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技術部の課題

「まあ、企画の方は問題ないとして、技術の方の課題はないの?」


「ありますよ。もっかのところ一番の悩みは・・・

 どこの有機ELを使うかって事ですね。」


「え?うちの有機ELを使わないんですか?」


思わず私が尋ねる。

確かに他社の有機ELを入手して評価をしているものの、

それらはベンチマークとして使用して、

自社製の有機ELを使用するモノだとおもっていた。



「正直言えば、南日本電機の技術者としてはそれがベストだけど、

 それをクリアするには課題が多すぎるのが問題なんだよ。」


「課題・・・ですか?」


「そう。まずはうちの頭の固い品質保証部が許してくれない。」


「どうしてですか?」


「だって、どこの会社も今だに研究段階なんだよ有機ELって。

 だから、実際に製品化した場合には、予期していない不具合が発生する可能性がある。

 品質保証部の立場からすれば、そんな予期せぬ不具合が発生する可能性を含んだものを

 製品化されて、保証しろって言われても嫌がるに決まっているからね。」


「・・・。」


「もし有機ELを製品化する場合には、まずは他社で製造した有機ELをするのが

 品質保証部が妥協できる範囲の一番現実な点だと思うよ。

 他社製の有機ELであれば、有機ELの不具合に対して保証が付いているからね。

 それに対して、自社製の場合は自分達が保証をしなくちゃいけなくなってしまう。」


「・・・。」


柊さんの言ってることは理解できる。

だけど、心情的には理解できない・・・。

やっぱり自分達が作った有機ELで世界で初めての照明器具を作りたいと思ってしまう!


私が悶々としている中、大川さんが真剣な表情で、



「じゃあ、うちの会社の有機ELは使わないと?」


「そこが今、僕や村中部長が一番頭を悩ませているところですね。

 どうする必要があるのか・・・。」


「まあ、うちの我々から言わしたら、クレームのない製品を設計してくれって話だよ。」


「そうなりますよね・・・。」


苦笑してしまう柊さん。

まあ、技術者としてもクレームが発生させたくて設計をしているわけでもなく、

検証しても、想定外のことが起きてしまって、クレームが発生しいるのだから。



「しっかし、柊君が、すんなり他社の製品も候補に入れていることに驚くね。

 君はもっと技術者よりというか、技術者だと思っていたからね。」


「一応技術者なんですけどね・・・。

 だけど、まずは製品化することを目標としているんだから、

 そこへのこだわりは捨てているというのが本音です。

 

 心情的には僕も自社製の有機ELを使用して照明器具化したいというのが

 本音ですが、今の状況で自社の有機ELを製品化する場合の課題が山積みで、

 クリアできるか?って疑問がわきますからね。」


苦笑する柊さん。

ちょっと安心する私と同じ思いを柊さんが持っていることを知れたから。



「うちって世界一なんですよね?」


「そうだよ、世界一だよ。」


「それなのに技術的にまだまだそんなに課題があるんですか?」


「あるよ。世界一と言っても、じゃあ、それで量産がすぐにできます!って話ではないんだよ。

 性能を一番にするのと同じで、量産化するには量産化するにあたっての課題っていっぱいあって、

 それを現状ではクリアできてないんだよ。」


「・・・それ大丈夫なんですか?」


「一応は課題検討をしているんだけど・・・

 今の九州事業所の技術部の部長が有機EL嫌いだからね~。

 どうやら注力して課題に対して取り組んでいないって話もあるんだよ。」


ため息交じりにそんなことをいう柊さん。

それに私は思わず驚いてしまう!


だって、量産化できる可能性がある製品なのに

自分の好き嫌いで製品化しないってのはおかしな話なのだから!



「・・・そんな部長さんなんですか?」


「そう。そもそも町田取締役と仲が悪いんだよ。

 だから町田取締役が押している有機ELが嫌いなんだよ。」


「・・・そんな理由?

 全然、有機ELに関係した理由じゃなくて、

 ただ単に、その後ろ盾になっている人が嫌いだからって理由なんですか!?」


「そんな理由でもやっている俺達には十分影響があるんだよね~。

 ほんと、そんなくだらない理由で・・・。」


ため息をつきながらビールを煽る柊さん。

本当にくだらない理由だ。

そんなくだらない理由で、人の邪魔をする人が部長になっているのが信じられない!!


まさに百害あって一利なし!!



「まあ、とりあえず、お互い半年は市場確認なんだから、

 まずはしっかりと市場を見ていこうよ。

 それに俺と柊君はせっかくの独り身なんだから・・・。」


そういいながらニヤニヤする大川さん、

柊さんもニヤリとするものだから・・・



「いいですね~。是非とも私もご同行させていただきますよ。

 そして、お二方のご家族に私の方からご連絡させていただきます。」


「そ、それは勘弁を!!」


「まて、冤罪だ!俺はまだ何もしてないじゃん!!」


2人がそんなことを言って慌てて私の口を必死になって塞ごうとするのであった。


「ちょ、ちょっと!それセクハラですからね!!

 セクハラをするのなら会社に訴えますからね!!」


「き、汚い奴め・・・。」


「ええ!?柊さんがそんなこと言いますか!?

 絶対に汚いのは柊さんの方だと思いますよ!!」


「なんでだよ!?

 俺みたいな聖人君主に向かって何ってことを言うんだ!?」


「・・・夢を見ているんですか?

 絶対に“聖人君主”って誰からも言われてないでしょう?」


「・・・誰も行ってくれないから俺が自分で言うんじゃないか・・・。」


「か、可哀想過ぎて、もう何も言えないです。」


「あ、憐れむな!!そんな目で俺を見るんじゃない!!」


結局最後は柊さんをいじって飲み会を楽しく過ごしたのだが、

飲み会の途中で教えて貰った課題・・・


私はそこまで考えが及んでなかったのけど、

次の課題は有機ELの製造をどこでするのかってことなのか・・・


次話は8月18日7時に更新予定です。


気づいた点は追加・修正していきます。

拙い文章で申し訳ないです。

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