表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/67

第三企画部の思惑

「柊さんとどのくらいの付き合いがあるんですか、大川課長?」


「おうおう!

 仕事が終わったら、大川課長は止めてよ!

 大川さんとか、何なら下の名前で呼んでもいいんだよ?

 若い子に下の名前で呼ばれるとテンションあがるじゃない!!」


「・・・大川さん・・・。」


「う~ん、可愛い子から冷たい目で名前を呼ばれるとおじさん、興奮してしまうよ!」


・・・この人、本当に大丈夫なんだろうか?


ちなみにこの横では柊さんが大爆笑をしている。

こっちはまったく笑えないんですけどね!!!



「めっちゃ冷たい目で見られてますやん!」


「だな!!!いや~、久しぶりでゾクゾクしたよ。

 こっちに来るときの娘の目を思い出すよ。」


「・・・どうして、実の娘さんから、こんなに軽蔑を含んだ目でみられたんですか?」


「軽蔑!?井口さん、そんな目で僕を見てたの!?」


「・・・で?何を言ったんですか?」


「スルーされたし!!

 いい、その女王様気質!!

 僕・・・惚れてしまうかもしれないよ~!」


・・・ダメだ、この変態・・・


どうしよう、部署を変えてもらった方がいいかな?

今ならまだ間に合うような気もするし・・・


ちなみにこのダメおやじ、店員さんが来た時にはノリノリで対応をした。

どうやら半袖半ズボンの浴衣を着ていることに本当にテンションが上がっていたようだ・・・


・・・捕まらないかなこの人・・・



「会員証はお持ちですか?」


「もってないでーす!まだ数週間前に北海道から出てきたばっかりなんです!」


「ええ!?そうなんですか!!実は私も北海道から、この春来たばかりなんです!!」


「何だって!!!こんな偶然ある?・・・いやないよ!!」


そういって、店員さんの手を握締めながら、

その目は店員さんの目をしっかりと見て、大川さんは熱を込めて言葉を発する。



「これも運命なんだと思う・・・何か困ったことがあったら言うんだよ。」


そんなことを言い出すもんだから、思わず私は・・・


スパーン!


頭を叩くのであった。


課長に手を上げる何って・・・と思う反面、こいつを止めないと・・・


訴えられる!!!


そんな気持ちになって叩いてしまうのであった。

私は慌てて、店員さんに謝罪をする。



「ごめんなさいね。気持ち悪かったでしょう?」


「あ、いえ。実家のパパを思い出して・・・なんだか、ちょっと嬉しかったです。」


・・・


・・・


あれ?


ちょっと想像とは違う回答がきたんですけど・・・


そして・・・



「そうだよね!!こんな都会に来て、寂しかっただろうね!

 僕で良ければいくらでも力になるよ!!」


そういって、再度手を握り締めるのであった。

そして、店員さんも意外とまんざらでない顔をする・・・


どうしようか・・・


北海道のご実家にいる奥様と娘さんに連絡しようかな・・・


旦那さん!浮気してますよ!!


って、大声で伝えたいし!!


・・・なに、名刺を渡して、しかも個人の連絡先を手で記入して渡してるんですか大川さん?


絶対にこれ、私、後でご家族につたえますからね!!


絶対これアウトですから!!


それと・・・


私から罵られて興奮するのは止めて貰っていいですか?


さっき私から叩かれて興奮するんだって熱を帯びた目で

私を見るのは止めてください!!


・・・もう!!


この変態どうすればいいのよー!!!



そんな変態大川さんの暴走を何とか抑えることが出来たと思ったら、

急に真面目な話をし始める・・・


・・・何なんだこのギャップは・・・


ただ、全くギャップがあってもときめくことはないけど・・・



「で、企画は僕たちがいるから何とでもなるけど、他に課題はないの?」


「へぇ~、何とかしてくれるんですか?」


「まあね、間違いなく新事業の目玉の一つになるからね有機EL!!

 それを逃すってはないから、こっちでどうとでもでっち上げるよ。」


悪い顔をする大川さんと柊さんに、

私は思わず引いてしまい、更には聞き捨てならない言葉に反応する。



「でっち上げるって・・・。」


「でっち上げるのは本当だよ。

 う~ん、その言葉が気に入らないなら、言い方を変えた方がいいってことかな?」


「どういうことなんですか?」


「ええっとさ・・・・

 昔、航空会社で50人に1人が飛行機代無料になるってキャンペーンがあったの知ってる?」


「はい、知ってますけど。それが?」


「あれってインパクトなかった?」


「ありましたよ!私の友達とか、運がよくって、飛行機代タダになってましたよ!

 しかも九州から北海道までの便だったから、航空会社も太っ腹だな~って思ったんですよね。」


「それって別に太っ腹ってわけでもないんだよ。」


「え?どういうことですか?」


「じゃあ、50人に1人ってどんな確率かわかる?」


「ええっと・・・2%ってことですよね?

 そっか、2%しか当たらないんだ・・・。

 なかなか狭き門ですね~。」


「まあ、狭き門でもあるんだけど・・・。そこで気づかない?」


「何をですか?」


「ようは、航空会社は全員を2%引きしたってことだよ。」


そう言われて私は2%という数字を考えると、すぐに気づいた!!



「え?・・・あ、そういうことですか!?」


「そう。だから、航空会社としてはそんなに懐が痛むキャンペーンではなかったんだよ。

 ただ、2%引きですっていってもインパクトがないから、

 それなら50人に1人タダにしますって言ったんだよ。

 そっちの方がインパクトが大きいだろう?」


「・・・はい・・・全然違いますね。」


「そうだよね。そして、これはよくある話で、

 俺達がプレゼンする場合にもある話なんだよ。

 で、さっきの大川さんの話ででっち上げるって言ったのはこのことで、

 例えばだけど、市場はゼロですって言っても、既存の市場が実際はあるわけだから、

 そこに置き換わっていきますって言えば魅力ある製品になるだろう?」


「・・・。」


「他にも認知度が低いっていうこも伸びしろになるし、

 何よりもうちの会社が最初にやったとなれば、


  有機EL = 南日本電機株式会社


 そんな構造になるわけだよ。」


「そうそう、まさにうちの会社が好きな構造だね~。」


大川さんも柊さんの説明に同意する。



「そういうことですか・・・。」


「そういうこと。だから、あの場面でも本当は大川さんの腹の算段で

 どうとでもなってたってこと。それをあえて言わなかったのは、

 俺達に協力を仰ぎたいことがあったから・・・まあ、脅してきたんですよね?」


ニヤリと笑う柊さんに、



「よくわかってるね~、さすがは若手のホープだけはあるよ。」


どうやら、その算段だったのだろう笑顔で応える大川さん。


・・・そんなことをあの場で考えてたのか・・・


っていうか、この2人・・・


ちょっと怖いんですけど・・・


この2人そろって腹黒じゃないですか!!

課長とかリーダーになるには腹黒じゃないとなれないんですかね!!!

次話は本日19時に更新予定です。


気づいた点は追加・修正していきます。

拙い文章で申し訳ないです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ