち合わせ。

 大方、早起きするのが嫌だったんだろう。」


「・・・清々しいくらい最低ですね・・・。」


「それでも仕事はきっちりとされるんだから、いいだろう?

 中にはなにもせずに、ただ踏ん反り返ってるだけの部長もいるからな。」


「・・・確かに・・・。」


同意しながら、思い当たる人は・・・と考えたのだが、

すぐに1人、また1人と思い出すので、思い出すことを放棄した・・・


・・・該当する人が多すぎる・・・


朝出社したかと思ったら、庶務さんにコーヒーを淹れてもらって、

それを飲んだら睡眠をし、そのままお昼になって、

部下の課長たちと共にご飯を食べにいき、

昼からもお昼寝をして、夕方チャイムと共に帰る部長が数人いた・・・


あの人達って、仕事本当にしないからな・・・


必要な書類は部下に作らせて、発表も部下にさせる。

会議ではふんぞりかえっているだけの人達・・・


それに比べればずいぶん仕事をしてくれるのが村中部長だな・・・


ちょっとだけ、私の中で村中部長の株が上がったのであった。



「まあ、今日は向こうの部長も出てくるし、

 こっちも村中部長が出てきてくれてよかったよ。」


「うん?どうしてですか?」


「・・・あんまり先入観を持たせるのもいやだけど、

 嫌な奴だよ、新しく技術部の部長になった人物は。」


「・・・え?」


そう言えば、以前部長をしていた川村部長はお辞めになったと聞いているのだが、

その後任人事が誰になったかまでは知らなかった。


まあ、誰が部長になったと言われても

私が知っている可能性の方が低いんだけど・・・



「今日の打ち合わせにも顔を出すし、その時に井口さんが判断してね。」


「・・・すでに柊さんの言葉でいい印象は持ってないんですけどね・・・。

 ところで、柊さんから見て、うちの品質保証部とか企画部とかはどうですか?

 あそこの人達と比べてどうですか?そっちの方が分かり易いです!」


「・・・企画部は・・・どっこいどっこいかな。」


「あ、ムリでーす!いい印象はもてませーん!」


「だと思うけどね。」


苦笑しながら、まあ、変な先入観だけは持たないようにと忠告をされた。

だけど、どうしたって嫌な先入観は持ってしまっているのだが・・・


次話は8時に更新予定です。


気づいた点は追加・修正していきます。

拙い文章で申し訳ないです。

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